今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 遠藤健司 東京医科大学 整形外科分野

監修: 竹下克志 自治医科大学整形外科

著者校正/監修レビュー済:2025/03/12
参考ガイドライン:
  1. 慢性疼痛診療ガイドライン作成ワーキンググループ:慢性疼痛診療ガイドライン
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『慢性疼痛診療ガイドライン』を参照に、下記の点を加筆・修正した。
  1. ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液は、有用な可能性があり、重篤な副作用はまれで安全性が高いため、標準的な治療に反応しない場合には使用を考慮する。
  1. 症例の難渋例を追加した。

概要・推奨   

  1. 上肢の長時間にわたる同一肢位の継続、反復によって、精神、筋の疲労を背景として発症し、頚椎から肩甲帯に及ぶ筋肉(僧帽筋、胸鎖乳突筋)の疼痛、肩、肩甲骨周囲、腕にかけての痛みやしびれなど頚部、肩、腕、背中を中心としたいわゆる頚肩腕部分の感覚障害が中心となる[1]
  1. 眼痛、眼精疲労、頭痛、めまい、耳鳴などの症状のほか、集中力低下、思考減退、易疲労感、情緒不安定、抑うつ症状、睡眠障害などの精神症状、四肢冷感など末梢循環障害、胃腸障害などを合併することもある。
  1. 痛みやこり感は常在性で、長期間の病期を経過した後に、腕のしびれ、後頭部痛や自律神経症状などが発生するが症状は自覚症状が中心で、神経学的異常所見に乏しい場合に頚肩腕症候群を疑う。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 頚肩腕症候群は、約300年前にイタリアで書記の肩から腕にかけた痛みを主訴とした病気として記載されたのが最初で、その後電信手、農夫、鍛冶屋、日本では1950年代頃からキーパンチャーやタイピストに発症すると報告された経緯がある。
  1. 職種のみならず、激務(外食業、自営業)、フレックス、パート、下請け、短期契約、派遣など雇用形態や就業時間の長さなども発症誘因となる。
  1. パソコン操作で発症することが多く、若年層から発症し男性より女性に多く発症する。職業によって発症した場合には頚肩腕障害と呼ばれることもある。
  1. 近年、高齢化社会となり、高齢者の首下がり症に発生することがある。
  1. 上肢の長時間にわたる同一肢位の継続、反復によって、精神、筋の疲労を背景として発症し、頚椎から肩甲帯に及ぶ筋肉(僧帽筋、胸鎖乳突筋)の疼痛、肩、肩甲骨周囲、腕にかけての痛みやしびれなど頚部、肩、腕、背中を中心としたいわゆる頚肩腕部分の感覚障害が中心となる[1]
  1. 眼痛、眼精疲労、頭痛、めまい、耳鳴などの症状のほか、集中力低下、思考減退、易疲労感、情緒不安定、抑うつ症状、睡眠障害などの精神症状、四肢冷感など末梢循環障害、胃腸障害などを合併することもある。
  1. 病像形成に運動器(腱鞘炎、筋膜炎、関節炎、斜角筋症候群など)のみならず精神的因子や環境因子によるストレスの関与も無視することはできない。
  1. 治療には、器質的疾患がない慢性頸部痛が存在する場合、運動療法を行うことは強く推奨されている(推奨度3、CJ)
  1. しかし、物理療法、マニプレーションは有効であるというエビデンスは不足しており、積極的な実施は推奨されない。
  1. 疼痛のため、運動が困難な場合は、ブロックなどの疼痛処置を併用すると良い。
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 疼痛部位、運動障害の有無、発症時期を確認する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
遠藤健司 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:竹下克志 : 講演料(第一三共(株))[2024年]

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頚肩腕症候群

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