女性の脂質異常症 :トップ    
監修: 小西郁生 独立行政法人国立病院機構 京都医療センター
水沼英樹 福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター

概要

ポイント:
  1. 脂質異常症とは血中の脂質が過剰、もしくは低下している状態を指す。本症状は動脈硬化性疾患の一因をなす。 
  1. 閉経前の女性では脂質異常症の頻度は低い。一方、閉経後女性ではエストロゲンの低下により、LDL−CおよびTGが高値を示し、HDL-Cは低下する。
  1. 女性の心筋梗塞の発症頻度は50歳代まではきわめて低い。しかし、50歳以降は上昇し70歳代では男女間の差がなくなる。
  1. 女性では男性に比べ、加齢、糖尿病、喫煙が冠動脈疾患のリスク上昇と密接な関連を持つ。
  1. 心筋梗塞が発症した場合、女性では男性に比べ重症となり予後も悪い。
  1. 閉経前で脂質異常症と診断される場合には家族性高コレステロール血症や家族性複合型高脂血症などの原発性高脂血症、および甲状腺機能低下症や自己免疫疾患による続発性高脂血症の存在を疑う。
  1. 女性ではホルモン補充療法が有用な予防法となり得る。その適応となる更年期症状、卵巣欠落症状、あるいは閉経後骨粗鬆症を有する女性ではホルモン補充療法を用いるとよい。
  1. ホルモン補充療法の適応を持たない女性、ホルモン補充療法でも改善が得られない症例では、脂質代謝改善薬を使用する。
 
診断: >詳細情報 
  1. 診断は10時間以上の絶食後(水やお茶などカロリーのない水分摂取は可能)の血中TC、HDL-CおよびTGの測定を行う。
  1. 喫煙、高血圧、低HDLコレステロール血症、耐糖能異常、早発性冠動脈疾患の家族歴の有無を聴取する。
  1. ガイドラインに従って、リスクの評価を行い、目標とするLDL−C値を決定する。
 
治療:
  1. 女性の脂質異常症の管理は、生活習慣の改善を第一とする。
  1. 閉経後早い時期からの管理が必要であり、ホルモン補充療法は、脂質異常症の予防に対し有用である。
  1. ただし、ホルモン補充療法には脂質異常症に対する保険適用はない。
  1. 脂質異常症治療薬にはHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)、フィブラート系薬、 イコサペント酸エチル製剤、陰イオン交換樹脂製剤、ニコチン酸系薬、その他がある。それぞれの製剤により、低下させる脂質の種類、効果に差がある。
  1. リスクごとの管理目標値を目安に指導する。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための評価例
  1. 血中脂質を測定し、ガイドラインに沿って重症度評価を行い診断する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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(詳細はこちらを参照)

脂質異常症診断基準(空腹時採血)*
リスク区分別脂質管理目標値
吹田スコアによる冠動脈疾患発症予測モデル
冠動脈疾患予防からみたLDLコレステロール管理目標設定のためのフローチャート(危険因子を用いた簡易版)
著者校正済:2018/02/28
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