耳硬化症 :トップ    
監修: 森山寛 東京慈恵会医科大学附属病院
東野哲也 宮崎大学 感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学教室

概要

疾患のポイント:
  1. 前庭窓前縁の海綿状骨増殖によりアブミ骨固着が生じ、後天性・進行性伝音難聴を来す疾患である。両側罹患が多いが片側例もある。
  1. 迷路骨包全体に脱灰病巣が拡大すると、蝸牛障害が加わって混合難聴、まれに高度難聴(中途失聴)に至る例もある。<図表>
  1. 難聴発症のピークは30~40歳代で、女性にやや多く、妊娠・出産・子育ての時期に重なることが多い。
 
診断:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. 思春期以降に発症した鼓膜が正常な伝音難聴を認めたら本症を疑うことが診断の第一歩である。検査では、下記の所見を認める。手術に際して、特にCTの所見が大事である。
  1. オージオグラム:
  1. stiffness curve(低音域ほど気骨導差が大きい)や2,000Hzの骨導閾値上昇(Carhart's notch)を伴う伝音難聴~混合難聴を認める。
  1. ティンパノグラム・アブミ骨筋反射:
  1. 正常(A型)ないしピークの低いAs型、アブミ骨筋反射の欠如を認める。
  1. 単純X線撮影(Schuller法):
  1. 良好な乳突蜂巣発育を認める。
  1. マルチスライスCT(スライス間隔0.5mm未満):
  1. 前庭窓前方に限局した脱灰像(<図表>)や蝸牛周囲に広がる骨吸収像(double ring sign)(<図表>)は本症に特徴的な画像所見である。
 
予後:
  1. 通常、アブミ骨手術により劇的な聴力改善が得られる。
  1. 純音聴力検査による障害程度に基づく進展度は、伝音難聴として進行する段階と、迷路骨包への病変進展により混合難聴として進行する段階(advanced otosclerosis)に分類される。混合難聴例には語音弁別能や補聴器装効果を評価し、高度難聴例(far advanced otosclerosis)には人工内耳を含めた治療法を検討する必要がある。
 
治療:

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時検査
  1. 顕微鏡か内視鏡による鼓膜の観察と純音聴力検査による気骨導差を見つけることが最重要。特に低音域に向けて気骨導差が拡大するstiffness curveを示すことが多い。音叉テスト(ウェーバーテストやリンネテストなど)による確認は怠ってはならない。その上で、ティンパノメトリーとアブミ骨筋反射による確認を行うとともに高分解能CT検査をオーダーする。
○ 以下の検査は必須である。鼓膜正常側の純音聴力検査で気骨導差を認めたら2)を行う。アブミ骨筋反射が陰性であれば本症の可能性が高い。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

耳硬化症診断のアルゴリズム
耳硬化症診断のアルゴリズム(Merkus,他,2011)
軸位側頭骨CT所見(右耳)
軸位側頭骨CT所見(右耳)
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著者校正/監修レビュー済
2016/06/10


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