腸管ベーチェット病

著者: 長沼 誠 慶應義塾大学医学部 内科学(消化器内科)

監修: 上村直実 国立国際医療研究センター 国府台病院

著者校正/監修レビュー済:2020/02/14
参考ガイドライン:
  1. 日本ベーチェット病学会:ベーチェット病診療ガイドライン2020

概要・推奨  

  1. 腸管ベーチェット病の臨床症状には特徴的な症状はないが、腹痛、下血・血便、腹部腫瘤、下痢、体重減少などが見られるとき、腸管ベーチェット病を考慮する。
  1. 臨床検査所見として、炎症反応高値・低タンパク血症・貧血が認められる。骨髄異形成症候群に合併する腸管ベーチェット病ではトリソミー8を高率に認めており、臨床上に加えて、これらの臨床検査所見が認められた場合、腸管ベーチェット病を考慮する。
  1. 典型的には回盲部を中心に円形または類円形の深掘れの潰瘍を呈することが特徴であるが、クローン病・腸結核・非ステロイド系抗炎症薬による小腸潰瘍を鑑別することが推奨される。
  1. 軽症から中等症例には5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤・サラゾスルファピリジン、中等症から重症例には副腎皮質ステロイド、抗TNFα抗体製剤、栄養療法、難治例には外科手術による寛解導入療法がある。
  1. 腸管ベーチェット病は手術後に臨床的に再燃する場合が多いため、術後の患者では病変を再発させないような治療を行うことが勧められる。
  1. アダリムマブ(ヒュミラ)およびインフリキシマブ(レミケード)は、既存治療抵抗性の活動性腸管ベーチェット病の治療法として有用かつ安全な治療法である(J)。
  1. チオプリン製剤(アザチオプリン、6メルカプトプリン)は腸管ベーチェット病の長期予後に寄与する可能性がある。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. 日本ベーチェット病学会が監修したベーチェット病診療ガイドライン2020が公表されたことを踏まえ、診断・治療のアリゴリズムを掲載した。またガイドラインのGQの一部内容を本コンテンツに反映させた。
  1. インフリキシマブ(レミケード)が腸管ベーチェット病に対する治療法として保険収載されたことを踏まえ、抗TNF抗体製剤の治療法としてインフリキシマブを追記した。
  1. 骨髄異形成症候群(MDS)に合併するベーチェット病において、腸管病変を高率に合併すること、MDSに合併する腸管ベーチェット病ではトリソミー8を高率に認めており(54~86%)、難治例が多いとされていることを記載した。


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