薬剤性肺炎 :トップ    
監修: 長瀬隆英 東京大学 内科学専攻器官病態内科学講座
山口正雄 帝京大学

概要

疾患のポイント:
  1. 薬剤による臓器毒性あるいは免疫アレルギー機序により生ずる肺障害を指す。
  1. 医薬品が適切に選択され、適切に投与されたにもかかわらず、本来の投与目的とは異なる有害な反応が生じることを有害薬物反応(adverse drug reaction)と呼ぶ。
  1. 薬剤性肺障害(薬剤性肺炎)は、薬剤と関連して生ずる多様な肺病態を指す。薬剤投与開始後に数週〜数カ月間(ときには数年)経過してから発症し、原因薬剤を続けている限り症状は悪化していく。表(<図表>)に示す通り、薬剤により起こりやすい肺障害の型が知られている。
 
診断: >詳細情報 
  1. 診断の大まかな流れを図(<図表>)に示す。
  1. リンパ球刺激試験(LST)は数値で結果が出るため頼りがちであるが、実際には偽陽性、偽陰性の問題があり、診断根拠とするには難しいことが多い。(薬剤を加えない場合の取り込みに対する100分率で表示し180%[80%増加]以上を陽性とする)
  1. 血液検査で炎症所見(WBC、LDH、CRP、ESRの上昇)、KL-6、SP-D、SP-A上昇、PaO2低下をみとめ、画像所見としてはX線およびCTで間質性肺炎、好酸球性肺炎、気道病変、胸膜病変といったさまざまなパターンをとり得る。
  1. 他の呼吸器疾患の鑑別のためには、気管支鏡検査による気管支肺胞洗浄(BAL)、経気管支肺生検(TBLB)を行うのが望ましい。
  1. 薬剤負荷試験は陽性であれば診断確定となるので有用ではあるが、誘発される症状のリスクを考えると適用できる場面は限られている。
  1. 異型肺炎などの鑑別診断疾患の除外のため、職歴、喫煙歴、住居環境、感染症(特にニューモシスチス、サイトメガロウイルス)、心原性肺水腫も考慮する。
 
治療: >詳細情報 
  1. 治療は、原因薬の中止が必須であり肺病変が強ければステロイドを投与する。瘙痒を伴う皮疹があれば、抗ヒスタミン薬も用いる。
 
専門医相談のタイミング: >詳細情報 
  1. 薬剤性肺障害が疑われたら、速やかに専門医に紹介する。
 
臨床のポイント:

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時の対応
  1. 薬剤使用歴の詳細な問診が特に重要である。
  1. 肺における上記事項の把握と鑑別のための検査を行う。
  1. 入院が原則である。
○ 急性あるいは亜急性の経過で生ずる呼吸器症状(乾性咳、呼吸困難)と胸部X線異常陰影が発見の契機となる。感染症や腫瘍など明らかな疾患を除外できる場合に、本疾患の可能性も考慮して詳細な問診と検査を行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

薬剤性肺障害の主な原因薬剤
薬剤性肺障害の診断のためのフローチャート
著者校正/監修レビュー済
2016/04/01