今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 北脇城 京都府立医科大学 名誉教授

監修: 岩瀬明 群馬大学大学院医学系研究科産科婦人科学講座

著者校正/監修レビュー済:2024/06/12
参考ガイドライン:
  1. 日本産科婦人科学会編:子宮内膜症取扱い規約 第1部、東京、金原出版、1993.
  1. 日本産科婦人科学会:子宮内膜症取扱い規約 第2部診療編第3版、金原出版、2021.
  1. 日本産科婦人科学会日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン:婦人科外来編2023、2023.
  1. European Society of Human Reproduction and Embryology: Guideline on the management of women with endometriosis, 2013(https://www.eshre.eu/Guidelines-and-Legal/Guidelines/Endometriosis-guideline)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『産婦人科診療ガイドライン:婦人科外来編2023』、およびGnRHアンタゴニスト製剤の子宮内膜症に対する適用拡大に基づき、若干の改訂を行った。

概要・推奨   

  1. 子宮内膜症性疼痛は、少なくとも月経痛、慢性骨盤痛、性交痛に分類して問診する。疼痛の程度はvisual analog scale (VAS)によって評価する(推奨度1)
  1. 子宮内膜症の確定診断は腹腔鏡検査によって直視的に行うことが原則である(推奨度1)
  1. 子宮内膜症合併が疑われる不妊には、腹腔鏡下手術またはIVF/ICSIを考慮する(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 子宮内膜症とは、子宮内膜またはその類似組織が子宮以外の部位で増殖、発育し、機能する疾患である。
 
子宮内膜症

出典

著者提供
 
  1. 発生機序は、Sampsonの子宮内膜移植説、体腔上皮化成説、胎児組織遺残説、あるいはこれらを複合した説が提唱されているが、未だに不明である。
  1. 第一親等における発生が5~8%である[1]。多くのcommon diseaseがそうであるように、遺伝的素因をもつ個体に後天的な環境要因が加わって疾患が発生する多因子疾患と考えられている。
  1. 性成熟期女性の約10%が罹患する良性の慢性疾患であり、エストロゲン依存性に増殖する。妊娠により改善し、閉経または卵巣摘出術により退縮する。
  1. エストロゲン依存性疾患である子宮腺筋症や子宮筋腫としばしば合併する。
  1. 腹膜病変、卵巣子宮内膜症性嚢胞(卵巣チョコレート嚢胞)、深部病変、癒着などを形成する。
 
子宮内膜症の病変

子宮内膜症の病変は、大別して腹膜病変、卵巣子宮内膜症性嚢胞(卵巣チョコレート嚢胞)、深部病変があり、周辺組織と癒着を形成する。

出典

著者提供
 
  1. 主症状は、月経痛、下腹痛、性交痛などの慢性骨盤痛と、不妊である。
問診・診察のポイント  
  1. 子宮内膜症患者のうち88%が月経困難症を訴え、そのうち70%が鎮痛剤を必要とするほどの強い疼痛を有する[2]
  1. 月経時以外の下腹部痛・腰痛は46%、性交時痛・排便痛は30%と、慢性骨盤痛は高頻度に認められる[2]
  1. 不妊は30~60%に認められる。しかし、自覚症状と病巣の重症度とが比例しないことが特徴である。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
北脇城 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:岩瀬明 : 講演料(フェリング・ファーマ(株))[2024年]

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