起立性調節障害(小児科) :トップ    
監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター
田中英高 OD低血圧クリニック田中

概要

疾患のポイント:
  1. 起立性調節障害(OD)とは、立ちくらみ、朝起き不良、倦怠感、動悸、頭痛、失神などの症状を伴う、思春期に好発する自律神経機能不全の1つである。
  1. ODは思春期に発症しやすい、頻度の高い自律神経機能不全で、一般中学生の約1割を占める。
  1. 全身倦怠、朝の起床困難、頭痛、立ちくらみ、失神など脳血流低下に伴う症状のほかに、無気力、イライラなどの精神症状を伴うこともある。
  1. 午前中に症状が強く、午後から夜に改善することが多い。
  1. 主たる病態は、起立に伴う循環動態の変動に対する代償機構の破綻であるが、その成因として、過少あるいは過剰な自律神経活動、長期の身体活動性低下によって生ずる脱抗重力作用(デゴンディショニング)、概日リズム変調、水分の摂取不足、精神的ストレスが関与する。また本病態と遺伝子多型との関連が報告されている。
 
診断:  >詳細情報 
  1. 診断では、可能性のある身体基礎疾患を除外し、その後、診断アルゴリズムに従って「新起立試験」を実施し、4つのサブタイプ(起立直後性低血圧、体位性頻脈症候群、神経調節性失神、遷延性起立性低血圧)とその重症度を判定する。 解説 
  1. 起立性調節障害診断の手順:アルゴリズム
  1. 失神発作や失神前症状があればヘッドアップティルト試験を実施する。
  1. さらに「心身症としてのODチェックリスト」を実施し、心理社会的関与を判定する。
  1. 「心身症としてのOD」診断チェックリスト:<図表>
  1. 参考になる症状: >詳細情報 
  1. 新起立試験法の準備と実施手順:<図表>
  1. 起立後血圧回復時間の測定:<図表>
  1. 起立性調節障害のサブタイプ:<図表>
  1. 新起立試験法によるサブタイプ判定:<図表>
  1. 従来の起立試験(シェロング起立試験)では、ODのサブタイプで最も頻度の高い起立直後性低血圧が診断できない。新起立試験はその点が改善されている。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. ガイドラインの重症度分類を参考に、重症度を決定する。
  1. 身体的重症度の判定:<図表>
  1. 重症度分類の中等症では、1年後の回復率は約50%、2~3年後は70~80%。
  1. 重症度分類の重症では、1年後の復学率は30%である。重症でも体力に見合った高校に進学した場合、第2~3学年になると9割程度が改善する。しかし、身体症状の残存率は、数年後で20~40%、軽い症状は成人しても続き、心身ストレスで再発もある。
 
治療: >詳細情報 
  1. 治療はガイドラインに沿って行う。治療には、①疾病教育②日常生活上の注意点③学校への指導や連携④薬物療法⑤環境調整⑥心理療法――があり、重症度や心理社会的背景に応じて実施する。
  1. 診断ガイドラインで、「身体的重症度」、ならびに「心理社会的関与の有無」を判断し、「重症度と心理社会的関与度に応じた治療的対応の組み合わせ」を参考に治療を進める。
  1. 身体的重症度の判定:<図表>
  1. 「心身症としてのOD」診断チェックリスト:<図表>
  1. 重症度・心理社会的関与に応じた治療的対応の組み合わせ:<図表>
  1. 薬物療法(メトリジン、リズミックなど)の効果判定は2週間をめどに行い、無効な場合には変更する。 解説 
 
専門医相談のタイミング: >詳細情報 
  1. 4週間経過しても症状がまったく改善しない場合には、専門医に紹介する。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

新起立試験
  1. 起立性調節障害のサブタイプを判定するには必須の検査
○ すべての患者で1)を実施する。失神既往のある患者では、1)、2)を実施する。
1)
新起立試験  解説 
2)
ヘッドアップティルト試験

治療における日常生活上の注意点
  1. 治療では、薬物療法の前に日常生活上の注意点がある。
○ すべての患者で臥位時高血圧(>130mmHg)がない場合、1)、2)、3)すべてを実施する。
1)
水分摂取は1日1.5~2Lとする
2)
塩分は1日10~12gとする
3)
生活リズムを整える

薬物療法例
  1. 主に昇圧薬を用いる。
○ 1)を第1選択薬とする。
1)
(処方例A) 2錠 分2(起床時、就寝前) [適用内/小児用量内/㊜起立性調節障害](編集部注:想定する適用病名「起立性調節障害」/2017年4月)
薬剤情報を見る
薬理情報 昇圧・心不全・冠動脈・末梢血管疾患薬 >非カテコラミン系昇圧薬
同効薬一覧
要注意情報
腎注 肝可 妊C 不明 児量有

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

起立性調節障害診断の手順
新起立試験法の準備と実施手順
起立後血圧回復時間の測定
起立性調節障害のサブタイプ
新起立試験法によるサブタイプ判定
身体的重症度の判定
「心身症としてのOD」診断チェックリスト
重症度・心理社会的関与に応じた治療的対応の組み合わせ
重症OD短期入院クリニカルパスのサンプル(12日間コース)
入院治療の適応条件
著者校正/監修レビュー済
2018/07/04

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。


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