今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 鎌田一宏 福島県立医科大学 会津医療センター 総合内科

監修: 山中克郎 諏訪中央病院 総合診療科

著者校正/監修レビュー済:2024/03/21
参考ガイドライン:
日本呼吸器学会:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019
欧州呼吸器学会:成人、および小児における慢性咳嗽の診断と治療に関するガイドライン
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、概要・推奨を見直し、細部の表現の見直しを行ったが、特に新たな知見はなく変更はなかった。
  1. ただし、現在日本呼吸器学会による「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2024」作成におけるシステマティックレビューが行われており、本項では2024年のガイドライン改訂をまって更新する予定である。
 

概要・推奨   

  1. 慢性咳嗽の原因として、咳喘息、アトピー咳嗽、副鼻腔気管支症候群、後鼻漏、胃食道逆流症は頻度が比較的高い。
  1. 疾患特異的な治療を選択することが望ましいが、非特異的原因疾患に対しては、鎮咳の第1選択薬としてメジコンが推奨される(推奨度2)
  1. 原因不明の場合、治療薬を用いた診断的治療は有用である(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 咳嗽は持続時間により、3週間未満持続する急性咳嗽、3週間以上8週間未満持続する遷延性咳嗽、8週間以上持続する慢性咳嗽に分類される。
  1. 小児では4週間以上を慢性咳嗽とする[1]
  1. 遷延性咳嗽は感染後咳嗽が原因として多いが[2]、慢性咳嗽は非感染性が主体となる[3][4]
  1. メタアナリシスの結果では、慢性咳嗽の有病率は一般成人の10%以下とされる[1]。アジアやアフリカより欧米、オセアニアでより頻度は高い。
  1. 咳嗽診療を専門とする医師を受診した10,032人の成人患者を対象とした国際研究では、患者の2/3が女性で、多くは60代であった[5]
  1. 以下の疾患は慢性咳嗽の原因として頻度が高いとされるが、原因は複数にわたることもある(例:咳喘息と逆流性食道炎)。
  1. 咳喘息/喘息
  1. 副鼻腔気管支症候群
  1. 胃食道逆流症
  1. 喉頭アレルギー
  1. アトピー咳嗽
  1. 感染後咳嗽
  1. アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬
  1. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  1. 喫煙
  1. 慢性咳嗽の原因疾患は欧米と相違がある。欧米では咳喘息、後鼻漏、胃食道逆流症の頻度が高いとされているが、日本では咳喘息は高頻度にみられるが、後鼻漏、胃食道逆流症の頻度は必ずしも高くない[6]
 
問診・診察のポイント  
  1. 病歴聴取、身体所見、胸部X線写真は慢性咳嗽診断の基本ワークアップである。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
鎌田一宏 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:山中克郎 : 特に申告事項無し[2024年]

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