今日の臨床サポート

腕神経叢損傷、分娩麻痺

著者: 田尻康人 東京都立広尾病院 整形外科

監修: 竹下克志 自治医科大学整形外科

著者校正/監修レビュー済:2022/02/16
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 受傷機転と上肢麻痺より本症が疑われたら、MRIで頸部神経根の評価を行う(推奨度2、o)
  1. 予後・機能再建を考え時期を失しないよう受傷3カ月以内に専門医へ紹介する(推奨度2)
  1. 腕神経叢損傷は稀な疾患であり、RCTやガイドラインは存在しないが、次の総説が参考になる(Adult Traumatic Brachial Plexus Injuries. J. Am. Acad. Orthop.Surg.27(19):705-716, 2019.)。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
田尻康人 : 特に申告事項無し[2022年]
監修:竹下克志 : 講演料(第一三共,イーライリリー,ファイザー,エーザイ,塩野義)[2022年]

改訂のポイント:
  1. 間違いがないよう表現を追加修正した。
  1. table腕神経叢損傷の病型とその代表的手術法の内容を修正した。

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 上肢の運動を司る神経は第5頚神経根から第1胸神経根までの5本の神経根からなり、頚部から上肢に至る過程で互いに分岐・合流し叢を形成し、最後は個々の終末神経となる。この神経根から終末神経までの網目状の構造を腕神経叢といい、この部位で生じる麻痺を腕神経叢麻痺という。
 
腕神経叢

腕神経叢の模式図

 
腕神経叢

 
  1. 根損傷には脊髄から神経根がちぎれる節前損傷(根引き抜き損傷)と、神経根が椎間孔から出た後で損傷される節後損傷とがある。
 
節前損傷と節後損傷

神経根は上から、正常、節後、節後、節前、節前、節前の損傷を示す。

 
神経根の牽引力による損傷のされ方

 
  1. 腕神経叢損傷の原因は、ほとんどが高エネルギー外傷によるもので、オートバイ事故が90%を占め、年齢的にも30歳までの若年者が多い。一方、器械への上肢巻き込みや、肩への重量物落下による腕神経叢損傷は労務災害が多く、比較的高年齢であることが多い。まれに頚部の創や昏睡などによる長時間の神経圧迫による麻痺もみられる。
  1. 分娩麻痺は分娩時に腕神経叢が牽引されることによって生じる腕神経叢損傷である。
  1. 分娩麻痺のリスクファクターは頭位分娩の巨大児(肩甲難産)および骨盤位分娩である。
 
典型的な腕神経叢損傷の麻痺型の見分け方

出典

img1:  著者提供
 
 
 
  1. C5、6型節前損傷例(参考文献:[1]
  1. 現病歴:原付バイクでスリップして転倒受傷。左腕が上がらない、肘が曲げられないことに気づく。
  1. 初診時所見:Horner徴候なし。左上腕外側部から前腕橈側の感覚鈍麻あり。左上肢筋力は、三角筋、棘上筋、棘下筋、上腕二頭筋、腕橈骨筋がM0、長橈側手根伸筋M2、他の上肢筋力はM5 橈骨動脈拍動良好 鎖骨上窩のTinel徴候なし。
  1. 主たる臨床検査結果とその解釈:針筋電図で三角筋、棘下筋、上腕二頭筋は脱神経電位のみで収縮なし。
  1. X線像その他画像の解釈と診断結果:頚椎、肩、胸部X線では骨傷なし。横隔膜挙上なし。
  1. 上記から推定できる病態とその根拠:C5、6頚神経根支配領域の感覚障害、筋力低下があり、C5、6型の腕神経叢損傷と診断される。
  1. 治療計画とinformed consent:ペースメーカーが入っており、MRIは行えないため、根の診断のため脊髄造影、CTミエログラフィーを実施 C5、6神経根糸の消失と小さい外傷性髄膜瘤がみられた。C5、6の節前損傷が疑われたので、自然回復は難しいため、手術で神経を確認し、損傷に応じた再建手術を勧めた。)
  1. 実施した手術的治療:受傷後5カ月で腕神経叢展開し、術中C5、6神経根を電気刺激して脊髄誘発電位と体勢感覚誘発電位を測定したが、波形を得られず、節前損傷と診断した。神経移行による再建を行うこととし、副神経を肩甲上神経に、胸背神経を腋窩神経に、第4、5肋間神経を筋皮神経へ移行した。
  1. 実施したリハビリテーション:肋間神経移行術後のリハビリテーションならびに肩周囲筋の筋力強化・関節可動域訓練を実施した。
  1. 治療経過と成績:
  1. 術後4カ月で上腕二頭筋と三角筋・棘上筋に神経再支配を確認し、肘屈曲のバイオフィードバック訓練を開始した。術後5カ月に棘下筋にも神経再生確認。
  1. 術後6カ月上腕二頭筋M2
  1. 術後9カ月 上腕二頭筋M3 肩屈曲60° 外転20° 外旋−10°
  1. 術後1年 肘自動可動域0-140 上腕二頭筋M3+ 肩屈曲70° 外転30° 外旋10° 
  1. 術後2年 上腕二頭筋M4 肩屈曲120° 外転60° 外旋30° 三角筋M2 棘下筋M2-
  1. 術後4年6カ月 肘0-140 上腕二頭筋M4+ 腕橈骨筋M0 長橈側手根伸筋M2 肩屈曲140° 外転140° 伸展60° 外旋40° 内旋T10 三角筋M3- 棘下筋M3
 
