腸チフス・パラチフス :トップ    
監修: 具芳明 国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター
氏家 無限 国立国際医療研究センター 国際感染症センター

概要

疾患のポイント:
  1. 腸チフス、パラチフスとはSalmonella entericaのいくつかの血清型で生じる全身性発熱性疾患であり、英語では“Enteric fever”と総称される。腸チフスとパラチフスの両者に臨床的な差異はない。
  1. 臨床症状は非特異的であり、初期(第1週)には菌血症による発熱、悪寒、前頭部の鈍痛、倦怠感、食欲低下、嘔気や比較的徐脈( エビデンス )などを認め、徐々に増悪する。発症後2週目には腹痛のほか、体幹や腹部にバラ疹(<図表> エビデンス )と呼ばれる2~4mm大で淡紅色の斑状皮疹を認めることがあり2~5日で自然消退する。
  1. 腸チフス、パラチフスは感染症法の3類感染症であり、診断後には直ちに保健所に届け出る必要がある。また、便中に排泄される病原体で経口感染をするため、感染症法により飲食物に直接接触する作業者に対して就業制限がある。
  1. 腸チフス、パラチフスは学校保健安全法で第三種感染症に指定されており、「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」を出席停止の期間の基準としている。
 
診断: >詳細情報 
  1. 腸チフスを疑う際には2カ月以内の海外渡航歴を詳細に聴取する必要がある。
  1. 腸チフスの診断は血液、骨髄液、便、尿の培養検査にて病原体を検出することで確定される。
 
予後: >詳細情報 
  1. 適切な抗菌薬で十分な期間治療を行っても、治療終了後2~3週間で5~10%の症例に再発を認める。
  1. 抗菌薬が使用できなかった時代の腸チフス、パラチフスによる致命率は15%以上とされるが、抗菌薬を用いて治療を行った場合の致命率は1%以下とされる。
  1. 腸穿孔などの合併症(<図表>

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

確定診断に必要な培養検査例
  1. 確定診断や適切な抗菌薬選択には培養検査による病原体の検出が不可欠である。
  1. 腸チフスやパラチフスを疑った際には、抗菌薬の開始前に各種培養検体(特に血液)を採取する。
  1. 抗菌薬がすでに開始されている際には、病態を考慮しつつ抗菌薬を中止して48時間以上経過してから培養検体を採取するか、骨髄穿刺による骨髄液採取を検討する。
○ 上記に基づき、下記の検査を考慮する。特に血液培養は大事な検査である。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

合併症を伴わない腸チフス・パラチフスの治療アルゴリズム
腸チフス・パラチフスの発生頻度からみた流行地域
回腸末端部の穿孔所見
バラ疹の皮膚所見
回腸末端の腸穿孔所見
比較的徐脈の所見
腸チフス・パラチフスの年別・感染地域報告数(2000~2011年)
腸チフス・パラチフス患者の推定感染地、2005~2008年
著者校正/監修レビュー済
2018/04/18


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