急性腰痛症(治療含む) :トップ
監修: 中村利孝 国立国際医療研究センター
松平 浩 東京大学医学部附属病院22世紀医療センター

概要

  1. Noninvasive Treatments for Acute, Subacute, and Chronic Low Back Pain: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians.
の発表に伴い、現在アップデート中
 
疾患のポイント:
  1. 急性腰痛症とは、現在の世界標準の分類では、急性非特異的腰痛のことを指す。いわゆるぎっくり腰(産業医学的用語では災害性腰痛)もこれに含まれる。
  1. 特異的腰痛とは、腫瘍、感染、骨折、神経症状を伴う 腰椎椎間板ヘルニア や 脊柱管狭窄症 に加え、動脈瘤や尿路結石といった他科疾患を含む原因疾患が明確化できるものを指す。
  1. 特異的腰痛はプライマリケア受診者の15%程度にすぎず、約85%が明確な痛みの起源が特定しきれない非特異的腰痛の範疇(脊椎症性、椎間板性、椎間関節性、仙腸関節性、筋筋膜性などと想定されるものを含む)とされている。
  1. 非特異的腰痛は一度発症すると再発しやすく、プライマリケア受診者の2/3で1年後も腰痛の訴えがある。
 
診断: >詳細情報 
  1. 安静時痛(自発痛)、癌既往、体重減少、易感染性、発熱は、重篤な疾患、および体軸性脊椎関節炎(強直性脊椎炎など)の潜在を念頭に置く必要がある。
  1. 危険信号と腰痛の関連がなく、腰椎に関連する坐骨神経痛などの神経症状および神経学的異常所見が明確ではないことより診断となる。
  1. 前屈あるいは後屈での制限や明確な運動時痛は、脊椎由来の痛みを示唆する。
  1. 危険信号あるいは神経根症状を持つ患者には、MRIが有意義である。
  1. 主なred flagとyellow flag sign:アルゴリズム
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 予後不良を規定する要因はyellow flags(黄色信号)と呼ばれ、その多くが心理社会的要因である。
  1. 主なred flagとyellow flag sign:アルゴリズム

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

緊急を要する原因疾患の鑑別(大動脈疾患)
  1. きっかけのない激烈な急性発症で、安静時痛を訴える患者は、大動脈疾患(急性大動脈解離・大動脈瘤破裂)を念頭に置く。バイタルサインを確認し、至急血液生化学検査と造影CT検査をオーダーするとともに、循環器系の専門医にすぐに連絡する。
  1. 典型症例1参照: 症例 
○ 緊急を要すると判断される重篤な急性腰痛の症例では、1)、2)は必須である。疼痛が激烈な例では、大動脈疾患の可能性を考慮して、4)循環器系専門医へ直ちに相談し、必要なら3)を行う。

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薬剤監修について:
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※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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主なred flagとyellow flag sign
著者校正/監修レビュー済
2017/04/27

編集部編集コンテンツ:
 
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