C5、6型節前損傷例

脊髄造影検査で左C5、6根の根糸像の欠損を認め、CTでは左C6前後根の消失と外傷性髄腹瘤をみられたためC5、6節前損傷と診断した。

出典

img1:  著者提供
 
 
 
C5、6型節前損傷例 術後 

副神経を肩甲上神経に胸背神経を腋窩神経に、第4、5肋間神経を筋皮神経に移行して、術後良好な肩肘機能を得られた。

出典

img1:  著者提供
 
 
 
  1. C5-7型節前損傷例(56歳男性)(参考文献:[2][3]
  1. 現病歴:バイク走行中車と接触し転倒受傷。右鎖骨骨折、右上肢麻痺の症状あり他院で治療。受傷後1カ月で紹介受診。
  1. 初診時所見:Horner徴候なし。左上腕外側部から前腕橈側、手部(母指から環指まで)の感覚鈍麻あり。左上肢筋力は、三角筋、棘上筋、棘下筋、上腕二頭筋、腕橈骨筋、長・短橈側手根伸筋、円回内筋、橈側手根屈筋がM0 上腕三頭筋、広背筋、尺側手根伸筋、総指伸筋ほか手指伸筋、長掌筋、長母指屈筋ほか指屈筋は概ねM3~4程度、尺骨神経領域および、手内在筋はM5、 橈骨動脈拍動良好 鎖骨上窩のTinel徴候なし。
  1. 主たる臨床検査結果とその解釈:針筋電図で三角筋、棘下筋、上腕二頭筋、腕橈骨筋は脱神経電位のみで収縮なし。前鋸筋は脱神経電位があるも収縮あり。
  1. X線像その他画像の解釈と診断結果:頚椎、肩、胸部X線では異常なし。右鎖骨骨折+ 頚椎単純MRIでは外傷性髄膜瘤なし。
  1. 上記から推定できる病態とその根拠:臨床的には感覚障害、筋力低下からは、C5-7型もしくは鎖骨下型の腕神経叢損傷と診断されるが、筋電図で腕神経叢の最も近位から枝分かれする前鋸筋に異常がみられるので上位神経根は節前損傷が否定できない。
  1. 治療計画とinformed consent:根の診断のため脊髄造影、CTミエログラフィー、造影MRI検査を実施 脊髄造影とMRIでは外傷性髄膜瘤などの異常が判らなかったが、CTで右C5前根糸、右C6前根・後根糸の消失がみられた。C5、6の節前損傷が疑われたので、手術で神経を確認し、損傷に応じた再建手術をお勧めした。
  1. 実施した手術的治療:受傷後2カ月で腕神経叢展開し、術中C5、6、7神経根を電気刺激して脊髄誘発電位と体性感覚誘発電位を、また経頭蓋電気刺激を行い神経根から運動神経誘発電位を測定したが、波形を得られず、節前損傷と診断した。年齢を考慮し、尺骨神経の神経束を筋皮神経へ移行した。
肩については神経手術後1年6カ月経過して肩関節固定を実施した。
  1. 実施したリハビリテーション:神経再支配後は手関節・手指の屈曲と同時に肘を曲げるように筋力強化を行い、また肩甲骨の可動域訓練も実施した。
  1. 治療経過と成績:
  1. 術後3カ月で上腕二頭筋に神経再支配を確認し、肘屈曲のバイオフィードバック訓練を開始した。
  1. 術後6カ月 上腕二頭筋M1+ 
  1. 術後9カ月 上腕二頭筋M2+ 屈曲下垂から60° 90°保持可能
  1. 術後1年 肘自動可動域0-100 上腕二頭筋M3- 
  1. 術後1年6カ月 肘0-120 上腕二頭筋M3- 肩関節固定手術(内固定ならび装具使用)
  1. 術後1年9カ月 装具除去 
  1. 術後2年 上腕二頭筋M3+ 肘10—125 肩屈曲80° 外転75° 内転-10°で症状固定
 
