今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 石黒太郎1) 東京医科歯科大学 脳神経病態学分野

著者: 水澤英洋2) 国立精神・神経医療研究センター病院

監修: 永山正雄 国際医療福祉大学医学部・成田病院 脳神経内科、集中治療部

著者校正済:2022/05/11
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 日本神経学会:脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. Cerebellar ataxia with neuropathy and vestibular areflexia syndrome(CANVAS)について追記した。

概要・推奨   

  1. 慢性運動失調とは慢性に起こる協調運動障害を指す。
  1. 運動失調症すなわち「ふらつき」の鑑別には①解剖学的部位、小脳性、後索(脊髄)性、前庭性、大脳性運動失調、②症状(局所性か全身性)、③時間的経過(急性、慢性、持続性、発作性)など念頭に診断を行う(推奨度1
  1. 脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration、SCD)とは、小脳、脳幹、脊髄などにおける特定の神経細胞群が徐々に脱落し、変性することにより生ずる神経変性疾患である。
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 慢性運動失調とは慢性に起こる協調運動障害を指す。
  1. 運動失調症すなわち「ふらつき」の鑑別には①解剖学的部位、小脳性、後索(脊髄)性、前庭性、大脳性運動失調、②症状(局所性か全身性)、③時間的経過(急性、慢性、持続性、発作性)など念頭に診断を行う。
 
運動失調の等級分け評価スケール

SARA日本語版

出典

厚生労働省 難治性疾患克服研究事業
運動失調に関する調査および病態機序に関する研究班 作成
 
  1. 変性疾患を疑う前に鑑別する疾患に注意する。
  1. 脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration、SCD)とは、小脳、脳幹、脊髄などにおける特定の神経細胞群が徐々に脱落し、変性することにより生ずる神経変性疾患である。
  1. 全国で約3万人の患者がいると推定される。その約60%が孤発性、約40%が遺伝性である。遺伝性のなかではMachado-Joseph病(MJD/SCA3)、SCA6、SCA31、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)の頻度が高い。
  1. Cerebellar ataxia with neuropathy and vestibular areflexia syndrome(CANVAS)という小脳失調、感覚性末梢神経障害、両側前庭機能障害を主徴とする小脳失調症も頻度は不明ながら本邦において報告されており注意を要する。
 
典型的画像例

SCA31例では小脳に限局した萎縮がみられ、MJD例では小脳だけでなく脳幹にも萎縮がみられている。
a: 高齢健常者
b: SCA31
c: MJD/SCA3

出典

著者提供
 
  1. 弧発性の約70%が多系統萎縮症であり、約30%が皮質性小脳萎縮症である。
 
日本における脊髄小脳変性症(SCD)の頻度

厚生労働省の行った臨床個人調査個人票を用いた疫学研究報告によると、わが国のSCDの有病率は18.6人(10万人あたり)と推定されている。またそのなかでは弧発性SCDが最多の67.2%である。弧発性のなかでは多系統萎縮症が約2/3を占め、残り約1/3が皮質性小脳萎縮症であった。

出典

Shoji Tsuji, Osamu Onodera, Jun Goto, Masatoyo Nishizawa, Study Group on Ataxic Diseases
Sporadic ataxias in Japan--a population-based epidemiological study.
Cerebellum. 2008;7(2):189-97. doi: 10.1007/s12311-008-0028-x.
Abstract/Text Sporadic spinocerebellar ataxias (SCAs) comprise heterogeneous diseases with poorly understood epidemiologies and etiologies. A population-based epidemiological analysis of sporadic ataxias in the Japanese population was described. The prevalence rate of SCAs in the Japanese population is estimated to be 18.5/100,000. Sporadic SCAs account for 67.2% of total SCAs including hereditary SCAs, with olivopontocerebellar atrophy (OPCA) being the most common form sporadic ataxia (64.7%). The natural history analysis conducted on the basis of International Cooperative Ataxia Rating Scale (ICARS) showed that only 33% of patients with OPCA were able to walk at least with one stick 4-5 years after the onset of OPCA, which is much less than that of patients with cortical cerebellar atrophy (CCA). Similarly, 43% of patients with OPCA were able to stand alone 4-5 years after the onset, while 76% of patients with CCA were able to stand alone at the same disease duration. A population-based epidemiological analysis should provide essential information on the natural history of SCAs.

