固定薬疹 :トップ    
監修: 戸倉 新樹 浜松医科大学医学部附属病院 皮膚科
塩原哲夫 杏林大学 皮膚科学分野

概要

疾患のポイント:
  1. 固定薬疹とは、特定の薬剤が原因となり、原因が加わるごとに同一部位に発疹が生じる病態のことである。原因薬剤が投与されるたびに発症は拡大し、新たな部位にも生ずるようになる。代表的な原因薬剤としてはピリン系薬剤、サルファ剤、バルビツレート系薬剤などが挙げられる。口唇・外陰部など皮膚粘膜移行部に好発する。
 
診断: >詳細情報  アルゴリズム
  1. 薬剤(多くは鎮痛解熱薬)を内服後30分~数時間後に、体の一部の色素斑に一致して発赤が生じ、若干の灼熱感と痒さがある。
  1. 皮疹が円形ないし類円形であることが特徴的であり、紅斑の主体が円形~類円形の場合には固定薬疹を疑う。時に紅斑の一部に水疱を形成することもある。
  1. 全身に多発している場合、Stevens-Johnson症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症(TEN)、多形紅斑などを鑑別し除外する必要がある(<図表>)。固定薬疹の場合は、全身に多発していても原因薬剤の中止のみで軽快することが多い。
  1. 通常は症状が出る数時間前に内服した薬剤が原因薬であることが多いが、数日間内服を繰り返して初めて誘発されることもある。
 
原因薬の評価: >詳細情報 
  1. 投与を中止して急速(1日以内)に軽快がみられれば、原因薬である可能性が高い。
  1. パッチテストは病変部に限局して陽性になることが多い。薬剤添加リンパ球刺激試験(DLST)は、皮疹が全身に多発するタイプ以外は陽性になりにくいが、陽性なら意味があるので施行してみる価値はある。
  1. 内服誘発テストが最も確実である。1/10量から始めるほうが無難であろう。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 固定薬疹でも全身に5カ所以上紅斑性局面が多発したり水疱形成を認める場合には、しばしば発熱や全身倦怠感などの全身症状を伴い、SJS/TENに近い臨床像となるため、入院加療が必要である。
  1. 固定薬疹として始まっても、原因薬剤を特定できずに継続投与されてしまえば、SJS/TENに進展することはあり得る。
 
治療: >詳細情報 
  1. 多くは原因薬剤の中止のみで軽快する。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための評価例
  1. パッチテストは病変部の紅斑が完全に消退したあとに行う。病変でのみ陽性になることが多い。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

診断決定のためのアルゴリズム
母斑と間違われた固定薬疹
単純疱疹後の多形紅斑と思われた固定薬疹
全身症状を伴った多発性固定薬疹
著者校正/監修レビュー済
2016/05/13