C5-7型節前損傷例(56歳男性)

a:肩関節固定術後のX線画像
b:肩関節固定術後の肩装具

出典

img1:  著者提供
 
 
 
C5-7型節前損傷例(56歳男性) 術後

C5-7型損傷に対し肩関節固定術で肘屈曲に対し尺骨神経の神経束の一部を筋皮神経へ移行し再建した。肩甲骨の動きによる上肢コントロールと良好な肘屈曲が得られた。

出典

img1:  著者提供
 
 
 
  1. 鎖骨下型損傷症例(参考文献:[4][5][6]
  1. 現病歴:バイク事故にて受傷した左腕神経叢損傷で、他院にて鎖骨下部の神経移植で筋皮神経・正中神経・橈骨神経を再建され、受傷2年で当院初診となる。
  1. 初診時所見:尺骨神経領域を除く上肢に感覚鈍麻を認める。筋力は、棘下筋M4、三角筋M3、大胸筋M4、広背筋M4、上腕二頭筋M2、上腕三頭筋M3+、腕橈骨筋M1+で、以下正中神経・橈骨神経支配筋はM0 尺骨神経領域はM5であった。
  1. 上記から推定できる病態とその根拠:陳旧性の鎖骨下型腕神経叢損傷で部分回復にとどまっている状態。
  1. 治療計画とinformed consent:肘屈曲の再建と手指の把持機能の改善を要する状態であり、筋腱移行術ならびに腱移行(固定)術等での再建が勧められる。
  1. 実施した手術的治療:まず、尺骨神経のみで動いている手の手指屈伸、母指ピンチの改善のため手術を実施した。①手指伸展のため、総指伸筋ならびに長母指伸筋腱を橈骨に腱固定。②母指の屈曲は内在筋で行うため、IP関節固定。③示指FDP再建のため、示指FDP腱を環指FDP腱に側側縫合、を実施。3週間ギプス固定の後、指の自動運動訓練開始。
次いで広背筋の有茎移行による肘屈曲機能再建を実施した。
  1. 治療経過と成績:手術後1年で肘可動域は0−140° 肘屈曲力はM4 握力は4.8kg(健側38.5kg)指尖ピンチは1.8kg(健側5.2kg)となった。
 
腱固定術前後の指の伸展・屈曲

腱固定手術により手指の伸展と手関節背屈が獲得され、指の握りが改善している。

出典

img1:  著者提供
 
 
 
広背筋移行術後の肘屈伸

移行した広背筋により良好な肘屈曲機能が得られている。

出典

img1:  著者提供
 
 
 
  1. 全型麻痺症例(参考文献:[7]
  1. 現病歴:400ccバイクで走行中、右折車に衝突して受傷。意識消失数分間。左上肢の完全麻痺に気づく。
受傷後2カ月で紹介初診。
  1. 初診時所見:Horner徴候+。左肩外側部から前腕橈側・手部・前腕尺側の感覚脱失あり。左上肢筋力は、僧帽筋M5、三角筋、棘上筋、棘下筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋などすべてM0 橈骨動脈拍動良好 鎖骨上窩のTinel徴候+で上腕外側から前腕橈側へ放散。
左上肢反射消失、右上肢、両下肢の反射正常。
  1. 主たる臨床検査結果とその解釈:針筋電図で三角筋、棘下筋、上腕二頭筋、広背筋、前鋸筋、円回内筋、総指伸筋、小指外転筋、短母指外転筋は脱神経電位のみで収縮なし。
  1. X線像その他画像の解釈と診断結果:頚椎、肩、胸部X線では骨傷なし。横隔膜挙上なし。
  1. 上記から推定できる病態とその根拠:C5~T1神経根支配領域の感覚障害、筋力低下があり、全型の腕神経叢損傷と診断される。
  1. 治療計画とinformed consent:根の診断のため前医で行われた脊髄造影、CTミエログラフィーでは、脊髄造影は造影剤が薄く判断不能。CTミエログラフィーでは、C5、6後根糸は残存している様子であったが、C7からT1は外傷性髄膜瘤がみられた。よって、少なくとも3つの神経根は節前損傷が疑われたので、手術で神経を確認し、損傷に応じた再建手術を勧めた。
  1. 実施した手術的治療:受傷後3カ月で腕神経叢展開し、術中C5、6神経根は残存しており、C7以下は引き抜けていた。C5、6根からESCPとSEP、MEPを測定したところ、C5はすべて反応が陽性で、C6はSEP、ESCP、MEPは陰性であった。したがって、C5は節後損傷、C6は節前損傷と診断した。肘屈曲は肋間神経移行による再建を後日行うこととし、C5を肩甲上神経と腋窩神経に腓腹神経を採取して遊離神経移植した。1カ月後に第3、4肋間神経を筋皮神経へ移行し、有茎で採取した広背筋の末梢側を烏口突起へ、中枢側を上腕外側から前腕へ誘導し指屈筋屁縫合し、動作神経として第5、6肋間神経を胸背神経へ縫合した。
  1. 実施したリハビリテーション:肋間神経移行術後のリハビリテーションならびに移行した広背筋の筋力強化・関節可動域訓練を実施した。
  1. 治療経過と成績:
  1. 移行術後4週で上肢体幹固定を除去
  1. 移植術後4.5カ月で棘下筋に神経再支配を確認
  1. 移行術後4カ月で上腕二頭筋に再支配。肘屈曲のバイオフィードバック訓練を開始した。
  1. 移行術後7カ月、上腕二頭筋、移行広背筋ともM1+
  1. 移行術後9カ月 上腕二頭筋M2- 棘下筋M2- 三角筋M1+
  1. 術後1年 肘自動可動域20-100 上腕二頭筋M3- 移行広背筋M2- 指伸展装具作成 
  1. 術後2年 肘自動可動域20-140上腕二頭筋M4 指屈曲M2 肩屈曲20° 外転20° 外旋-40° 三角筋M2 棘下筋M1+
  1. 術後3年 上腕二頭筋M4+ 指屈筋M2 7kgの重量物を肘と指で下垂できる状態となり症状固定
 
