腰椎椎間板ヘルニア :トップ    
監修: 酒井昭典 産業医科大学 整形外科学教室
中西一夫 長谷川徹 川崎医科大学 脊椎・災害整形外科学教室

概要

疾患のポイント:
  1. 腰椎椎間板ヘルニアは腰痛・下肢痛を来す代表的な疾患である。椎間板は髄核とその周囲を取り囲んでいる線維輪より構成される。反復する捻転負荷により線維輪に断裂が生じ、断裂部よりその髄核ないしは線維輪の一部が後方に逸脱し、神経を圧迫することで発症する。
 
診断: >詳細情報 
  1. 下記の所見により診断する。
  1. 下腿まで放散する疼痛、神経根の支配領域に一致する疼痛、咳やくしゃみにより悪化する疼痛、発作性の疼痛の4つの病歴がある。
  1. 障害神経根の支配に一致する知覚、筋力、反射の低下や痛みやしびれがある。
  1. 下肢伸展拳上テスト(straight-leg raising、SLR)テストや大腿神経伸展テスト(femoral nerve stretching test、FNST)が陽性である。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 予後:本疾患は大部分の症例で自然縮小することが明らかになっており、まずは保存的加療が行われる。
  1. 予後:症状が疼痛である場合には予後は良好であるが、高度の麻痺や膀胱直腸障害を呈する場合は早期に手術しなければ予後不良である。
 
治療: >詳細情報 
  1. まとめ:
  1. 痛みやしびれがメインで、明らかな麻痺がない場合には、保存的加療がまず行われる。
  1. 保存的加療: >詳細情報 
  1. 局所安静、薬物治療、理学療法、装具療法および神経ブロック療法などが試みられる。
  1. 症状が軽度~中等度では、局所安静を指示する。
  1. 体操療法として腹筋脊柱起立筋の等尺性筋力増強訓練、腰椎屈曲訓練、腰椎過伸展訓練などがある。
  1. 物理療法として寒冷療法、温熱療法、経皮的電気刺激療法、超音波療法などがある。これらは安全であるため短期間行う価値があるが、4週間以上続ける必要はない。
  1. 牽引療法は腰痛に対しては有用であるが、下肢痛に対する効果は不明である。外来では30~40kg、10~15分の間欠的牽引を、入院では6~16kgの持続牽引が行われる。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための検査・保存療法例
  1. 腰椎椎間板ヘルニアが疑われた患者にはほとんどすべてMRI検査を行う。
  1. まずは保存的加療が行われる。ただし、初診時に高度の麻痺や膀胱直腸障害などの馬尾症候群を呈する患者には早期の手術が選択される。6~8週間の保存的加療に抵抗性の患者や保存的加療の有用性を十分説明しても短期間での治癒を患者が切望される場合には手術が行われることがある。
○ 神経症状と疼痛が強い場合には、本人が楽な姿勢でのベッド上の安静を勧めること。そのうえで、必要に応じて2)~5)を単独または併用する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
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腰椎椎間板ヘルニアの診断・治療のアルゴリズム
腰椎椎間板ヘルニアのMRI像
著者校正/監修レビュー済
2017/02/28