人工股関節置換術後の大腿骨骨折 :トップ    
監修: 酒井昭典 産業医科大学 整形外科学教室
伊藤浩 旭川医科大学 整形外科学講座

概要

疾患のポイント:
  1. 人工股関節置換術(total hip arthroplasty、THA)後骨折は種々の外力により発生するが、minor traumaによるものが多く、その発生頻度は0.1~2%程度である。
  1. 受傷原因の90%程度が転倒などのminor traumaであり、交通事故などのmajor traumaは10%程度であるとする報告が多い。
 
診断: >詳細情報 
  1. THA後に転倒などのminor traumaや交通事故などのmajor traumaで歩行不能になった場合、大腿骨ステム周囲の骨折を想起する。
  1. 股関節X線、CT,MRIの所見にて骨折を認め診断となる。
 
分類:
  1. THA後大腿骨骨折の分類にはVancouver分類が用いられることが多い。
  1. Type Aは大腿骨近位部に起こるもので、大転子部骨折Type AGと小転子部骨折Type ALに分類される。
  1. Type Bは最も頻度の高い骨折である。ステム周囲に限局しており、大腿骨のbone stockにより3つに分類される。Type B1はステムの固定性が良好でbone stockが保たれているもの、Type B2はステムの弛みはあるがbone stockが保たれているもの、Type B3はステムの弛みとbone stockの減少を認めるものである。
  1. Type Cはステムより離れた遠位部での骨折である。
 
治療:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. Vancouver分類のTypeにより、適切な治療方法を選択することが重要である。
  1. 安定型であるType AGでは保存治療が選択されるが、多くの場合手術的治療が必要である。
  1. ステムの固定性が良好である場合は、Dall-Miles cable grip system、ワイヤー、プレート、スクリューを用いて骨接合術を行い、ステムに弛みがある場合は、再置換術と骨接合術を行う。
  1. 強固な固定性が得られれば術後早期のリハビリテーションが可能であり、適切な術前計画が重要である。
 
専門医相談のタイミング: >…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための検査例
  1. ほとんどすべての患者で、単純X線(両股正面、大腿骨2方向)撮影を行う。
  1. 必要に応じて骨折部の状態把握と術前計画のため、大腿骨CT撮影を行う。
○ 初診時に1)で診断し、治療方針の決定には2)が必要となる。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

Vancouver分類と治療アルゴリズム
術後大腿骨骨折のVancouver分類
術前・術後X線像。
著者校正/監修レビュー済
2016/05/13