上腕二頭筋と有茎移行広背筋への肋間神経移行術術後の肘と指の運動

肋間神経移行術により上腕二頭筋と手指屈筋へ有茎移行した広背筋が再建され、良好な肘屈曲と手指屈曲が獲得されている。

出典

img1:  著者提供
 
 
 
肋間神経移行術術後3年

約7kgの荷物を前腕や手指で提げることができる

出典

img1:  著者提供
 
 
 
  1. 上位型分娩麻痺(Erb麻痺)症例
  1. 現病歴:在胎39週で経腟分娩。出生体重4,584gで肩甲難産。出生直後より左上肢の麻痺に気づく。麻痺の回復がないとして生後3カ月で紹介初診。
  1. 初診時所見:Horner徴候+。左上肢は、肩内転、肘伸展、前腕回内で手関節屈曲した、いわゆるwaiter’s tip positionの肢位を呈していた。左上肢は肩外転外旋・肘屈曲・手関節背屈運動みられず。橈骨動脈拍動は良好。ハンカチを顔にかぶせて手で取らせるハンカチテストでは、右手ではハンカチを取ることができるが、左はできず。
  1. X線像その他画像の解釈と診断結果:胸部X線では鎖骨骨折なし。横隔膜挙上なし。
  1. 上記から推定できる病態とその根拠:頭位分娩巨大児による左上位型(Erb型)分娩麻痺と診断される。
  1. 治療計画とinformed consent:3カ月時点で上腕二頭筋に収縮が触れず、また手関節伸展筋も動きがみられないことから、このまま経過観察をすると、肩・肘の神経再生は仮に生じたとしても共収縮となり、機能的予後が不良であると予想されることから、手術で神経を確認し、損傷に応じた再建手術を勧めた。
  1. 実施した手術的治療:生後6カ月で手術を行った。全身麻酔下に、まず脊髄造影を行ったところ、C6、7、8は外傷性髄膜瘤がみられ、節前損傷の合併が疑がわれた。
腕神経叢展開し、術中C5、6神経根は神経腫を形成していた。神経の電気刺激では、C5、C6刺激では肩の動きと手関節背屈、C7刺激では肩内転、肘伸展、手関節軽度伸展の動きがみられた。また、肩甲上神経、長胸神経を電気刺激すると、それぞれ外旋筋・前鋸筋に筋収縮が認められた。以上より、C5は節後損傷、C6、7は節前損傷+節後損傷と診断した。(C8は確認せず)
  1. 肩周囲筋は回復しつつあるため、肘屈曲を肩と分離し確実に回復させるため肋間神経移行を行うこととし、第4、5肋間神経を筋皮神経へ移行した。
  1. 実施したリハビリテーション:分娩麻痺の肋間神経移行術後は8週間上肢を体幹に包帯固定するのみで、特に筋回復に対するリハビリテーションは行わない。他動的関節可動域訓練(特に肩外旋と肘屈曲)のみを両親に指導した。
  1. 治療経過と成績:
  1. 術後8週 上肢体幹包帯固定を除去
  1. 術後3カ月 泣くと上腕二頭筋に収縮を触れる。
  1. 術後6カ月 肘屈曲40°
  1. 移行術後9カ月 上腕二頭筋M2- 棘下筋M2- 三角筋M1+
  1. 術後1年 肘屈曲100° 肩外転90° 
  1. 術後3年 肘可動域30-145度上腕二頭筋M4と良好であるが、肩機能は屈曲・外転100°、外旋5°と回復は不良である。
 
