寛骨臼(臼蓋)形成不全症 :トップ    
監修: 酒井昭典 産業医科大学 整形外科学教室
中村茂 帝京大学医学部附属溝口病院 整形外科

概要

疾患のポイント:
  1. 寛骨臼(臼蓋)形成不全とは、寛骨臼の形成不全により、関節の安定性が障害された状態で、女性に多い股関節疾患である。歩行時や運動時に股関節の軟骨にストレスが集中して、関節軟骨や関節唇に損傷や変性が起こり、自然経過では変形性股関節症に進行するリスクが高い。
 
診断: >詳細情報 
  1. 乳児では、両股関節正面単純X線像でShenton線、Calvé線、Hilgenreiner線、Ombrédanne線などの補助線を用いて、形成不全に伴う脱臼、亜脱臼を診断する。さらに、寛骨臼角(正常は30°以下)を計測する。乳児期に発育性股関節形成不全の治療を受けた後に残存する股関節形態異常の評価としては、Severin分類がよく用いられる。これに従うと、6~13歳ではCE角<15°、14歳以上ではCE角<20°が寛骨臼(臼蓋)形成不全と診断される。
  1. 骨成長終了後(13~15歳以降)では、両股関節正面単純X線像でCE角、Sharp角、荷重部寛骨臼(臼蓋)傾斜角を測定して診断する。寛骨臼(臼蓋)形成不全の重症度、すなわち寛骨臼の形成不全の程度は、各種のX線計測値(CE角、Sharp角、荷重部寛骨臼[臼蓋]傾斜角)、あるいは3D-CTによる骨頭被覆状態で評価する。それぞれの正常範囲はおおむねCE角≧20°(あるいはCE角≧19°)、Sharp角≦45°、荷重部寛骨臼(臼蓋)傾斜角≦15°とされている。
  1. 寛骨臼形態評価の補助診断としては、3D-CTが有用である。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 寛骨臼(臼蓋)形成不全が高度であると(CE角が小さいと)、股関節痛が起こりやすく、変形性股関節症に進行するリスクが高い。
 
治療:アルゴリズム >詳細情報 
  1. 痛みの程度、日常生活での支障、画像検査(単純X線、MRI)所見、股関節の診察所見を総合して、治療方法を決める。痛みの悪化、あるいはX線像での関節症変化の出現があれば、寛骨臼回転骨切り術を行う。
  1. 寛骨臼回転骨切り術のイラスト:<図表>
 
専門医相談のタイミング: >詳細情報

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

手術適応の決定目的の画像評価例
  1. 13歳以上(骨成長終了年齢〕のほとんどすべての患者では両股関節単純X線(中間位正面像、外転位正面像、軸位像)を行う。寛骨臼回転骨切り術の詳細な術前計画をする際には股関節CT像を追加する。
○ 単純X線検査では、中間位、外転位、軸位像を併せて評価する。詳細な術前計画目的で2)を行う。関節唇および関節軟骨の評価目的で3)を行う。

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薬剤監修について:
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※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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思春期以降の寛骨臼(臼蓋)形成不全の治療
右寛骨臼回転骨切り術
両股関節単純X線像:左寛骨臼(臼蓋)形成不全
著者校正/監修レビュー済
2018/05/23