多系統萎縮症 :トップ    
監修: 高橋裕秀 みどり野リハビリテーション病院
平山正昭 名古屋大学 神経内科学

概要

疾患のポイント:
  1. 多系統萎縮症(multiple system atrophy、MSA)とは、以前は別個の疾患とみられてきた、オリーブ橋小脳萎縮症、Shy-Drager症候群、線条体黒質変性症に、病理上同じ特徴が認められて統合された神経変性疾患群である。
  1. 孤発性、進行性、成人発症(>30歳)の疾患で、自律神経不全に加えてL-ドパ反応性不良のパーキンソニズムまたは小脳症状を呈する。経過中に、必ず難治性の膀胱症状や呼吸障害が出現する。
  1. 小脳症状を主体とするものはMSA-C、パーキンソニズムを主体とするものはMSP-Pと分類する。
  1. 多系統萎縮症は、指定難病であり、その一部(modified Rankin Scale、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれかが3以上などの場合)は、申請し認定されると医療費の自己負担分の一部が公費負担として助成される。([平成27年1月施行])
  1.  難病法に基づく医療費助成制度 
 
診断: >詳細情報 
  1. ポイント:
  1. AANのMSAコンセンサスガイドラインにより、MSAほぼ確実例(probable)の診断基準は以下である。
  1. 1:孤発性、進行性、成人発症(>30歳)の疾患で、自律神経不全に加えてL-ドパ反応性不良のパーキンソニズム(運動緩慢と筋強剛、振戦、姿勢保持困難)または小脳症状(歩行運動失調、小脳性構音障害、肢節運動失行、小脳性眼球運動障害)を呈する。
  1. 2:自律神経症状として、膀胱排尿障害、男性では勃起障害または起立性低血圧(起立3分後の収縮期血圧30mmHg以上あるいは拡張期血圧15mmHg以上の低下)を呈する。
  1. しかし、この基準では陽性的中度は高いが、感度が非常に低いことから、MSA疑い例についても診断基準が出されている。(詳細: >詳細情報 )
  1. なお、MSAの診断を支持するred flags(支持しない特徴)も提唱されているので、診断の補助とする。
 
  1. 画像検査:
  1. 脳MRIでは、橋にhot bun cross sign、被殻外側の異常信号や直線化がみられることがある。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

最低限必要な検査例
  1. ポイント:
  1. 神経学的診察を十分に行うことは必須条件であるが、多系統萎縮症小脳type(MSA-C)やパーキンソニズムtype(MSA-P)との鑑別に必要な検査を以下に記載する。
  1. 脳MRI検査:
  1. MSA-Pでは基底核の萎縮や異常信号の検出、MSA-Cでは、脳幹、小脳萎縮やhobun cross signの存在を検出する。また、PSPとの鑑別の際には中脳被蓋部の萎縮の有無、大脳皮質基底核変性症(CBD)との鑑別には大脳の左右差の有無を確認する。
  1. 心筋MIBGシンチ:
  1. MSA-PとPDを鑑別する際に有用である。しかし、遺伝性PDの場合には異常はみられないので注意が必要である。
  1. 神経伝導速度:
  1. 家族性アミロイド神経炎(FAPやその他の神経炎による自律神経障害を鑑別する際に有用である。病歴と臨床症状、症候と脳MRIをもとに診断する。
○ 上記に基づき、まず1)にて脳萎縮の有無を検討し、脳MRIに異常がないときには2)3)を考慮する。

追加情報ページへのリンク

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

小脳萎縮とhot bun cross sign
進行性核上性麻痺のハミングバード サイン 
著者校正/監修レビュー済
2017/03/31