停留精巣 :トップ    
監修: 松田公志 関西医科大学 泌尿器科学教室
渡邉仁人 関西医科大学枚方病院 腎泌尿器外科

概要

ポイント:
  1. 停留精巣は、小児泌尿器科疾患で最も頻度が高い疾患で、精巣が陰嚢内に下りていない状態である。
  1. 出生男児100人のうち、約3人の頻度に認める。
  1. 発生の原因は特定されていない。満期産に比べて、早期産の児の発生が高いとされる。
 
診断: >詳細情報 
  1. 触診により診断し、触知可能な精巣(触知精巣)と触知できない精巣(非触知精巣)に分類される。非触知精巣は、停留精巣のうちの約20%にみられる。原因として、腹腔内精巣、精巣下降時に発生した精索軸捻転症による消失精巣、精巣無発生が考えられる。
  1. 非触知精巣の補助診断方法として、超音波検査、MRIがある。しかし最近は、診断と治療を兼ねることのできる、腹腔鏡検査が行われることが多い。
  1. 停留精巣と混同されやすい病気として、移動性精巣(遊走精巣)がある。これは、精巣下降は完了しているが、精巣挙筋の過剰反射と精巣導帯の陰嚢底部への固定不良により鼠径部に挙上する状態である。
 
予後:
  1. 停留精巣は、正常に下降している精巣に比べ、精巣腫瘍の発生リスクが数倍高い。精巣固定を行うことで、停留精巣の状態より早期発見することが可能と考える。現在のところ、早期の手術が精巣腫瘍のリスクを下げるという明確なエビデンスはない。
  1. 妊孕性・父性獲得:片側停留精巣は正常とほとんど遜色ないとされるが、両側停留精巣では低下する。
 
治療: >詳細情報 
  1. 触知精巣では、経鼠径的精巣固定術が行われる。非触知精巣では、鼠径部試験切開と腹腔鏡検査が行われるが、施設によってどちらを先行して行うかは異なる。
  1. 生後6カ月以上経過した例では、停留精巣は陰嚢内に下降することはほぼないため手術適応となる。
 
臨床のポイント:
  1. 停留精巣は、生後3カ月は自然下降の可能性がある。
  1. 生後6カ月までに陰嚢に下降していない精巣は、精巣固定術を行う。
  1. 手術適応の時期は、施設の状況により異なるが、陰嚢内への下降の可能性がなくなる6カ月以降、2歳未満が標準的であろう。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時の評価方針例
  1. 基本的には、触診のみで判断する。
  1. 触診で精巣を触れるときは、位置、大きさ、陰嚢に下ろすことができるか確認する。明らかな精巣を触れずに、小さな塊や軟らかい腫瘤を陰嚢内や鼠径部に触れることがある。これらは非触知精巣として扱い、鼠径部試験切開や腹腔鏡検査についての説明を行う。
○ 生後6カ月以降の男児で、精巣を用手的に陰嚢内に引き下ろすことのできない場合、あるいは精巣を鼠径部、陰嚢内にふれない場合は、停留精巣と診断し、手術適応とする。精巣の局在診断の補助として、1)または2)を追加してもよい。

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停留精巣診療フローチャート
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著者校正/監修レビュー済
2016/04/01