熱中症(小児科) :トップ    
監修: 渡辺博 帝京大学医学部附属溝口病院
稲冨淳 焼津市立総合病院 小児科科長

概要

疾患のポイント:
  1. 熱中症は「暑熱環境下(heat stress)における身体の適応障害によって起こる病態の総称」と定義される。
  1. 症状は軽症から重症までさまざまであり、重症度の評価と迅速な加療が必要である。
 
診断: >詳細情報 
  1. 暑熱環境への曝露という病歴から本症を疑う。①スポーツ中の若年男女(必ずしも炎天下でなく体育館内の運動でも起こる)、②肉体労働中の中年男性、③日常生活中の高齢者――というパターンが代表的である。①、②を労作性熱中症、③を非労作性熱中症という。後者のほうが、重症度が高い傾向にある。
  1. Ⅰ度の熱中症(熱けいれん)は、四肢の痛みのほか、腹痛、嘔気、嘔吐などの症状がある。
  1. Ⅱ度の熱中症(熱疲労)は、全身倦怠感、頭痛、めまいなどを伴う。
  1. Ⅲ度の熱中症(熱射病)は、高温多湿下での長時間の労動や運動、乳幼児の車内閉じ込め事故などで起こる。深部体温が41 ℃以上になることや、低血圧や頻脈が起こることもある。けいれん、昏睡などの神経症状を来すこともある。
  1. Ⅰ~Ⅲ度に分類するのが日本救急医学会による分類であり、わが国で広く用いられる。()内の病名と必ずしも一致しない。
  1. Ⅲ度熱中症の診断プロセス:アルゴリズム
 
合併症・重症度評価:
  1. Ⅲ度の熱中症では小脳、大脳基底核、辺縁系が障害されやすいとされるため、頭部CT検査により、脳浮腫などを評価することは必須である。検査所見では、横紋筋融解によるCK上昇や、ミオグロビン尿、肝腎機能障害、電解質異常、DIなどを呈することがある。さらに老年者や乳幼児、心疾患などの慢性的な基礎疾患を有する者に発症する古典的熱射病と、基礎疾患のない者が高温多湿下での過度な運動や労作で発症する労作性熱射病に分類される。
  1. 熱中症への対応手順(発生現場において):アルゴリズム
  1. Ⅲ度熱中症の診断プロセス(医療機関において):アルゴリズム
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 死亡の危険因子は施設入所など介護レベルの高い人、高齢者、心疾患の治療歴、来院時のバイタルサインの悪さ(高体温、低血圧)などとされる。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初期治療例
  1. 治療の基本は、冷却と輸液である。
  1. I度、II度の熱中症は涼しい場所で安静を保つ。III度ではそれに加えて、体表面を微温湯で濡らして、風で気化させる。
  1. I度の熱中症では、経口で水分補給。II度、III度では、ヴィーンDなど細胞外液型輸液製剤20mL/kgを5~10分かけて急速輸液。高体温に伴う臓器障害で心機能が低下している場合、肺水腫などに注意しつつ慎重に輸液する。
○ 重症例で急速な冷却を要する場合は1)が有効とされる。Ⅱ度、Ⅲ度の熱中症では2)のような初期輸液を行う。心機能の低下している例では慎重に行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

熱中症への対応手順(発生現場において)
Ⅲ度熱中症の診断プロセス
熱中症への対応手順(発生現場において)
著者校正/監修レビュー済
2017/06/30