好酸球性胃腸炎 :トップ    
監修: 上村直実 国立国際医療研究センター 国府台病院
喜多宏人 帝京大学医学部内科学講座

概要

疾患のポイント:
  1. 好酸球性胃腸炎とは、消化管壁への好酸球浸潤を特徴とする原因不明のまれな炎症性消化器疾患である。病変は胃、十二指腸、小腸などに好発する。食道や大腸にも病変を認める場合もある。
  1. 小児期から高齢者まであらゆる年齢層に生じるが、20歳代から50歳代の年齢に好発する。
  1. 多彩な症状を持ち、嘔気、嘔吐、腹痛、腹部膨満などの消化管狭窄、閉塞症状を起こすことや蛋白漏出性胃腸症や消化管出血を起こすことがある。また、長期罹患例は貧血、栄養障害、体重減少を認めることもある。
  1. 典型例ではアレルギー疾患を有する患者が、腹痛、下痢などの消化器症状を訴え、末梢血好酸球増多を認めた場合、本症を疑う。実際にはアレルギー疾患のない例や、末梢血好酸球増多のない例もある。
  1. 好酸球性消化管疾患は指定難病であり、中等症以上の場合などでは申請し認定されると、保険料の自己負担分の一部が公費負担として助成される。([平成27年1月施行])
  1.  難病法に基づく医療費助成制度 
 
診断: >詳細情報 
  1. 診断指針を基に診断を行う。
  1. 好酸球性胃腸炎の診断・治療指針(案):<図表>
  1. 好酸球性胃腸炎の大腸内視鏡写真:<図表>
  1. 好酸球性胃腸炎の大腸内視鏡写真:<図表>
  1. 好酸球性胃腸炎の診断フローチャート:アルゴリズム
  1. 末梢血好酸球増多、血清IgE高値、腹水好酸球増多、消化管粘膜生検で著明な好酸球浸潤を認めることは、診断上有用である。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 症状は多彩であり、特定の症状で重症度を評価することは困難である。
  1. 多くはステロイドが著効するが、消化管穿孔、狭窄例も報告されている。
  1. 指定難病では最盛期の症状スコアを用いて重症度を評価している。
  1. 症状スコア: >詳細情報 
 
治療: >詳細情報 
  1. 症状の程度に応じ、食事摂取を制限する。
  1. 酸分泌抑制薬や、粘膜保護薬、副交感神経遮断薬、制吐薬、整腸薬などの薬物を適宜使用し、症状改善に努める。
  1. 上記加療で自然軽快することもあるが、ステロイド投与が有効であることが多い。
 
専門医相談のタイミング: >詳細情報 
  1. 入院を要する例や、ステロイド使用例は、原則専門医紹介する。また、消化管穿孔の可能性のある例は、消化器外科にすみやかに紹介する。
 
臨床のポイント:
  1. 好酸球胃腸炎とは、好酸球の浸潤に伴う消化管粘膜傷害である。
  1. 腹痛・下痢・嘔吐を主訴とし、内視鏡検査による生検組織に著明な好酸球浸潤を認める。
  1. 腹部超音波検査またはCT検査で消化管壁の肥厚が特徴的である。
  1. 自己免疫疾患の可能性があり、ステロイドが著効することが多い。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための検査例
  1. 下記の消化管内視鏡検査により原因不明のびらんを観察した場合、確定診断のためには消化管粘膜の生検を行う。生検の結果にて、消化管への好酸球浸潤を確認することで診断となる。
  1. 参考所見として、末梢血好酸球増多を認めることがある。また、自己免疫またはアレルギーの機序も考慮されるため、血清IgEの評価を行う。
○ 診断のために1)を行う。参考所見の確認に2)3)を評価する。 
1)
上下部内視鏡検査
2)
3)

治療例
  1. 症状の程度に応じ、食事摂取を制限する。
  1. 酸分泌抑制薬や、粘膜保護薬、副交感神経遮断薬、制吐薬、整腸薬などの薬物を適宜使用し、症状改善に努める。
  1. 上記加療で自然軽快することもあるが、ステロイド投与が有効であることが多い。
○ 治療として1)を用いることが多い。 
1)
プレドニゾロン錠「タケダ」 [5mg] 4~8錠 分2~3 食後 [好酸球性胃腸炎は適用外/他適用用量内/㊜アレルギー性鼻炎](編集部注:想定する適用病名「好酸球性胃腸炎」/2015年11月)
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薬理情報 内分泌疾患用薬 >副腎皮質ステロイド薬
同効薬一覧
要注意情報
腎注 肝注 妊C 乳注 児量[有]

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

好酸球性胃腸炎の診断フローチャート
Tallyらの好酸球性胃腸炎の診断基準
好酸球性胃腸炎の診断・治療指針(案)
好酸球性胃腸炎の大腸内視鏡写真
好酸球性胃腸炎の大腸内視鏡写真
著者校正/監修レビュー済
2016/08/05