腕神経叢損傷、分娩麻痺 :トップ    
監修: 落合直之 キッコーマン総合病院外科系センター
田尻康人 東京都立広尾病院 整形外科

概要

疾患のポイント:
  1. 腕神経叢麻痺とは、腕神経叢部位で生じる麻痺のことである。根損傷には脊髄から神経根がちぎれる節前損傷(根引き抜き損傷)と、神経根が椎間孔から出た後で損傷される節後損傷とがある。<図表>
  1. 腕神経叢損傷の原因は、ほとんどが高エネルギー外傷によるもので、オートバイ事故が90%を占め、年齢的にも30歳までの若年者が多い。一方、器械への上肢巻き込みや、肩への落下物による腕神経叢麻痺は労務災害が多く、比較的高年齢であることが多い。まれに頚部の創や長時間の神経圧迫による麻痺もみられる。
 
診断: >詳細情報 
  1. 診察では、感覚障害の程度と範囲、筋力低下の分布、反射を評価し、麻痺に見合った所見の存在とその分布を確認して診断となる。交感神経の損傷でHorner徴候(<図表>)を合併することがあるため、その有無を確認する。
  1. X線検査で頚椎横突起骨折、第一肋骨骨折、横隔膜挙上の有無を確認する。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 神経根が節前損傷であれば神経修復は行えないので、損傷が節前か節後かが重要である。そのため、脊髄造影・ミエログラフィーCTにより神経根の根糸の状況を確認したり、MRI検査で頚椎の神経根糸の状態や外傷性髄膜瘤の有無を確認する。
  1. 針筋電図検査により筋の脱神経電位の有無、麻痺が完全麻痺かどうか、またその分布を確認する。
  1. 腕神経叢:<図表>
  1. 節前損傷と節後損傷:<図表>
  1. 上部麻痺(Erb型麻痺):C5-6の麻痺症状である。三角筋、上腕二頭筋麻痺、肩関節挙上・肘関節屈曲・前腕回外障害などの運動麻痺とC5-6領域の感覚異常を認める。Erb型麻痺では特徴的なwaiter’s tip positionを呈する。(…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断方法例
  1. ほとんどすべての患者で、頚椎単純X線検査、針筋電図検査を行う。
  1. 完全麻痺筋がある場合、脊髄造影・ミエロCT・MRI検査により神経根の評価を行う。
○ 受傷機転と上肢麻痺より本症が疑われたら、全身状態が落ちついてから順次上記諸検査を行う。予後・機能再建を考え時期を失しないよう受傷2カ月以内に専門医へ紹介する。

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薬剤監修について:
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※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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(詳細はこちらを参照)

腕神経叢損傷治療のフローシート
腕神経叢
節前損傷と節後損傷
Horner徴候
ミエログラフィーとCTミエログラフィー
腕神経叢損傷の病型とその代表的手術法
著者校正/監修レビュー済
2016/08/05


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