PMID 18418674
 
  1. 本症の診断には、他の疾患、例えば脳血管障害、炎症、腫瘍、多発性硬化症、内分泌異常、薬物中毒などによる二次性の運動失調症が否定されていなければならない。
 
  1. 典型的症例集:症例 SCA6(参考文献:[1]
  1. 病歴:55歳女性。3年前から歩行時のふらつき、めまい感が出現し徐々に階段を下りるのが苦手になった。最近、呂律も回りにくく感じている。体を動かすときに物が揺れて見えることもある。飲酒は機会飲酒、内服薬はなし。
  1. 診察:神経学的には衝動性眼球運動速度低下や眼球運動測定異常を含む眼球運動障害、頭位変換時の懸垂頭位での垂直性下眼瞼向き眼振、軽度の構音障害を認めた。指鼻試験や手回内回外試験、膝踵試験で測定障害も認めた。歩行は開脚歩行. パーキンソニズムや錐体路徴候、自律神経障害は明らかでなかった。
  1. 診断のためのテストとその結果:MRIでは小脳萎縮を認めた。大脳、脳幹に萎縮は認めない。
  1. 治療:タルチレリン錠(5mg)2錠 分2 朝夕食後で開始した。
  1. 転帰:長期的には緩徐に小脳失調が進行し、杖や車椅子が必要となった。
  1. コメント:症状は純粋な小脳失調型。家族歴は両親が早くに他界したため明らかでなかったが、本人の強い希望と慎重な相談のうえ、遺伝子診断を行い、SCA6(CAGリピート22と伸長)と判明した。
  1. 追記:SCA6画像例
 
症例 SCA6

小脳萎縮はみられるが、脳幹は保たれている。

出典

著者提供
 
  1. 参考となるReview Journalと一般向けテキスト
  1. 1) Treatable causes of cerebellar ataxia: Ramirez-Zamora A, Zeigler W, Desai N, Biller J. Movement Disorders. 2015 Apr 15;30(5):614-23. PMID: 25757427.
  1. 2) A practical approach to late-onset cerebellar ataxia: putting the disorder with lack of order into order. Judith van Gaalen, Bart P C van de WarrenburgPract Neurol 2012;12:14-24 doi:10.1136/practneurol-2011-000108 PMID:22258168
  1. 3) Sporadic ataxia with adult onset: classification and diagnostic criteriaThomas Klockgether
Lancet Neurol Volume 9, Issue 1, January 2010, 94–104 PMID:20083040
  1. 4) Cerebellar ataxias Mario Manto and Daniele Marmolino Current Opinion in Neurology Issue: Volume 22(4), August 2009, 419–429 PMID:19421057
  1. 5) An approach to the patient with late-onset cerebellar ataxia. Brent L Fogel and Susan Perlman Nature clinical practice Neurology (2006) 2, 629-635
doi:10.1038/ncpneuro0319 PMID:17057750
  1. 6) 月刊「難病と在宅ケア」編集部編:脊髄小脳変性症のすべて.水澤英洋監修:日本プランニングセンター, 2006
  1. 7) 全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会編:脊髄小脳変性症・多系統萎縮症 Q&A156 金沢一郎監修:全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会, 2009
  1. 8) 神経症候学を学ぶ人のために:岩田誠, 医学書院, 2000
  1. 9) 神経診断学を学ぶ人のために 第2版:柴崎浩, 医学書院, 2013
  1. 10) 医学生・研修医のための神経内科学:神田隆、中外医学社、2008
  1. 11) 小脳と運動失調 小脳はなにをしているか:アクチュアル脳・神経疾患の臨床 辻省次/西澤正豊編集, 中山書店, 2013
  1. 12) Textbook of Clinical Neurology, 3rd edition, Goetz C (Ed),Saunders 2007.
 
  1. ガイドライン
  1. 神経疾患の遺伝子診断ガイドライン2009:医学書院
  1. 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018:南江堂
 
問診・診察のポイント  
  1. 診断においては問診および神経学的診察が重要である。客観的に運動失調があることを示唆する所見を聴取し、発症時期、進行度を推定する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
石黒太郎 : 未申告[2024年]
水澤英洋 : 研究費・助成金など(キッセイ薬品工業(株),サノフィ(株),Ionis Pharmaceuticals, Inc.)[2024年]
監修:永山正雄 : 特に申告事項無し[2024年]

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