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概要・推奨
疾患のポイント:- 下痢とは、糞便中の水分含有量が増加して泥状・水様になる状態をいう。正常な有形便の水分は60~80%であり、80~90%で泥状、90%以上で水様となり、わずかな水分の増加が下痢を引き起こす。
- 経口水分摂取量は1日約2L、胃液・膵液・胆汁などの消化液が約7Lであり、合計9Lの水分のほとんどは小腸で吸収される。大腸での水分吸収量は1日0.5L程度にすぎない。そのため、小腸に炎症があると吸収能低下に加えて大量分泌が起こり、大量の水分の排泄が起こって脱水を引き起こす。
- 腎不全、電解質異常、循環不全、重症感染症を起こして致命的となることもある。
- フルオロウラシル、イリノテカン、カペシタビン、メトトレキサート、ゲフィチニブ・ラパチニブなどの抗EGFRチロシンキナーゼ阻害薬、セツキシマブなどの抗EGFR抗体は、下痢を起こしやすい抗癌剤である。フルオロウラシルやイリノテカンを含む抗癌剤は下痢の誘発リスクが明らかに高く、これらの薬剤で単剤または併用療法を受けた患者の80%は下痢を経験し、30%以上は生命に関わるような重篤な下痢を経験したとの報告がある。
化学療法に伴う下痢(chemotherapy-induced diarrhea、CID)の発生機序:- ①コリン作動性下痢(早発性下痢):抗癌剤投与当日に起こることが多い。
- ②腸管粘膜傷害(遅発性下痢):抗癌剤投与後数日~2週間程度で発症することが多い。
診断: >詳細情報 - 一般的な感染性胃腸炎や食中毒の除外をし、診断となる。
重症度・予後: >詳細情報 - CTCAE ver4.0(<図表>)をもとに下痢の重症度を判定する。
検査・処方例
※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。
■治療例
- CTCAE ver4.0を参考に下痢の程度を評価し、治療を決定する。
- Grade 1:ベースラインと比べて<4回/日の排便回数増加; ベースラインと比べて人工肛門からの排泄量が軽度に増加
- Grade 2:ベースラインと比べて4~6回/日の排便回数増加; ベースラインと比べて人工肛門からの排泄量が中等度増加
- Grade 3:ベースラインと比べて7回以上/日の排便回数増加; 便失禁; 入院を要する; ベースラインと比べて人工肛門からの排泄量が高度に増加; 身の回りの日常生活動作の制限
- Grade 4:生命を脅かす; 緊急処置を要する
- Grade 5:死亡
治療:- Grade1~2の場合:
- 抗癌剤休止
- 食事指導(ラクトースを含む食事の中止、少量頻回の食事をとる)
- 水分補給励行
- ロペラミド(ロペミン)投与
- Grade3以上の場合:
- 抗癌剤中止
- 食事指導、水分補給
- 医療機関受診を指示
- ただちにロペラミド投与(12時間以上下痢を認めなくなるまで繰り返す)
- 発熱や好中球減少を伴う場合や24時間以上症状が持続する場合は、必要に応じて抗菌薬を投与。
○ Grade1以上を認める際には1)を考慮する。効果不十分のときには2)または3)の追加を考慮する。Grade3以上では医療機関受診を勧める。必要に応じて4)の投与を考慮する。
疾患のポイント:
- 下痢とは、糞便中の水分含有量が増加して泥状・水様になる状態をいう。正常な有形便の水分は60~80%であり、80~90%で泥状、90%以上で水様となり、わずかな水分の増加が下痢を引き起こす。
- 経口水分摂取量は1日約2L、胃液・膵液・胆汁などの消化液が約7Lであり、合計9Lの水分のほとんどは小腸で吸収される。大腸での水分吸収量は1日0.5L程度にすぎない。そのため、小腸に炎症があると吸収能低下に加えて大量分泌が起こり、大量の水分の排泄が起こって脱水を引き起こす。
- 腎不全、電解質異常、循環不全、重症感染症を起こして致命的となることもある。
- フルオロウラシル、イリノテカン、カペシタビン、メトトレキサート、ゲフィチニブ・ラパチニブなどの抗EGFRチロシンキナーゼ阻害薬、セツキシマブなどの抗EGFR抗体は、下痢を起こしやすい抗癌剤である。フルオロウラシルやイリノテカンを含む抗癌剤は下痢の誘発リスクが明らかに高く、これらの薬剤で単剤または併用療法を受けた患者の80%は下痢を経験し、30%以上は生命に関わるような重篤な下痢を経験したとの報告がある。
化学療法に伴う下痢(chemotherapy-induced diarrhea、CID)の発生機序:
- ①コリン作動性下痢(早発性下痢):抗癌剤投与当日に起こることが多い。
- ②腸管粘膜傷害(遅発性下痢):抗癌剤投与後数日~2週間程度で発症することが多い。
診断: >詳細情報
- 一般的な感染性胃腸炎や食中毒の除外をし、診断となる。
重症度・予後: >詳細情報
- CTCAE ver4.0(<図表>)をもとに下痢の重症度を判定する。
■治療例
■
治療例
- CTCAE ver4.0を参考に下痢の程度を評価し、治療を決定する。
- Grade 1:ベースラインと比べて<4回/日の排便回数増加; ベースラインと比べて人工肛門からの排泄量が軽度に増加
- Grade 2:ベースラインと比べて4~6回/日の排便回数増加; ベースラインと比べて人工肛門からの排泄量が中等度増加
- Grade 3:ベースラインと比べて7回以上/日の排便回数増加; 便失禁; 入院を要する; ベースラインと比べて人工肛門からの排泄量が高度に増加; 身の回りの日常生活動作の制限
- Grade 4:生命を脅かす; 緊急処置を要する
- Grade 5:死亡
治療:
- Grade1~2の場合:
- 抗癌剤休止
- 食事指導(ラクトースを含む食事の中止、少量頻回の食事をとる)
- 水分補給励行
- ロペラミド(ロペミン)投与
- Grade3以上の場合:
- 抗癌剤中止
- 食事指導、水分補給
- 医療機関受診を指示
- ただちにロペラミド投与(12時間以上下痢を認めなくなるまで繰り返す)
- 発熱や好中球減少を伴う場合や24時間以上症状が持続する場合は、必要に応じて抗菌薬を投与。
○ Grade1以上を認める際には1)を考慮する。効果不十分のときには2)または3)の追加を考慮する。Grade3以上では医療機関受診を勧める。必要に応じて4)の投与を考慮する。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
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すべての医療従事者の皆様に敬意を表します。
人々の健康を守っていただき、ありがとうございます。
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