パーキンソン病 :トップ    
監修: 高橋裕秀 みどり野リハビリテーション病院
野川 茂 東海大学医学部付属八王子病院神経内科

概要

疾患のポイント:
  1. パーキンソン病(PD)とは、中脳黒質のドパミン産生神経細胞の減少を特徴とする運動障害疾患であるが、近年、広範なレビー小体の蓄積を反映し、非運動症状を含めた多彩な症状を呈する疾患と捉えられている。
  1. PDは、神経変性疾患のなかではアルツハイマー型認知症に次いで多く、あらゆる診療科で遭遇し得る疾患である。本疾患はL-ドパ補充療法が有効であるため、その診断は重要である。
  1. パーキンソン病は、指定難病であり、Hoehn&Yahrで重症度3度以上かつ生活機能障害度2以上の場合などでは申請し認定されると保険料の自己負担分の一部が公費負担として助成される。([平成27年1月施行])
  1.  難病法に基づく医療費助成制度 
 
診断: >詳細情報 
  1. 4大運動症状として、安静時振戦、無動・寡動、筋強剛、姿勢反射障害が挙げられるが、それ以外にも自律神経症状、感覚症状、精神症状などの多彩な非運動症状を呈する。
  1. 以下の難病の診断基準を満たすものを対象とする(疑い症例は対象としない)。
  1. 1. パーキンソニズムがある(※1)。
  1. 2. 脳CT又はMRIに特異的異常がない(※2)。
  1. 3. パーキンソニズムを起こす薬物・毒物への曝露がない。
  1. 4. 抗パーキンソン病薬にてパーキンソニズムに改善がみられる(※3)
  1. 以上4項目を満たした場合、パーキンソン病と診断する。なお、1、2、3は満たすが、薬物反応を未検討の症例は、パーキンソン病疑い症例とする。
  1. ※1:パーキンソニズムの定義は、次のいずれかに該当する場合とする。
  1. 典型的な左右差のある安静時振戦(4~6Hz)がある。
  1. 歯車様筋固縮、動作緩慢、姿勢反射障害のうち2つ以上が存在する。
  1. ※2:脳CT又はMRIにおける特異的異常とは、多発脳梗塞、被殻萎縮、脳幹萎縮、著明な脳室拡大、著明な大脳萎縮など他の原因によるパーキンソニズムであることを明らかに示す所見の存在をいう
  1. ※3:薬物に対する反応はできるだけドパミン受容体刺激薬又はL-ドパ製剤により判定することが望ましい。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断時の検査例
  1. PDの診断は、上述の難病の診断基準に沿って診断するが、鑑別のために検査が行われることが多い。
  1. PD患者は、血液データやCT・MRIなどの脳画像で異常を呈さない。ただし、病初期であっても、PDおよびレビー小体型認知症では、MIBG心筋シンチグラフィで心臓交感神経の脱神経所見がみられることが多く、鑑別が困難な際に用いられることがある(2012年3月より保険適用)。
  1. MIBG心筋シンチグラフィのオーダー時には、被爆を最小限にするために、甲状腺への131I-MIBGの取り込みをブロックするヨウ化カリウム(50 mg)を当日朝まで3日間投与することがある。心/縦隔(H/M)比が低値であれば、PD(あるいはレビー小体型認知症)である可能性が高い。
  1. H/M比の正常値は施設により異なり、中エネルギーコリメーターでは2.6~3.4、低エネルギーコリメーターでは2.0~2.6であるが、一般の市中病院で汎用される低エネルギーコリメーターでは、一般に1.9未満が低値とされる。
  1. ドパミントランスポーターシンチグラフィ(ダットスキャン)は、2014年1月に使用可能となった新しい検査法で、トレーサーがドパミントランスポーターに結合することにより、黒質線条体ドパミン神経の脱落の有無と程度を知ることができる。
○ 頭部CT・MRIは、一回はチェックするのが望ましい。典型的な症例では不要であるが、診断に難渋したり、薬剤性パーキンソニズムとの鑑別が必要な場合には、1)あるいは 2)を施行する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

PD患者初期(未治療患者)の治療のアルゴリズム
wearing offの治療アルゴリズム
生活に支障となるpeak-doseジスキネジアの治療アルゴリズム
幻覚・妄想の治療アルゴリズム
PD患者の中脳断面
中脳神経細胞内のレビー小体(矢印)
PD患者の123I-β-CIT 脳SPECT画像(ダットスキャン)
PD患者の123I-MIBG心筋シンチグラフィ(H/M=1.17)
対象患者の123I-MIBG心筋シンチグラフィ(H/M=2.79)
著者校正/監修レビュー済
2017/10/31

編集部編集コンテンツ:
 
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