歯性上顎洞炎・歯原性嚢胞 :トップ    
監修: 森山寛 東京慈恵会医科大学附属病院
中島庸也 東京歯科大学 耳鼻咽喉科

概要

歯性上顎洞炎:
  1. まとめ:
  1. 歯性上顎洞炎とは、歯に起因して起こる上顎洞の炎症である。歯性上顎洞炎の原因歯としては、第2小臼歯、第1、2大臼歯が多い。<図表>
  1. 歯性上顎洞炎の原因として、①齲歯による根尖病巣②歯周病③歯根嚢胞の洞内進展④上顎洞内への異物迷入⑤根管治療薬による刺激⑥抜歯による上顎洞穿孔⑦インプラント治療による根尖病巣や洞への穿孔が挙げられる。
  1. 歯性上顎洞炎の起因菌としては、好気性菌のみが10%、嫌気性菌のみが50%、好気・嫌気性菌混合のものが40%程度とされる。
  1. 診断:
  1. 原因歯の打診による疼痛または原因歯周囲の歯肉の腫脹・発赤を認め、画像(X線検査、CT)にて上顎洞病変を認めた場合に診断となる。CTでは冠状断だけではなく前額断や矢状断を撮影するとより評価をしやすい。
  1. 口腔外科では、歯科用X線写真にて歯根嚢胞や上顎洞底部への瘻孔などの根尖病巣の評価を行う。
  1. 歯性上顎洞炎(左):<図表>
  1. 歯性上顎洞炎(CT所見):<図表>
  1. 治療:アルゴリズム
  1. 上顎洞炎の治療と原因歯の歯科治療の両面からの対応が基本となる。耳鼻咽喉科と歯科との連携が必要である。
  1. 急性炎症が強い場合、まずは消炎治療を行う。抗菌薬(ペニシリン系、セフェム系)を投与する。慢性炎症の場合は、慢性副鼻腔炎に準じて、マクロライド少量長期投与を3カ月程度行い、上顎洞病変の経過をみる。
  1. 原因歯の治療は状態により、上顎洞口腔瘻よりのドレナージ・洗浄、あるいは根管治療や歯根端切除術などの歯の保存的治療が選択される。最終手段としては抜歯である。
  1. 歯科的対応および耳鼻科的な保存治療に抵抗する場合や副鼻腔病変が高度である場合は、内視鏡下鼻内副鼻手術の適応となる。
 
歯原性嚢胞:
  1. まとめ:
  1. 歯原性嚢胞とは、顎骨の歯原…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

歯性上顎洞炎の評価例
  1. 上顎洞炎の存在の評価
  1. 原因歯の存在と歯科的病変の評価
○ 副鼻腔炎の確認として1)、歯性の関与は可能であれば2)3)のどれか一つまたはすべてを併用する。

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歯性上顎洞炎のアルゴリズム
歯原性嚢胞のアルゴリズム
歯原性上皮性嚢胞の分類(WHO、1992)
発生部位別による歯原性嚢胞の分類
歯性上顎洞炎(CT所見)
歯根嚢胞(CT所見)
著者校正/監修レビュー済
2016/04/01