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著者: 塩原哲夫 杏林大学 皮膚科学分野

監修: 戸倉新樹 掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター 参与/浜松医科大学 名誉教授

著者校正/監修レビュー済:2025/02/12
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、下記の点を加筆・修正した。
  1. COVID-19ワクチンによる固定薬疹について追記した(Kabir S, et al. Clin Case Rep. 2022 Dec 8;10(12):e6684.)

概要・推奨   

  1. 全身に多発し一部に水疱形成があるタイプでは、重症薬疹に順じて対応すべきである。
  1. 典型的ではない類乾癬様の皮疹を呈するものや、粘膜のみに認めるタイプもある。
  1. 食物による固定薬疹もある。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 固定薬疹とは、特定の薬剤が原因となり、原因が加わるごとに同一部位に発疹が生じる病態のことである。原因薬剤が投与されるたびに発症は拡大し、新たな部位にも生ずるようになる。代表的な原因薬剤としてはピリン系薬剤、サルファ剤、バルビツレート系薬剤などが挙げられる。口唇・外陰部など皮膚粘膜移行部に好発する。
  1. 原因薬剤を内服していないときは、単なる円形~類円形の色素沈着局面である。
  1. 原因薬剤の内服後数時間で、色素沈着局面に一致した灼熱感、発赤を生ずる。
  1. 原因薬は連日内服するものより、感冒時や生理の際に短期間内服するものが多い。
  1. 内服を続けるうちに、色素沈着部以外の部位にも新生し、多発するようになる。
  1. 全身に多発するものでは、水疱形成や発熱を伴い、中毒性表皮壊死症(TEN)と区別がつきにくくなる。
  1. まれに、色素沈着を残さず軽快する非色素沈着型があり、多くは全身に多発する。
  1. まったく構造の異なった薬剤が同一部位に固定薬疹を起こすことがあり、polysensitivityと呼ばれる。
 
鑑別診断:非色素沈着型固定薬疹と中毒性表皮壊死症

a. 非色素沈着型固定薬疹
b. 中毒性表皮壊死症

出典

著者提供
問診・診察のポイント  
  1. 原因薬を内服していないときは、自覚症のない円形の色素沈着のみなので、母斑、肝斑などと誤診されがちである。

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文献 

Cho YT, Lin JW, Chen YC, Chang CY, Hsiao CH, Chung WH, Chu CY.
Generalized bullous fixed drug eruption is distinct from Stevens-Johnson syndrome/toxic epidermal necrolysis by immunohistopathological features.
J Am Acad Dermatol. 2014 Mar;70(3):539-48. doi: 10.1016/j.jaad.2013.11.015. Epub 2014 Jan 2.
Abstract/Text BACKGROUND: Generalized bullous fixed drug eruption (GBFDE), a particular form of fixed drug eruption (FDE), is characterized by widespread blisters and erosions and can be confused with Stevens-Johnson syndrome (SJS) and toxic epidermal necrolysis (TEN).
OBJECTIVE: We sought to analyze specific features of GBFDE and differentiate it from SJS/TEN.
METHODS: We retrospectively studied patients with GBFDE and SJS/TEN during a period of 10 years. GBFDE was defined as typical FDE lesions with blisters involving at least 10% body surface area on at least 3 of 6 different anatomic sites. Clinical presentations; histopathological features; immunohistochemical patterns of cluster-of-differentiation (CD)3, CD4, CD8, CD56, Fas, Fas ligand, granzyme B, perforin, granulysin, and forkhead box P3 (Foxp3); and serum granulysin levels were compared.
RESULTS: Twenty-three cases of GBFDE were collected. Patients with GBFDE had shorter latent periods, less mucosal involvement, more eosinophil infiltration, and dermal melanophages. Lesional infiltrates in GBFDE had more dermal CD4(+) cells including Foxp3(+) regulatory T cells, fewer intraepidermal CD56(+) cells, and fewer intraepidermal granulysin(+) cells. The serum level of granulysin in GBFDE was also significantly lower than in SJS/TEN.
LIMITATIONS: The number of cases in this study is small.
CONCLUSION: GBFDE is a distinct disease distinguishable from SJS/TEN by particular features such as granulysin, CD56, and Foxp3 expressions.

Copyright © 2013 American Academy of Dermatology, Inc. Published by Mosby, Inc. All rights reserved.
PMID 24388722
Kabir S, Feit EJ, Heilman ER.
Generalized fixed drug eruption following Pfizer-BioNtech COVID-19 vaccination.
Clin Case Rep. 2022 Dec;10(12):e6684. doi: 10.1002/ccr3.6684. Epub 2022 Dec 8.
Abstract/Text Fixed drug eruption is a cutaneous drug reaction which recurs at the same site when the individual is exposed to the causative drug, characterized by single or multiple round sharply demarcated erythematous-to-violaceous patches. Here, we report a patient with generalized non-bullous fixed drug eruption following mRNA-based Pfizer-BioNTech COVID-19 vaccine.

© 2022 The Authors. Clinical Case Reports published by John Wiley & Sons Ltd.
PMID 36514459
Katsuta M, Asahina A, Shiohara T. Multiple fixed drug eruption mimicking parapsoriasis of hypertension drug in a patient with hepatitis C. Case rep Dermatol. 2020: 12:25.
Gleeson P, Tanaka TI, Alawi F, Alhendi F, Fadugba O.
Fixed Drug Eruption of the Tongue Due to Trimethoprim-Sulfamethoxazole.
J Allergy Clin Immunol Pract. 2020 Jan;8(1):328-329.e1. doi: 10.1016/j.jaip.2019.08.019. Epub 2019 Sep 10.
Abstract/Text
PMID 31519543
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
塩原哲夫 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:戸倉新樹 : 講演料(サノフィ(株),日本イーライリリー(株),アッヴィ合同会社,協和キリン(株))[2024年]

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