waiter’s tip position

ウエイターが後ろ手でチップを受け取るときのようなwaiter’s tip position

出典

img1:  著者提供
 
 
 
麻酔下の脊髄造影

C6、7、8根の外傷性髄膜瘤がみられた

出典

img1:  著者提供
 
 
 
肋間神経移行術後4年

肘屈曲は良好であるが、肩は回復不良(左が患側)

出典

img1:  著者提供
 
 
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 受傷機転を確認する。(high energy injuryなどの存在) 遅発性には生じない。頭部・胸部・腹部や四肢の合併損傷が多く、時に意識障害があり麻痺の発見が遅れることがある。

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文献 

C Oberlin, D Béal, S Leechavengvongs, A Salon, M C Dauge, J J Sarcy
Nerve transfer to biceps muscle using a part of ulnar nerve for C5-C6 avulsion of the brachial plexus: anatomical study and report of four cases.
J Hand Surg Am. 1994 Mar;19(2):232-7. doi: 10.1016/0363-5023(94)90011-6.
Abstract/Text Four patients with C5-C6 root avulsion after brachial plexus injury were treated with a transfer of part of a normal functioning nerve in the arm to the motor nerve of the biceps. Ten percent of the bulk of the ulnar nerve was harvested for a suture directly to the motor nerve of the biceps with no significant impairment of hand function.

PMID 8201186
N Ochiai, A Nagano, S Yamamoto, T Nakagawa, K Shibata
Tenodesis of extensor digitorum in treatment of brachial plexus injuries involving C5, 6, 7 and 8 nerve roots.
J Hand Surg Br. 1995 Oct;20(5):671-4.
Abstract/Text Restoration of motor function in the hand is difficult in brachial plexus injuries in which the C5, 6, 7 and 8 roots are involved, because there are insufficient motors available for transfer to restore the extensors of the fingers and wrist. We have used extensor digitorum tenodesis in 11 cases and found it effective and simple.

PMID 8543877
E Zancolli, H Mitre
Latissimus dorsi transfer to restore elbow flexion. An appraisal of eight cases.
J Bone Joint Surg Am. 1973 Sep;55(6):1265-75.
Abstract/Text
PMID 4758039
A Nagano, N Ochiai, H Sugioka, T Hara, N Tsuyama
Usefulness of myelography in brachial plexus injuries.
J Hand Surg Br. 1989 Feb;14(1):59-64.
Abstract/Text Ninety brachial plexus lesions have been examined by myelography and the results classified into six types. These were compared against the level of lesion found at exploration of the brachial plexus with electrophysiological investigations carried out during the operation. The results show that myelography can be a reliable and useful pre-exploratory measure to assess the level of the lesion of each injured root.

PMID 2926225
Somsak Leechavengvongs, Kiat Witoonchart, Chairoj Uerpairojkit, Phairat Thuvasethakul
Nerve transfer to deltoid muscle using the nerve to the long head of the triceps, part II: a report of 7 cases.
J Hand Surg Am. 2003 Jul;28(4):633-8.
Abstract/Text PURPOSE: This study reports the results of nerve transfer to the deltoid muscle using the nerve to the long head of the triceps.
METHODS: Seven patients with an average age of 25 years with loss of shoulder abduction secondary to upper brachial plexus injuries had nerve transfer using the nerve to the long head of the triceps to the anterior branch(es) of the axillary nerve through the posterior approach. The spinal accessory nerve was used simultaneously for nerve transfer to the suprascapular nerve. The follow-up period ranged from 18 to 28 months (average, 20 mo).
RESULTS: All patients recovered deltoid power against resistance (M4) at the last follow-up evaluation. Useful functional recovery was achieved in all 7 patients; 5 had excellent recoveries and 2 had good results. The average shoulder abduction was 124 degrees. No notable weakness of elbow extension was observed.
CONCLUSIONS: This method is a reliable and effective procedure for deltoid reconstruction in brachial plexus injury (upper-arm type) and should be combined with spinal accessory nerve transfer to the suprascapular nerve to obtain good shoulder abduction.

PMID 12877852

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