今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 金森豊 国立成育医療研究センター小児外科系専門診療部外科

監修: 渡辺博 帝京大学老人保健センター

著者校正/監修レビュー済:2022/08/17
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 女児の乳児期早期の鼠経ヘルニアでは卵巣脱出がみられることがあり、その場合の注意点を追記した。

概要・推奨   

  1. 鼠径ヘルニアは基本的に手術治療を早期に行うことを推奨する(推奨度1)
  1. 女児鼠径ヘルニアは診断される年齢が高いことがあり、気づかれにくい傾向がある。

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 小児鼠径ヘルニアは、ほとんどが胎児期に発生する腹膜鞘状突起が生後も遺残してここへ腹腔内臓器が脱出することで発症する外鼠径ヘルニアである[1]。発生率は、0.8~4.4%といわれている。男児に多くみられるといわれてきたが近年では女児の診断率が高まり、男女差はなくなりつつある印象がある。また右側の発症が60%と、多いといわれている[1]
  1. 症状は、多くは鼠径部の膨隆で、この症状を主訴に近医小児科を受診してから紹介で小児外科を受診する。
  1. ヘルニア内容は、男児では腸管が圧倒的多く、大網の脱出をみることがある。女児では腸管脱出のほかに、卵管・卵巣・子宮などの生殖器が脱出することがある。
  1. ヘルニア内容が脱出して戻らなくなることを嵌頓といい、これを放置すると腸管虚血を来し壊死に陥る。そのため嵌頓が疑われた場合には早期に医療機関を受診しヘルニア内容の還納を試みる必要がある。
問診・診察のポイント  
  1. 鼠径部の膨隆を確認するために、下半身を露出してもらい年長児では立位で腹圧をかけて診察する。乳児では啼泣に伴って腹圧がかかるのでこの状態で観察する。ヘルニアの脱出をみたら用手的に還納を試み脱出臓器の性状を確認する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
金森豊 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:渡辺博 : 特に申告事項無し[2024年]

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鼠径ヘルニア(小児科)

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