分娩時大量出血 :トップ    
監修: 金山尚裕 浜松医科大学 産婦人科
神元有紀1) 池田智明2) 1)三重大学医学部付属病院 周産母子セン... 2)三重大学 病態解明医学講座生殖病態生...

概要

疾患のポイント:
  1. 周産期管理の進歩により妊産婦死亡率は減少してきているが、出血は依然、妊産婦死亡の主要な原因であり、約250人に1人の妊婦が大量出血により生命の危険にさらされている。
  1. 産後の過多出血は(postpartum hemorrhage、PPH)は、経腟分娩では産後24時間以内に500mLを超えるもの、帝王切開では1,000mLを超えるものと定義されている。
  1. PPHのすべてが産科危機的出血に移行するわけではないが、出血量が500mL(帝王切開では1,000mL)を超えた場合は、引き続く産科危機的出血を懸念し、系統的な原因検索および治療を行う。
  1. リスク因子には既往帝王切開、多胎分娩、前置・低置胎盤、巨大子宮筋腫合併、癒着胎盤疑い、羊水過多・巨大児誘発分娩、肥満、分娩遷延、短時間の分娩、器械分娩などが挙げられる。
  1. 基礎疾患(常位胎盤早期剝離、妊娠高血圧症候群、子癇、羊水塞栓症、癒着胎盤など)を持つ産科出血では中等量の出血でも容易に播種性血管内凝固(DIC)を併発するため、注意が必要である。
  1. 経腟分娩例では0.3%に、帝王切開分娩では1.4%に同種血輸血が行われている。
 
診断: >詳細情報 
  1. 分娩時では計測された出血量のみにとらわれることなく、バイタルサインの異常(頻脈、低血圧、乏尿)やショックインデックス(SI: shock index、SI=1分間の心拍数/収縮期血圧)に留意し管理する。 エビデンス 
  1. わが国における分娩時出血量の90パーセンタイル値は単胎の分娩時においては経腟分娩:800mL、帝王切開:1,500mLであり、双胎では経腟分娩:1,600mL、帝王切開:2,300mLと報告されている。
 
重症度評価:
  1. 分娩時の出血は床や寝具などに漏出しやすいこと、羊水が混入していること、腹腔内・後腹膜腔内出血量(頸管裂傷、子宮破裂などによる)は評価困難であること、まとめて出血量を計測すると過少評価しやすいこと、妊娠高血圧腎症では血液濃縮による循環血漿量減少があるため、外出血量に…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

循環血流量不足の評価例
  1. 緊急輸血を準備(決定)する際の出血量(循環血液量不足)の評価は出血量とともに循環動態から判断することが重要である。循環血液量不足はSI値上昇(脈拍数増加)として反映される。すなわち、循環血液量不足状態に応じて、脈拍数は増加し、収縮期血圧は低下する。SI値(バイタルサイン)と計測出血量で循環血液量不足を評価する。妊婦の場合、SI値1.0で約1.5L、SI値1.5で約2.5Lの出血量に相当するとされている。なお、ショック時の心拍数はモニターが装着されていない場合は、頸動脈でカウントする。また、子宮内反症などの副交感神経が刺激されている場合や、腹膜刺激症状時、脳圧亢進時は徐脈を呈することがあり、SI値は参考にならないので注意を要する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)

危機的出血への対応ガイドライン
産科危機的出血の対応プロトコール
分娩時大出血と‘4つの「T」’
著者校正/監修レビュー済
2018/06/06

改訂のポイント:
  1. 産婦人科診療ガイドライン―産科編2017
に基づき改訂を行った。


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