呼吸窮迫症候群(小児科) :トップ 監修:渡辺博 帝京大学医学部附属溝口病院
大森意索 東京都立墨東病院 新生児科

概要

疾患のポイント:
  1. 新生児の呼吸窮迫症候群(Respiratory Distress Syndrome、RDS)とは、肺胞虚脱を防ぐ肺サーファクタントが欠乏するために起こる呼吸障害である。在胎32週以下の早産児で最も多くみられる呼吸障害の原因である。
  1. サーファクタント欠乏がRDSの病因であり、未熟な早産児ではサーファクタントの産生不良、比較的大きな児では二次的なサーファクタント欠乏である。
  1. 週数が早いほどその頻度は高くなる。わが国の周産期母子医療センターネットワークのデータベースでは、在胎23~25週:約75%、26~27週:約70%、28~29週:約60%、30~31週:約40%である。また、母体への出生前ステロイド使用の有無で頻度は大きく変わるため、妊娠34週以下の早産児が1週間以内に出生する可能性がある妊婦では、出生前ステロイドの使用が勧められる
 
診断: >詳細情報 
  1. RDSの診断は早産児であることことに加え、臨床症状と胸部X線所見(網状顆粒状陰影、気管支透亮像、すりガラス陰影)にて行う。
  1. 呼吸症状としては、多呼吸、呻吟、陥没呼吸を認め、酸素化が不良である。
  1. RDSの診断にマイクロバブルテストも有用で、RDSであれば直径15μm以下の気泡数が10個以下(Very weak,Weak)である(羊水のstable microbubble < 5、胃内容液のstable microbubble < 10 の場合には、RDS発症の可能性がきわめて高い)。
  1. RDSのX線分類(Bomsel,1970):<図表>
  1. RDS胸部X線:<図表> <図表>
  1. マイクロバブルテスト(stable microbubble test)
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 一般的には在胎週数が小さいほど肺成熟が未熟で、肺サーファクタント欠乏が強いためRDSは重症である。しかし、実際には週数だけでなく妊娠中の状態や出生前ステロイド使用の有無によって重症度は異なる。
  1. 胸部X線所見では含気が不良になるほど重症で、Bomsel分類でⅠ度からⅣ度へと重症度が高くなる。…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

呼吸窮迫症候群(RDS)の治療例
  1. 早産児で呼吸障害のある場合にはRDSを疑う。具体的には酸素化不良(SpO2低値、血液ガスでPaO2低値)で酸素投与が必要な早産児ではRDSを疑い、胸部X線を行うとともに臨床経過に注意し、NICUでの管理を考慮する。
  1. 診断には臨床症状(多呼吸、陥没呼吸、呻吟)に加え胸部X線所見から行い、RDSの重症度を診断して治療する。
  1. RDS予防に母体ステロイド投与が有効であり、実施の有無を確認する。母体ステロイド治療はRDS発症の予防効果があるため、投与の有無でRDSの重症度をある程度予測できる。
  1. 軽症RDSでは酸素投与を行い、さらに悪化する場合には持続陽圧換気(CPAP)が有効である。
  1. 重症RDSでは、肺胞虚脱に対して早期に挿管し肺サーファクタント投与が有効である。
○ RDSが疑われる場合には1)2)を行いながら胸部X線検査や血液検査を行い、診断がつき症状の改善がない場合には3)4)を行う。投与後12時間経過して呼吸障害が改善しない、または再燃なら4)を再投与する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
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(詳細はこちらを参照)

呼吸窮迫症候群への対応
RDSのX線分類(Bomsel,1970)
RDS胸部X線
RDS胸部X線
緊張性気胸
呼吸窮迫症候群の機序
人工サーファクタント投与前後の胸部X線
著者校正/監修レビュー済
2016/05/27


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