急性肺塞栓症 :トップ    
監修: 久保惠嗣 地方独立行政法人 長野県立病院機構
中村真潮 陽だまりの丘なかむら内科

概要

疾患のポイント:
  1. 急性肺塞栓症とは、静脈系にできた塞栓子(大部分が血栓)が血流にのって流れ、肺動脈に詰まってしまい、その結果、肺動脈の血流が障害されて呼吸や循環に障害を来した状態である。なお、肺塞栓症(pulmonary embolism、PE)は、多くの場合、急性に血栓塞栓症を生じて速やかな経過をとる急性肺血栓塞栓症を指すが、血栓塞栓が長期にわたって残存して発症時期が明らかでない慢性肺塞栓症や肺高血圧を呈する慢性血栓塞栓性肺高血圧症といった状態も存在する。以下は、血栓による急性肺塞栓症について記載する。
  1. 急性肺塞栓症は、早期診断・治療の可否がその後の予後に直結する。よって、診断が難しい疾患ではあるが、発症リスクを理解して、発症リスクが高リスク状態では常に鑑別に挙げる習慣を身につける。なお、急性肺塞栓症と深部静脈血栓症(deep vein thrombosis、DVT)は1つの連続した疾患であるとの概念から「静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism、VTE)」と呼称され、診断・治療・予防は両者を一括して行われる。
 
診断:アルゴリズム >詳細情報 
  1. ポイント:
  1. 静脈血栓症の危険因子を有し突然の胸痛・呼吸困難を認める患者で、心電図・胸部X線写真で他の疾患を除外し、Dダイマー高値を認める場合に急性肺塞栓症を疑う。確定診断は肺動脈造影CTで行う。
  1. 急性肺塞栓症の診断評価は、重症度評価や疾患の可能性、また下記のWellsスコアやDダイマーの結果によって、造影CTなどを適切に選択することが望ましい。循環動態が安定している場合は、以下のような多施設のコホートスタディで有効性が証明されているアルゴリズムに則ると効率的である。血行動態が不安定な症例では、血栓溶解療法を検討する。
  1. 急性肺塞栓症の診断手順:アルゴリズム
  1. 血行動態が不安定な場合の緊急対応: >詳細情報 
  1. Wellsスコア4点以下の場合:

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

突然の胸痛・呼吸困難の評価例
  1. 静脈血栓症の危険因子を有し突然の胸痛・呼吸困難を認める患者で、心電図・胸部X線写真で他の疾患を除外し、Dダイマー高値を認める場合に急性肺塞栓症を疑う。
  1. 静脈血栓症の危険因子:<図表>
○ Wellsスコアと1)の結果が陰性であれば肺塞栓症の可能性は低いと評価できる。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

PESI とsPESI
静脈血栓症のおもな危険因子
急性肺塞栓症の臨床重症度分類
急性肺塞栓症の肺動脈造影CT
急性肺塞栓症の肺動脈造影
著者校正済:2018/09/05
現在監修レビュー中

改訂のポイント:
  1. 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2017年改訂版)
に基づき、アルゴリズムおよび図表を更新した。


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