鼠径ヘルニア(小児科) :トップ    
監修: 渡辺博 帝京大学医学部附属溝口病院
金森豊 国立成育医療研究センター 臓器・運動器病態外科部

概要

疾患のポイント:
  1. 小児鼠径ヘルニアのほとんどは、胎児期に発生する腹膜鞘状突起が生後も遺残した結果、そこへ腹腔内臓器が脱出することで発症する外鼠径ヘルニアである。
  1. ヘルニア脱出が戻らなくなることを嵌頓と呼び、臓器の虚血・壊死が起こるので危険である。この場合には早期に専門施設(小児外科のある病院)を受診するように指導する。
  1. 発生率は、0.8~4.4%といわれている。また右側の発症が60%と、多いといわれている。
 
診断: >詳細情報 
  1. 腹圧によって鼠径部に膨隆を確認し、腸管や卵巣などの腹腔内臓器の脱出が触診上確認されれば診断となる。
  1. ヘルニア臓器の脱出が確認できない場合には、自宅で脱出時の写真を撮ってきていただくことがある。
  1. 患側鼠径部を触診してヘルニア嚢の絹ずれの感触(シルクサイン)があることを確認すると、ヘルニア嚢の存在を疑うことができるが、実際には判断が難しいこともある。
  1. 左ソケイ部膨隆:<図表>
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 嵌頓の場合にはイレウス状態となっているため、脱水や腸管虚血に注意して治療を行う。
  1. 未熟児や新生児期の鼠径ヘルニアは、嵌頓の危険性が高く、男児では精巣萎縮を合併することがあるので注意が必要である。
 
治療: >詳細情報 
  1. 鼠径ヘルニアが確認されたら、基本的には早期の手術治療を勧める。 解説 
  1. 生後間もない場合や、低出生体重児などでは麻酔に伴うリスクを考慮し、適当な手術時期を設定する。嵌頓の危険性について十分に説明して、手術までの時期を過ごしていただく。
  1. 手術には、鼠径部小切開で手術する従来の方法と、腹腔鏡下に内鼠径輪を縫縮する方法とがある。治療する病院によって術式の選択があり、どちらのオプションも選択できる病院もある。

専門医相談のタイミング: …

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初期診断方法例
  1. 鼠径部膨隆と触診による脱出臓器の確認が重要である。超音波検査をして確認することもある。
○ 鼠径部の視診、触診が最も重要であり、基本的にはこの所見で診断をする。

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鼠径ヘルニア治療の流れ
著者校正/監修レビュー済
2016/04/01