脳脊髄液減少症 :トップ    
監修: 永山正雄 国際医療福祉大学大学院医学研究科 神経内科学
篠永正道1) 美馬達夫2) 1)国際医療福祉大学熱海病院脳神経外科 2)山王病院 脳神経外科

概要

疾患のポイント:
  1. 脳脊髄液減少症は、主として脳脊髄液の漏出により髄液量が減少するため、頭痛、めまい、視覚・聴覚障害、倦怠など多彩な症候が出現する疾患である。
  1. 低髄液圧症候群、低髄液圧性頭痛と同一の疾患である。
  1. 特に原因がなく髄液が漏出する特発性と頭部・脊椎外傷による外傷性があるが、そのほか腰椎穿刺後や脳室‐腹腔シャント(V-Pシャント)の流出過多によるものもある。
  1. まれな疾患といわれていたが、多くは診断されずに経過しており、またむち打ち症後遺症の一部もこの疾患の可能性があり、決してまれな疾患ではない。
  1. 典型的特発性例では起立性頭痛、低髄液圧、造影脳MRIでのびまん性硬膜肥厚がみられるが、これを有さない例も多い。
  1. 診断は起立性頭痛や多彩な症候および造影脳MRIでの髄液減少所見とRI脳槽シンチグラフィ、CTミエログラフィでの髄液漏出所見から得られる。
  1. 発症3カ月以内の急性期では臥床安静、十分な水分補給で症候は改善することがあるが、改善しない場合はブラッドパッチ治療を考慮すべきである。
 
診断: >詳細情報 
  1. 軽度の交通外傷(むち打ち症など)やスポーツ外傷、転倒で尻もちをつくなどを機に頭痛が始まり(通常は1週間以内に発症)、いつまで経過しても治らない。
  1. 頭痛、頚部痛以外にも、めまい、聴覚過敏、光過敏、羞明(まぶしさ)、倦怠(易疲労)、記銘力低下など多彩な症状も伴うことが多い。
  1. 臥床安静、経口補水液・点滴などによる十分な水分補給で症候が改善する場合は、この疾患である可能性が高い。
  1. 造影脳MRIによりびまん性硬膜肥厚の所見があれば、脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)と確定診断できるが、この典型的な所見がないからといって、脳脊髄液減少症は否定できない。肥厚性脳硬膜炎も同様の所見を示すが、その場合は、起立性頭痛の有無による臨床症状で鑑別しなければならない。
  1. より精密な検査としては、造影脳MRIに加えて、MRミエログラフィ、RI脳槽シンチグラフィ、CTミエログラフィによる髄液漏出所見の有無を調べる必要がある。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための検査例
  1. 通常の神経学的検査を行う。これにより脊髄疾患、末梢神経疾患、パーキンソン病などの鑑別診断ができる。
  1. 過去にガドリニウムアレルギーがない場合は造影脳MRI(矢状断、冠状断)、脊髄MRI(T2矢状断、ミエログラフィ、T2軸位脂肪抑制)を行う。
○ 診察により、他の疾患を除外したのち、1)を評価する。診断に難渋する場合は2)、3)を追加する。

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「髄液漏出症」と「低髄液圧症」(低髄液圧症候群)の病態
著者校正済:2018/02/28
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