脳動脈解離 :トップ    
監修: 永山正雄 国際医療福祉大学大学院医学研究科 神経内科学
星野晴彦 高木誠 東京都済生会中央病院 神経内科

概要

疾患のポイント:
  1. 脳動脈解離とは、若年者脳卒中の主要な原因の1つで、何らかの誘因で脳動脈壁内に出血し壁が裂けた状態である。その結果、出血性の症状(くも膜下出血)、虚血性の症状(一過性脳虚血発作、脳梗塞)、その他の症状(頭痛、解離部の圧迫症状)などを来す。また、頭痛症状だけで神経症候を呈さない場合もある。
  1. 脳動脈解離の症状としては、解離そのものによる直接症状(頭痛、頚部痛、血管拡張による局所症状)と血管障害による症状(脳梗塞、くも膜下脳出血)などを来す。特に、突然の激しい頭痛・頚部痛は、動脈解離の約50~80%にみられる特徴的症状である。血管拡張による局所症状としては、頚部内頸動脈解離では血管の拡張による迷走神経、副神経、舌咽・舌下神経障害を、また頭蓋内も含めた内頸動脈解離では血管壁を走る交感神経線維の障害によるHorner症候群などを来すことがある。
  1. 頚部動脈解離では大動脈解離による脳動脈解離を必ず除外すること。
 
脳動脈解離の分類:
  1. 成因からは、外傷性、医原性、特発性の3種類に分類される。頚部回旋などの軽い外傷に伴って起こることが多いとされるが、明らかな誘因のない場合も多い。
  1. 発症様式からは上述のように、出血性発症、虚血性発症、その他の症状、無症候に分けられる。罹患動脈では内頸動脈系と椎骨動脈系に分けられ、それぞれ頭蓋内、頭蓋外にさらに分類される。わが国の調査では、頭蓋内椎骨動脈解離が多い。
  1. 頭蓋内の頸動脈系では前大動脈解離が比較的多い。
 
診断: >詳細情報 
  1. 診断には、画像診断が不可欠である。頚部血管まで含めたMRI、MRAが非侵襲的な検査法としては最も有効である。MRAの画像により、頚部から頭蓋内主幹動脈壁に、intimal flapや壁内血栓を認める。MRでは壁内血栓の特異度が高いが、血管径の拡大や動脈瘤形成の診断も可能である。
  1. 頭蓋内椎骨動脈解離のMR(壁内血栓)および血管撮影所見:<図表>
  1. 椎骨動脈血管撮影所見(pearl and string sign):<図表>
 
原因疾患の評価: >詳細情報 

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

虚血性発症、出血性発症の急性期の治療例
  1. 虚血性発症、出血性発症のいずれの場合も、治療の中心は、安静と高血圧症例での降圧治療である
  1. ベッド上安静、禁食、バイタルサインの頻回チェックが必要である
○ 通常1)を行う。高血圧症例では2)~9)より1剤選択して用いることを考慮する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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頭蓋外動脈解離による虚血性脳卒中の抗血栓療法アルゴリズム
椎骨動脈血管撮影所見(pearl and string sign)
頭蓋内椎骨動脈解離のMR(壁内血栓)および血管撮影所見
頭蓋内椎骨動脈解離のMR所見
著者校正/監修レビュー済
2017/11/30