肘関節痛 :トップ    
監修: 落合直之 キッコーマン総合病院外科系センター
金谷 文則 琉球大学 整形外科学講座

概要

症状のポイント:
  1. 肘関節痛は年齢により特徴的な病態を示す。外傷性、非外傷性に分けて年代別に鑑別診断を考えるとよい。
 
診断へのアプローチ:(診察: >詳細情報 )
  1. 年齢、診断 問診と理学所見で90%以上の症例で診断が可能である。
  1. 誘発、圧痛点、疼痛誘発テスト(Thomsen test<図表>、chair test、中指伸展テスト<図表>[上腕骨外側上顆炎]、手関節抵抗屈曲テスト[上腕骨内側上顆炎]など)、関節動揺性や運動動作による疼痛の再現(Pivot shift test [後外側回旋不安定症、外側尺側側副靱帯断裂]、投球動作時[肩関節外転・外旋90°、肘関節90°屈曲]の抵抗下の内旋やMoving valgus stress test<図表>[肘関節内側側副靭帯断裂]など)を評価する。
  1. X線、CT、MRIなどの画像診断やエコーは病変の局在、程度を知るために重要である。
 
鑑別疾患:
  1. 幼児(6歳以下):
  1. 外傷がほとんどであり、腫張があれば上腕骨遠位骨端線離開、肘関節脱臼、腫張がなく肩・肘を動かさなければ肘内障を疑う。
  1. 小児(15歳以下):
  1. 外傷では7歳を中心に上腕骨顆上骨折や上腕骨外側顆骨折、12歳前後では上腕骨内側上顆骨折が多い。
  1. 肘関節脱臼や橈骨頭骨折、Monteggia脱臼骨折(尺骨骨折に橈骨頭脱臼を合併)に注意する。
  1. この年齢では骨折に次いでスポーツ障害である野球肘が好発する。
  1. 青年(25歳以下):
  1. 外傷特にバイク事故による高エネルギー損傷が特徴的である。
  1. 青壮年およびそれ以降:
  1. 外傷に加えて使いすぎ(over use)症候群が好発する。
  1. 外側では上腕骨外側上顆炎、内側では上腕骨内側上顆炎が多い。また、内反肘(主に上腕骨顆上骨折変形治癒)に続発する遅発性尺骨神経麻痺、後外側回旋不安定症、外反肘(主に上腕骨外側顆骨折偽関節)に続発する遅発性尺骨神経麻痺、離断性骨軟骨炎に続発する変形性関節症もこの時期に顕在化する(注:内反肘、外反肘のいずれでも遅発性尺骨神経麻痺をおこし得る)。
  1. 手をよく使う労働者では一次性の変形性肘関節症や肘部管症候群も生じる。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

鑑別のための検査例
  1. 問診と診察(圧痛部の確認・疼痛誘発テスト・関節動揺性)で9割以上診断がつく。
  1. X線、CT、MRIなどの画像診断やエコーは病変の局在、程度を知るために重要である。
○ 問診・指針・診察が診断に大事である。通常1)を検査し、軟骨損傷、骨腫瘍の診断に2)3)、肘関節の靭帯損傷、骨端線損傷などの評価に3)、4)を行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)

肘関節痛アルゴリズム 幼児(6歳以下)
肘関節痛アルゴリズム 小児(15歳以下) 
肘関節痛アルゴリズム 青壮年(25歳以上)
7歳男児、右上腕骨外側顆骨折
4歳男児 左上腕骨顆上骨折 机から転落して受傷
Thomsen test(手関節抵抗伸展テスト、上腕骨外側上顆炎)
中指伸展テスト(上腕骨外側上顆炎)
手関節抵抗屈曲テスト(手関節抵抗屈曲テスト、上腕骨内側上顆炎)
Moving valgus stress test(肘関節内側側副靱帯損傷)
著者校正/監修レビュー済
2017/01/20