パーキンソン病

著者: 野川 茂 東海大学医学部付属八王子病院神経内科

監修: 高橋裕秀 昭和大学藤が丘病院 脳神経内科

著者校正済:2019/11/08
現在監修レビュー中

参考ガイドライン:

概要・推奨  

薬剤承認情報:
2019年9月20日  エクフィナ錠 (サフィナミドメシル酸塩 パーキンソン病治療剤)
2019年9月20日  ハルロピテープ (ロピニロール塩酸塩 経皮吸収型 ドパミン作動性パーキンソン病治療剤)
 
疾患のポイント:
  1. パーキンソン病(PD)とは、中脳黒質のドパミン産生神経細胞の減少を特徴とする運動障害疾患であるが、近年、広範なレビー小体の蓄積を反映し、非運動症状を含めた多彩な症状を呈する症候群と捉えられている。
  1. PDは、神経変性疾患のなかではアルツハイマー型認知症に次いで多く(有病率は人口10万人当たり100~180人)、あらゆる診療科で遭遇し得る疾患である。また、高齢者ほど有病率が高いため、今後人口の高齢化と共に増加する可能性がある。
  1. 本疾患はL-ドパ補充療法が極めて有効で、治療可能な疾患であるため、その診断は重要である。
  1. PDは厚生労働省の指定難病であり、Hoehn & Yahrで重症度3度以上かつ生活機能障害度2以上の場合、申請し認定されると、保険料の自己負担分の一部が公費負担として助成される。([平成27年1月施行])
  1.  難病法に基づく医療費助成制度 
 
診断: >詳細情報 
  1. 4大運動症状として、安静時振戦、無動・寡動、筋強剛、姿勢反射障害が挙げられるが、それ以外にも自律神経症状、感覚症状、精神症状などの多彩な非運動症状を呈する。
  1. 診断基準としては、従来、厚生労働省の難病の診断基準が用いられることが多かったが、PD診療ガイドライン2018では、Movement Disorder Society(MDS)の診断基準が採用されている。本診断基準は、研究用途に用いられることを意図しており、特異度が高くなるよう作成されているため、SPECTなど日常診療では必ずしも必須とはいえない項目も含まれていることに留意すべきである。
 
MDS診断基準:
  1. 臨床的に確実なパーキ…
検査・処方例
※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断時の検査例
  1. PDの診断は、上述のMDS-UPDRSの診断基準、あるいは難病の診断基準に沿って診断するが、鑑別のために検査が行われることが多い。
  1. PD患者は、血液データやCT・MRIなどの脳画像で異常を呈さない。ただし、病初期であっても、PDおよびレビー小体型認知症では、MIBG心筋シンチグラフィで心臓交感神経の脱神経所見がみられることが多く、鑑別が困難な際に用いられることがある(2012年3月より保険適用)。診断の感度、特異度は、早期像で82.6%、89,2%、後期像で89.7%、82.6%と報告されている。
  1. 従来、施設毎にシンチカメラ、コリメーター、ROIの設定に差があり、心臓(H)/縦隔(M)比にばらつきが見られたが、標準化が行われ多施設間の比較が可能となった。市中病院で汎用される低エネルギーコリメーターでは、一般に2.2未満が異常低値とされる。
  1. 被爆予防のためのヨウ化カリウム投与は、必須ではないとされる。
  1. ドパミントランスポーター(DAT)シンチグラフィ(ダットスキャン®)は、2014年1月に保険承認された検査法で、トレーサーがドパミントランスポーターに結合することにより、黒質線条体ドパミン神経の脱落の有無と程度を知ることができる。しかし、PD診断基準を満たす患者の3.6~19.6%が線条体での集積低下を認めず、SWEDDS (Scan without evidence of dopaminergic deficit)と呼ばれる。
○ 頭部CT・MRIは、一回はチェックするのが望ましい。典型的な症例では不要であるが、診断に難渋したり、薬剤性パーキンソニズムとの鑑別が必要な場合には、1)あるいは 2)を施行する。

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. 2018年の日本神経学会 PDガイドラインは、「治療」ガイドラインから「診療」ガイドラインに変更され、第2章ではMinds2014で推奨されているGRADEシステムが取り入れられた。
  1. 2011年以降、ドパミンアゴニスト徐放剤(ミラペックス®LA、レキップ®CR)、ロチゴチン貼付剤、アポモルフィン皮下注、MAOB阻害薬であるラサギリン、非ドパミン系薬剤であるイストラデフィリン、DBSと並ぶDevice Aided Therapy(DAT)であるL-ドパ持続的経腸療法(LCIG)が新たに承認され、セレギリンの単独療法が認められた。
  1. PD診療ガイドライン2018の早期PD治療のアルゴリズムでは、65歳以下の認知症がない患者などを除いてL-ドパが優先され、運動合併症のリスクが高い患者ではドパミンアゴニスト、あるいはMAOB阻害薬が推奨された。このため、想起PD治療の項において、MAOB阻害薬単独療法を追加した。
  1. PD診療ガイドライン2018では、進行期PD治療における運動合併症の予防のEBMが検討され、wearing offのアルゴリズムからジスキネジアの有無による薬剤の区別が削除された。これに基づき、wearing offの治療の項において、イストラデフィリンを追加し、MAOB阻害薬の位置づけを変更した。
  1. PD診療ガイドライン2018に基づき、うつの治療の内容を変更し、新たにアパシーの治療の項を追加した。


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