今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 加藤元嗣 公益財団法人 北海道対がん協会

監修: 上村直実 国立健康危機管理研究機構(JIHS)国立国府台医療センター/東京医科大学消化器内視鏡センター

著者校正済:2025/11/12
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『消化性潰瘍診療ガイドライン2020(改訂第3版)』と『H. pylori 感染の診断と治療のガイドライン2024改訂版』に基づき内容を更新した。
  1. 治療項目を最新の情報にアップデートし、各治療フローチャートも更新した。
  1. 難渋例の症例について画像を用いて解説した。

概要・推奨   

  1. 消化性潰瘍による穿孔や狭窄に対しては外科的治療を考慮し、程度の軽い限局性腹膜炎の穿孔に対しては内科治療の適応がある(推奨度1,J)
  1. 狭窄による通過障害で嘔吐、体重減少の症状や、内視鏡の通過不能などの場合に内科的治療を行う(推奨度1,J)
  1. 出血性胃・十二指腸潰瘍患者には内視鏡的止血治療を行い、止血が困難な場合には外科手術(推奨度1,J)やInterventional radiology(IVR)に移行する(推奨度2,J)
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  1. NSAIDs使用者でないH. pylori 陽性の胃・十二指腸潰瘍では、H. pylori 除菌治療が第1選択である。除菌によって治癒率が向上するばかりではなく、除菌に成功すると維持療法を行わなくても潰瘍再発が著しく抑制される(推奨度1,CSJ)
  1. H. pylori 除菌の標準療法はカリウムイオン競合型酸阻害薬(P-CAB)もしくはプロトンポンプ阻害薬(PPI)+アモキシシリン+クラリスロマイシンもしくはメトロニダゾールの3剤併用療法の7日間投与である(推奨度1,MJ)
  1. 活動性胃・十二指腸潰瘍ではH. pylori 除菌治療後に潰瘍治療を追加する(推奨度1,RJ)。活動性十二指腸潰瘍ではH. pylori 除菌治療後に潰瘍治療を検討する(推奨度2,MJ)
  1. 非NSAIDs・H. pylori 陰性胃・十二指腸潰瘍の初期治療には酸分泌抑制薬であるP-CAB、PPI単独投与を行う(推奨度1,SJ)
  1. H. pylori 除菌治療を行わない場合は、初期治療で潰瘍が治癒した後は、再発を抑制するために維持療法を行うことが推奨される(推奨度1)
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
加藤元嗣 : 講演料(武田薬品工業(株),大塚製薬(株))[2025年]
監修:上村直実 : 講演料(武田薬品工業(株),カイゲンファーマ(株))[2025年]

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