今日の臨床サポート

肝斑

著者: 渡辺晋一 帝京大学 名誉教授

監修: 戸倉新樹 掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター 参与/浜松医科大学 名誉教授

著者校正/監修レビュー済:2022/08/31
患者向け説明資料
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
渡辺晋一 : 特に申告事項無し[2022年]
監修:戸倉新樹 : 講演料(マルホ,サノフィ,協和キリン),原稿料(医学書院)[2022年]

改訂のポイント:
  1. レーザートーニング(弱いエネルギーのQスイッチNd:YAGレーザーを繰り返し照射する治療法)が有効との宣伝が行われているが、それが間違いであることを説明した。

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 肝斑は皮膚科の教科書で、その俗称が「シミ」とされているように、戦前はかなり頻度が高かったと思われる。しかし、戦後しばらくして、日本人の多くが化粧などで紫外線対策をするようになり、その頻度はかなり減少した。特に都会では多くの女性はサンスクリーン剤などで紫外線防御を行っているため、都会では少なく、農村では比較的頻度が高いと思われる。
  1. 肝斑は一般に思春期以降、多くは30歳前後から始まる。
  1. 俗に「シミ」と称されているが、「シミ」を主訴とする患者のなかで、肝斑の占める割合は10%以下である。
 
顔面のシミを主訴に来院した患者の色素病変の内訳

シミは皮膚科の教科書では肝斑の俗称とされている。しかし「シミ」を主訴に病院を訪れる患者をみてみると、肝斑の患者は意外と少なく、大部分は老人性色素斑(図<図表>)あるいは扁平な脂漏性角化症(図<図表>)で、なかには遅発性の太田母斑(FDM)(図<図表>,表<図表>,図<図表>,図<図表>,図<図表>,図<図表>,図<図表>)や色素性母斑の場合も少なくない。また化粧品かぶれなどの炎症後色素沈着や固定薬疹(図<図表>)なども含まれている。実際に帝京大学医学部付属病院皮膚科を受診した顔面の色素病変患者を調べてみると、シミを主訴にする患者が最も多く、シミを主訴に来院する患者の60%近くは老人性色素斑で、12%はFDM(太田母斑も含む)であった。次いで扁平な老人性疣贅(脂漏性角化症)が7%を占め、皮膚科教科書でその俗称がシミとされている肝斑は、わずか5%にすぎなかった。ただしこの集計は冬を2回含む1年半の集計であるため、紫外線暴露によって増加する肝斑患者は少なく見積もられたかもしれない。しかし夏季を2回含む集計であっても、10%に満たないと思われる。

 
  1. 妊娠あるいは経口避妊薬の投与を契機に発症あるいは増悪するとされているが、実際は経口避妊薬の内服で発症したと訴える人は少ない。
  1. 紫外線が肝斑の増悪因子であり、紫外線曝露によって増悪するが、紫外線を避けるだけで改善がみられる。
  1. そのため肝斑は通常夏季に増悪し、冬季には軽快することが多い。
  1. ウッド灯検査で、epidermal、dermal、そして両者が混ざったmixedに分類されているが、病理学的には表皮のメラニン沈着はepidermalとdermalで差はなく、純粋なdermal typeはない[1]
問診・診察のポイント  
  1. 肝斑は額、眼窩下部から頬骨にかけて、そして口囲周囲に好発するが、下眼瞼や上眼瞼を侵すことはない。

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