薬物性肝障害 :トップ    
監修: 金子周一 金沢大学大学院
滝川一 帝京大学医学部内科学講座

概要

疾患のポイント:
  1. 薬物性肝障害とは、薬物によって肝細胞障害、もしくは肝内胆汁うっ滞が生じた病態と定義される。
  1. 薬を開始した後に、肝酵素の上昇や急性肝障害の症状(食思不振、倦怠感、発熱、黄疸など)を認めた場合に疑う疾患である。
  1. 薬物によって起こるすべての肝疾患(肝腫瘍、脂肪肝など)を総称して薬物起因性肝疾患と呼ぶことがあるが、最近では世界的にも、薬物による肝細胞障害または肝内胆汁うっ滞として狭義に取り扱われることが多い。
  1. 発生機序から予測可能なものと特異体質によるものに分類され、後者はアレルギー性、代謝性の二つに大きく分類される。
  1. 他の急性肝障害の除外診断となるため重要である。
 
起因薬:
  1. 起因薬としては抗菌薬、精神科・神経科用薬、健康食品、解熱・鎮痛・抗炎症薬、循環器薬、漢方薬、消化器用薬の順に多く、特に健康食品の頻度の増加が近年著しい。
 
診断: >詳細情報 
  1. 診断基準に基づいて診断する。肝酵素(ALTやALP)の上昇で肝障害の存在を確認する。
  1. 他の肝障害を除外する。
  1. 日本消化器関連学会機構(Digestive Disease Week-Japan、DDW-Japan)2004薬物性肝障害ワークショップのスコアリングを行う。
  1. DDW-J 2004薬物性肝障害ワークショップの診断基準:<図表>

重症度・予後: >詳細情報 
  1. 重症度分類として、症状やビリルビンの値などを用いるものが存在する。(詳細: >詳細情報 )
 
治療: >詳細情報 
  1. 治療の基本は休薬である。
  1. ALTが1,000以上に上昇したり、黄疸がみられる場合は安静にする。食欲低下が顕著であれば補液を行う。
  1. 胆汁うっ滞型で遷延する場合は、ウルソデオキシコール酸(ウルソ)、フェノバルビタール(フェノバール)もしくはプレドニンを投与する。
  1. アセトアミノフェンによる急性肝障害には、服薬10時間以内であれば、N-アセチルシステ…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断、重症度評価のための検査例
  1. 診断基準に基づいて診断する。
  1. 肝酵素(ALTやALP)の上昇で肝障害の存在を確認する。
  1. 他の肝障害を除外する。
  1. 日本消化器関連学会機構(Digestive Disease Week-Japan、DDW-Japan)2004薬物性肝障害ワークショップのスコアリングを行う。
  1. DDW-J 2004薬物性肝障害ワークショップの診断基準:<図表>
○ 重症度評価目的で1)を、鑑別の評価目的で2)~5)を行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

DDW-J 2004薬物性肝障害ワークショップの診断基準
著者校正/監修レビュー済
2016/11/30