摂食・嚥下障害(口腔外科) :トップ    
監修: 近津大地 東京医科大学
高橋浩二 昭和大学 口腔リハビリテーション科

概要

障害のポイント:
  1. 摂食・嚥下障害とは食物を認識してから口に運び、咀嚼し、飲み込み、胃のなかへ送り込むまでの食べる過程のいずれかで障害が生じた病態(臨床的徴候)を示し、特定の疾患ではない。
  1. 摂食・嚥下障害と同義語として嚥下障害という用語があり、嚥下障害はいわゆる飲み込みの障害のみを示すのではなく、食物を口のなかに取り込む捕食や咀嚼の障害、食道の機能不全などを包括した用語である。
 
想起: >詳細情報 
  1. 75歳以上の要介護高齢者、経口摂取量が減り短期間に体重減少した患者、肺炎の既往のある患者、湿性嗄声の患者、嚥下関与器官の形態・運動・感覚の異常がある患者、しばしばむせる患者は摂食・嚥下障害である可能性がある。
 
摂食・嚥下障害の病態の評価: >詳細情報 
  1. 摂食・嚥下障害の病態は摂食・嚥下の過程の5期モデルの各期に対応して診断すると具体的な対応法が明らかとなる。
  1. 嚥下5期モデルに対応した嚥下障害の病態:<図表>
 
原疾患の評価: >詳細情報 
  1. 対応法を決定するために原疾患の鑑別はきわめて重要で、例えば、進行性の疾患では摂食・嚥下リハビリテーションの治療目標を機能の回復ではなく、現状機能の維持とする場合も少なくない。
  1. 頻度の多い原疾患:
  1. 脳血管疾患、パーキンソン病関連疾患、多発性硬化症、全身性強皮症、筋萎縮性側索硬化症、統合失調症、頭頸部癌治療後
  1. 重篤な原疾患:
  1. 脳血管疾患、腫瘍、腫瘍性病変
  1. 治療可能なまれな原疾患:
  1. 薬原性錐体外路症状、薬物性口腔乾燥症
 
各期の障害の評価方法: >…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

摂食・嚥下障害の評価
  1. 対応法を決定するため以下の評価を行う。
  1. 初診時のオーダー
  1. 1.原疾患の経過
  1. 2.現在までの発達の経過、食環境、食内容、過敏、拒否の把握(いずれも小児の場合)
  1. 3.意識レベルと食べる意欲の確認
  1. 4.肺炎の有無と既往の把握
  1. 5.体重変化、経口摂取量と食形態の変化、栄養状態、脱水症状の確認
  1. 6.口腔内の乾燥と衛生状態の評価
  1. 7.嚥下関与器官の形態、運動異常、感覚異常の有無、程度を診断
  1. 8.排出能の確認
  1. 9.スクリーニング検査およびVF検査( 解説  <図表>)またはVE検査( 解説  <図表>)を実施し、摂食・嚥下障害の病態を診断 <図表>するとともに摂食・嚥下障害臨床的重症度分類(Dysphagia severity scale)(<図表>)または摂食・嚥下能力グレード(<図表>)の評価を行う
  1. フォローアップ時には上記1~9に加え、初診時立案したリハビリテーションプログラムに対する患者のコンプライアンスを確認する。コンプライアンスが低い場合には患者のモチベーションを高めるとともにプログラムの変更を検討する。
○ 重度の嚥下障害が疑われる場合は3)は行わない。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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(詳細はこちらを参照)

摂食・嚥下障害を判別するフローチャート
嚥下5期モデルに対応した嚥下障害の病態
摂食・嚥下障害臨床的重症度分類(dysphagia severity scale、DSS)
摂食・嚥下能力グレード
嚥下造影検査
嚥下内視鏡検査
排出訓練
頭部挙上訓練
嚥下造影検査にて誤嚥(気管内流入)の確認
嚥下内視鏡検査
著者校正/監修レビュー済
2016/08/05

編集部編集コンテンツ:
 
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