薬剤性腸炎(含む 偽膜性腸炎、NSAIDs腸炎、薬剤起因性collagenous colitis等)

著者: 林繁和 医療法人和合会 和合病院

監修: 上村直実 国立国際医療研究センター 国府台病院

著者校正/監修レビュー済:2018/12/06

概要・推奨  

疾患のポイント:
  1. 薬剤性腸炎とは、文字通り薬剤によって誘発される腸炎のことであり、下痢、腹痛などの症状を来す疾患である。
  1. 薬剤性腸炎といえば、かつては抗菌薬投与後に起こる抗菌薬起因性腸炎が大半を占めていたが、現在は下記に記すようにさまざまな薬剤で引き起こされることが分かってきている。抗菌薬起因性腸炎は、さらに偽膜性腸炎と出血性腸炎(非偽膜性)に分けられる。
  1. 最近は小腸カプセル内視鏡やダブルバルーン小腸内視鏡の普及により、NSAIDs腸炎がかなりの頻度で存在することが知られるようになった。
  1. collagenous colitisや腸間膜静脈硬化症のなかにも、薬剤の関与例がかなりあることが知られている。
  1. 薬剤性腸炎診断・治療の流れ:アルゴリズム
 
薬剤性腸炎を引き起こす薬剤:
  1. 薬剤性腸炎を引き起こす薬剤としては、抗菌薬、抗腫瘍薬、免疫抑制薬、経口避妊薬、ランソプラゾール、金製剤、漢方薬(山梔子)、オルメサルタン、浣腸液、下剤などがある。
 
偽膜性腸炎:
  1. ポイント:
  1. 偽膜性大腸炎とは、内視鏡検査で大腸の粘膜に小さい円形の膜(偽膜)が見られる病態である。そのほとんどがクロストリジウム・ディフィシル菌(Clostridium difficile)による感染性腸炎の1種で、この菌の産生する毒素によって粘膜が傷害されることにより発症する。偽膜性腸炎の重症例では疾患に気付かれないと死に至ることもある。
  1. 診断:
  1. 内視鏡を施行し、偽膜を認めてはじめて偽膜性腸炎の診断となる。そのほとんどはClostridium difficile(CD)に起因するが、一部MRSAによるものもある。偽膜を認めない場合や内視鏡検査を施行していない場合はあくまで検出された菌によってClostridium difficile(CD)腸炎あるいはMRSA腸炎としかいえない。
  1. なおCDの嫌気培養は一般病院では困難なこともあるし、また診断のうえでは培養よりも毒素の証明が重要である。
  1. 重症度:
検査・処方例
※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

薬剤性腸炎の診断のための細菌学的検査例
  1. 鑑別診断として感染性腸炎を否定するために便培養を行う。抗菌薬投与例ではCD毒素を検査する。
○ 感染性腸炎を否定するため1)を、偽膜性腸炎を疑う患者では2)を検査する。

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. 疾患情報に「オルメサルタン関連スプルー様腸疾患」を追加した。
  1. 診断に記載の「腸間膜静脈硬化症」について、参考文献を追加し詳述した。
  1. 新薬が薬価収載されたため、オーダーセットを更新した。


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