急性腹症 :トップ    
監修: 杉原健一 東京医科歯科大学大学院
角田茂 坂井義治 京都大学 消化管外科

概要

ポイント:
  1. 急性腹症は最近もしくは突然発症した腹痛と定義され、通常は1週間以内の急性発症で手術などの迅速な対応が必要な腹部疾患であり、新たに出現した痛みの場合とともに慢性疼痛の増悪も含まれる疾患概念である。
  1. 腹腔内の異常に起因する場合と、腹腔外に原因のある場合がある。
 
緊急時の対応: >詳細情報 
  1. 通常急性腹症は、緊急対応の必要な疾患である。また、心筋梗塞など腹部疾患に由来しない腹痛も急性腹症となり得ることに留意が必要である。
 
症状治療・診断的治療: >詳細情報 
  1. 急性腹症はあくまでも暫定的な診断であり、原因疾患の評価を行い、その診断に応じ、手術やフォローアップが必要である。
  1. まず、脱水や循環虚脱などの補正に努める。また、必要に応じて、鎮痛薬を投与し鎮痛を図る。
  1. 消化管穿孔の可能性がある場合は絶飲食にて諸検査を行う。また、腸閉塞などの可能性がある場合は安易に抗コリン薬を投与しない。
 
診断へのアプローチ:(診察: >詳細情報 ・主な鑑別疾患と特徴:<図表>
  1. 救急外来における受診動機の5~10%を占める。確定診断が困難なことも多く、35~41%の患者は救急外来での確定診断に至らずに入院となる。確定診断に至らない腹痛のおよそ8割は、2週間以内に軽減・消失する。
  1. 高齢者の急性腹症は、1/2~2/3が入院加療を要し、約1/3の症例は外科的治療を要する。若年者に比し死亡率は6~8倍である。
  1. 高齢者や糖尿病患者などは、重症であっても、典型的な症状を呈さないことがあり注意が必要である。
 
鑑別疾患・追加評価:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. まず、血行動態の不安定な場合は急速輸液をし、安定化を試みる。また、汎発性腹膜炎(下部消化管穿孔に多い)、重症膵炎、脾破裂、腹腔内出血(肝がん破裂、内臓動脈瘤破裂など)、異所性妊娠、急性腸管虚血、急性胆管炎、腹部大動脈瘤破裂・大動脈解離、肺動脈塞栓、急性心筋梗塞などを鑑別として想起し、FAST(focused assessment with sonography for …

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

急性腹症を疑ったときの評価例
  1. 分画を含めた全血球計算値(CBC)は外科的な評価に重要であり、急性腹症全例に行う(生化学検査も可能であれば追加)。
  1. CTを急性腹症患者にルーチンに施行することで、必要に応じた撮影を行う群に比べ、正診率には有意差を認めないものの、重篤な疾患の見落としは減少する(尿路結石を疑う場合は単純CTも有用)。
  1. 腹部超音波検査は、胆嚢炎を疑う場合や妊婦の急性腹症に対する第1選択の画像検査である。また、腹部CTに先行して腹部超音波検査を施行することで無用なCTを減らせる可能性がある。
○ 強い腹部の症状や身体所見がある場合、全身状態の把握のため1)を行う。胆嚢炎の評価やCTの前に2)を行うこともある。また、腹膜刺激症状や高度の炎症反応を認める場合は、原因検索のため3)を行う。

追加情報ページへのリンク

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

急性腹症診断のためのアルゴリズム
主な急性腹症の比較
腹痛の部位
著者校正/監修レビュー済
2018/02/28


詳細ナビ