卵巣囊胞 :トップ    
監修: 小西郁生 独立行政法人国立病院機構 京都医療センター
北正人 関西医科大学附属病院 産科学婦人科学講座 婦人科内視鏡外科

概要

疾患のポイント:
  1. 卵巣嚢胞とは、卵巣に生ずる嚢胞状の病変の総称である。卵巣嚢胞は、機能性(生理的)嚢胞とそれ以外の病的な嚢胞に分かれる。機能性嚢胞には卵胞嚢胞と黄体嚢胞がある。病的な嚢胞は(狭義の)卵巣嚢腫と呼ばれる。
  1. 卵巣嚢腫には嚢胞腺腫・成熟奇形腫・チョコレート嚢胞(内膜症性嚢胞)などがある。無症状なことが多いが、増大に伴い下腹部膨満感・下腹部痛・性交時痛などを伴い、捻転・破裂などで激痛を生じることもある。
  1. 卵巣に腫瘍が発生する確率は、女性の全生涯でみると5~7%程度とされ、多様な組織型があり、そのなかに良性から悪性腫瘍までさまざまな腫瘍が存在する。
  1. 卵巣嚢腫スクリーニングには経腟超音波と腫瘍マーカーが汎用されるが、卵巣癌の早期発見に対する有用性は確立していない。
  1. 卵巣癌を含めた卵巣嚢腫の診断には、超音波・MRIなどの画像診断が最も有用である。
  1. 腫瘍マーカーは異常に高い値の場合には悪性の可能性が高いが、スクリー二ングとしての有用性は否定的である。
 
診断:アルゴリズム >詳細情報 
  1. 卵巣嚢胞の有無および良悪性の評価にはまず、超音波検査を行いエコーパターンの分類を行う。悪性腫瘍である確率は I 型・II 型・III 型では 3%以下であり、IV 型は約 50%、V 型は約 70%、VI 型は30% とされている。
  1. 悪性が疑われる場合は、腫瘍マーカーや造影MRIで精査する。腹水がある場合は腹水細胞診を行う。また、卵巣周囲から発生する傍卵巣嚢胞、卵管水腫、偽嚢胞などの非腫瘍性病変や、生殖年代では卵胞嚢胞や出血性黄体嚢胞などの機能性嚢胞との鑑別をする。
  1. 最終的な良悪性の診断は摘出標本による病理組織学的検査が必要である。画像診断や腫瘍マーカーによる臨床的な診断の精度には限界がある。
  1. 卵巣腫瘍の臨床病理学的分類:<図表>
  1. 卵巣腫瘤エコーパターン分類:<図表>
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 嚢胞に疼痛・圧痛・発熱などの局所症状を伴う場合には、捻転の他、炎症・感染・(切迫)破裂などの可能性がある。
  1. チョコレート嚢胞(40歳…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

通常のフォローアップ
  1. 直径6cm未満で、悪性病変を疑わない症例では、経腟エコーにてフォローアップを行う。ACOG のガイドラインでは、単房嚢胞性腫瘤は10cmまでは経過観察としている[1]

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リファレンス

img  1:  Practice Bulletin No. 174: Evaluation and Management of Adnexal Masses.
 
PMID 27776072  Obstet Gynecol. 2016 Nov;128(5):e210-e226. doi: 10.1097・・・
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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卵巣腫瘤の診断と管理のフローチャート
卵巣腫瘍の臨床病理学的分類
卵巣腫瘤エコーパターン分類
著者校正/監修レビュー済
2018/02/28