今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 松浦良樹 古賀総合病院 内科

監修: 名郷直樹 武蔵国分寺公園クリニック

著者校正/監修レビュー済:2023/04/05
参考ガイドライン:
  1. AAAAI(米国アレルギー喘息免疫アカデミー)/ACAAI(米国アレルギー喘息免疫学会):鼻炎の診療指針2020(Rhinitis 2020: A practice parameter update)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 問診・診察のポイントの項目を問診、身体診察、検査のポイントに分けて整理しなおした。
  1. 鼻汁の鑑別診断について、原因に応じた鑑別診断表を加えた。
  1. 第1世代抗ヒスタミン薬の推奨度を変更した。
  1. 非アレルギー性鼻炎の下位診断について整理し、それらの概要について記載した。
  1. 非アレルギー性鼻炎の治療の推奨を変更した。
  1. 抗ロイコトリエン拮抗薬の推奨度を変更した。
  1. 症状治療・診断的治療・フォローアップの項目について、いくつかの代表的な鑑別疾患ごとに記載を整理しなおした。

概要・推奨   

  1. アレルギー性鼻炎の診断確定のためには、吸入性アレルゲンに対する皮膚プリックテストまたは血清IgE検査を行うことを推奨する(推奨度2)
  1. アレルギー性鼻炎を疑う患者のルーチン検査において、食物性アレルゲンに対する皮膚プリックテストまたは血清IgE検査を行わないことを推奨する(推奨度4)
  1. 感冒に対する抗ヒスタミン薬の投与は、全体的な症状緩和に短期的な効果が得られる可能性があるが鼻汁やくしゃみなどの緩和に十分な効果があるとは言えず、処方する場合は副作用などのデメリットを踏まえて患者と共有した意思決定を行うべきである(推奨度3)
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 鼻腔から出る液体成分は広義にはすべて鼻汁といえるが、狭義には鼻・副鼻腔の腺と杯細胞から分泌される粘液を指す。流涙や鼻出血は狭義の鼻汁とは鑑別を要する。
  1. 広義の鼻汁は鼻・副鼻腔の腺と杯細胞から分泌される粘液(狭義の鼻汁)、涙、呼気中の水の凝縮、血液成分や組織液の移行からなる。
  1. その性状によって漿液性(水様性)、粘液性、膿性、血性や悪臭性に区別される。
  1. 発症からの期間、症状を起こす誘因、鼻汁の性状、随伴症状などの問診から鼻汁の鑑別診断は絞り込みやすい。
  1. 原因疾患は多岐にわたるが、最初に感染性か非感染性かを鑑別し、次にアレルギー性か非アレルギー性かを鑑別すると診療がスムーズに進みやすい。
  1. 鼻粘膜所見は診断のヒントとなることが多く、普段から鼻鏡を使って鼻腔内を観察するよう意識したい。
  1. 咳を合併することが多く、下気道の疾患の合併にも注意したい。
  1. 細菌性は感染性の数%に過ぎない。
 
鼻腔内の解剖図

出典

『今日の臨床サポート』編集部作成
問診・診察のポイント  
 
  1. 鼻汁は鼻炎の主たる症状の1つであり、鼻炎は鼻汁、鼻漏(前鼻漏、後鼻漏)、くしゃみ、鼻閉(鼻づまり)、鼻の痒みのうち1つ以上が存在することで疑われる。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
松浦良樹 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:名郷直樹 : 特に申告事項無し[2024年]

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