糞線虫症 :トップ    
監修: 具芳明 国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター
椎木創一 沖縄県立中部病院 感染症内科

概要

疾患のポイント:
  1. 糞線虫症はStrongyloides stercoralisという線虫が引き起こす感染症である。日本では沖縄などに限定されるが、世界的にみれば東南アジアを中心に流行が持続しており、渡航後の帰国者が日本各地で発症する可能性は十分にある。  エビデンス 
  1. 糞線虫の虫体:<図表>
  1. 自家感染(autoinfection)という特質により世代交代を行いながら継続的に宿主内にとどまり、免疫不全などにより過剰感染(hyperinfection)になる。
  1. 糞線虫の生活環:<図表>
  1. 糞線虫症は、症状は全くないことも多いが、軟便や便秘、腹部膨満などを訴える場合もある。
  1. 糞線虫症は、過剰感染からグラム陰性桿菌(大腸菌、クレブシエラ)などによる敗血症や髄膜炎、肺炎、イレウスなどを伴う播種性糞線虫症(disseminated strongyloidiasis)という重篤な病態を引き起こすことがある。特に、発熱などの全身症状を伴う場合には、「播種性糞線虫症」を念頭にワークアップを行う。 エビデンス 
 
糞線虫症の診断:  >詳細情報 
  1. 虫体を糞便で確認することが診断となる。なお、腸管運動が低下している場合、十二指腸から虫体が逆流するため胃液でも虫体を確認できることがある。
  1. 虫体の確認方法には、直接塗抹法、ホルマリン・エーテル沈殿法、寒天培地法などが存在する。そのうち、直接塗抹法は検体を直接検鏡するため迅速に判断できるが、感度が低く、可能ならば感度の高いホルマリン・エーテル沈殿法や寒天培地法を併用したい。
 
糞線虫症の治療: >詳細情報 
  1. 治療には、イベルメクチン2回の投与を行う。
  1. 播種の状態にない場合、イベルメクチン2回の投与でほとんど駆虫されるので、治療効果判定のための検便などは不要と思われる。しかし流行地への渡航などがあれば再感染の可能性はある。
 
播種性糞線虫症の診断: …

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

糞線虫症の診断
糞線虫症の診断:
  1. 虫体を糞便で確認することが診断となる。腸管運動が低下している場合、十二指腸から虫体が逆流するため胃液でも虫体を確認できることがある。
 
虫体の確認方法:
  1. 虫体の確認方法には、直接塗抹法、ホルマリン・エーテル沈殿法、寒天培地法などが存在する。
  1. 直接塗抹法は検体を直接検鏡するため迅速に判断できるが、感度が低いため繰り返す必要がある。できればより感度の高いホルマリン・エーテル沈殿法や寒天培地法を併用したい。
  1. 症状は全くないことも多いが、軟便や便秘、腹部膨満などを訴える場合もある。さらに発熱などの全身症状を伴う場合には、「播種性糞線虫症」念頭にワークアップを行う。
 
血液検査:
  1. 参考として血液検査にて好酸球数の上昇をチェックする。播種するリスクの評価のためには、HTLV-1抗体やリスク行為(unsafe sexなど)があればHIV抗体検査のチェックも追加する。
○ 1)~3)の検査で、糞便や胃液などから糞線虫の虫体や虫卵を検出する。

追加情報ページへのリンク

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

糞線虫の生活環
糞線虫の虫体
著者校正/監修レビュー済
2016/07/21