ステロイドミオパチー :トップ
監修: 高橋裕秀 みどり野リハビリテーション病院
北尾るり子 国立病院機構箱根病院

概要

疾患のポイント:
  1. ステロイドミオパチーとは、グルココルチコイドによって誘発されるミオパチー(筋疾患)である。
  1. あらゆるグルココルチコイド療法において発生し得る副作用である。特に高齢者、栄養不良の患者、担がん患者において発生しやすい。診断により頻度は異なり、2~60%の頻度であった エビデンス 
  1. 亜急性に近位筋の萎縮と筋力低下で発症する。主に椅子から立ち上がりにくい、階段が昇りにくいなどの症状を訴える。筋痛はまれである。
  1. グルココルチコイドの用量と使用期間に一定の法則はない。しかし多くはプレドニゾロン40~60mg/日以上の使用で2週間以内に脱力が誘発され、1カ月以上の使用で、ある程度の筋力低下を生じる。プレドニゾロン10mg/日以下、吸入ステロイドではまれである。 エビデンス 
  1. グルココルチコイドと神経筋遮断薬の併用で、急性のミオパチーを引き起こすことがある(→critical illness myopathy)。頻度は、3割程度といわれている。 エビデンス 
 
診断:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. 診断はほかの筋疾患の除外と、診断的治療、つまりステロイドを減量して3~4週後の筋力の回復があるかによる。通常CKは上昇せず、筋電図も正常所見を呈する。
  1. 筋炎の場合は元より筋力低下と高CK血症を呈するために、原病の悪化かステロイドミオパチーか鑑別するのは困難である。これまで%クレアチニン尿の上昇があればステロイドミオパチーと言われていたが、根拠は乏しい。 エビデンス 
  1. 筋MRIは、急性期筋炎は浮腫の所見、ステロイドミオパチーは脂肪化の所見を示すことから鑑別になり得る。しかし筋炎の浮腫の所見は治療により可逆性だが、慢性化すると脂肪化の所見となるため、鑑別は困難である。 エビデンス 
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 重症度は筋力低下の程度により決定される。予後は、グルココルチコイド減量または中止により筋力が改善し、良好である。
  1. ステロイドミオパチーは呼吸筋にも起こる可能性があるため、留意する必要がある。 エビデンス 
 
治療: >詳細情報 
  1. 原疾患のコントロールが可能な範囲でグルココルチコイドを減量または中止する。
  1. 可能ならば、フッ素化された製剤(デキサメタゾン[デカドロン]、ベタメタゾン[リンデロン]、トリアムシノロン[レダコート、ケナコルトA])を使用している場合は、非フッ素化製剤(プレドニゾロン)に変更する。
  1. ステロイドミオパチーに対して運動療法は効果があり、推奨される。 エビデンス 
 
専門医相談のタイミング: >詳細情報 
  1. グルココルチコイドを減量または中止して3~4週間経過しても筋力低下が改善しないとき、ほかの疾患の可能性を考え神経内科に紹介する。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための検査例
  1. ステロイドミオパチーを確定診断する検査はないが、他の疾患を鑑別する必要がある。
○ ほかの疾患を鑑別するために1)~6)を行い、必要であれば7)~9)を行う。
1)
2)
3)
4)
甲状腺機能(TSH[ECLIA], freeT4[ECLIA])
5)
6)
%クレアチン尿(24時間蓄尿でクレアチン/クレアチン+クレアチニン×100、10%以上を異常とする) エビデンス 
7)
筋電図
8)
筋MRI エビデンス 
9)
筋生検

初期治療例
  1. 原疾患のコントロールが可能な範囲でグルココルチコイドを減量または中止する。
  1. フッ素化された製剤(デキサメタゾン[デカドロン]、ベタメタゾン[リンデロン]、トリアムシノロン[レダコート、ケナコルトA])を使用している場合は、非フッ素化製剤(プレドニゾロン)に変更する。
  1. 投与方法を隔日投与法に変更する。
  1. リハビリテーションの依頼を行う。 エビデンス 
○ 原疾患のコントロールが可能な範囲で1)を行う
1)
グルココルチコイドの漸減(プレドニゾロン換算10mg/日以下)、または中止。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
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ステロイドミオパチーのアルゴリズム
ステロイドミオパチー骨格筋病理 ATPase染色
著者校正/監修レビュー済
2016/05/27


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