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著者: 篠原康一 愛知医科大学 産婦人科学講座

監修: 小林裕明 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学

著者校正/監修レビュー済:2025/03/26
参考ガイドライン:
  1. 日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版
  1. 日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド 2023年版
  1. 日本女性医学学会:女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針2018年版
  1. 日本産科婦人科学会日本産婦人科医会:産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド 2023年版』『産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023』の発刊に伴いレビューを行った(変更なし)。

概要・推奨   

  1. 閉経によりLDL-Cが上昇するが、⾷事の改善、運動、禁煙などの⼀次予防にもかかわらず改善しない場合には、薬物療法を考慮する。運動療法は、⾝体活動量が多いほど死亡リスクは減少することから、中等度以上の有酸素運動をメインに⾏うことが推奨されている。
  1. ⼀次予防にもかかわらず、LDL-C値が180 mg/dL以上が持続する場合には薬物療法を考慮する。
  1. ホルモン補充療法は脂質代謝を改善するので、更年期症状を合併する症例では考慮できる。(推奨度1)
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まとめ 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 脂質異常症とは血中の脂質が過剰、もしくは低下している状態を指す。本症状は動脈硬化性疾患の一因をなす。女性の脂質代謝はエストロゲンの影響を受ける。
  1. 閉経後女性ではエストロゲンの低下により、総コレステロール(TC)、LDLコレステロール(LDL-C)、トリグリセライド(TG)は上昇し、HDL-コレステロール(HDL−C)は低下する。
  1. 閉経に伴うLDL-Cの増加は約40 mg/dLに及ぶ。
  1. 女性の脂質異常症(2007年以降、わが国では高脂血症を脂質異常症と呼ぶ。これは、HDL−Cが高いためにTCが高く「高脂血症」と診断されることを回避するためである)の半数はIIa型、すなわちLDL-Cのみが高値を示す症例である。
  1. 男性に比べ50歳以降の女性では、TCおよびLDL-Cが高値を示す。
  1. 脂質異常症の存在は、冠動脈疾患、脳卒中のリスクを高めるので、それらの予防を目的に治療が求められる。
  1. 冠動脈疾患のリスクは、性別に関係なく、LDL−Cが高いほど、TGが高いほど、HDL−Cが低いほど高い。
  1. 女性の心筋梗塞の発症頻度は50歳代まではきわめて低い。しかし、50歳以降は上昇し70歳代では男女間の差がなくなる。
  1. 女性の心筋梗塞による死亡は、50歳代で男性の約1/5、60歳代で1/4、70歳代で1/2程度であり、冠動脈疾患発症あるいは死亡率は、男性に比べ全年齢層において約10年遅れる。しかし、発症すれば男性に比べ予後不良となる。
  1. 脳梗塞の発症に男女差はないが、高齢者では冠動脈疾患よりも発症率が高い。
問診・診察のポイント  
  1. 脂質異常症の管理の目標は動脈硬化症、冠動脈疾患の予防にある。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
篠原康一 : 未申告[2024年]
監修:小林裕明 : 講演料(MSD(株),中外製薬(株),アストラゼネカ(株),(株)メディカロイド),研究費・助成金など(シスメックス(株),(株)メディカロイド),奨学(奨励)寄付など(中外製薬(株))[2024年]

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女性の脂質異常症

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