今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 伊藤義人 京都府立医科大学大学院 医学研究科

著者: 瀬古裕也 京都府立医科大学大学院 医学研究科

監修: 持田智 埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科

著者校正/監修レビュー済:2023/10/25
参考ガイドライン:
  1. 日本消化器病学会日本肝臓学会:NAFLD/NASH診療ガイドライン2020 改訂第2版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、線維化進展例の絞り込み、日本人での長期予後について加筆修正を行なった。
  1. NAFLD/NASHの中でも線維化進展例は肝硬変への進展、肝細胞癌のリスクが高いため、線維化マーカー(ヒアルロン酸、Ⅳ型コラーゲン7S、Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体(M2BPGi)など)、スコアリングシステム(FIB-4 index、NAFLD fibrosis score(NFS)など)、血小板数の検査にて肝臓の線維化の評価を行う。
  1. 日本人コホートでの検討では平均4.6年のフォローアップで肝疾患関連死は2.34/千人年であり、肝線維化は肝疾患関連イベント(肝細胞癌、食道静脈瘤、腹水、肝性脳症)の発生に関連していた(Fujii H, et al. 2023 Feb;21(2):370-379.)。
  1. また、2023年6月24日に欧州肝臓学会(EASL)は米国肝臓病学会(AASLD)、ラテンアメリカ肝疾患研究協会(ALEH)と合同で、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などの脂肪性肝疾患の病名を変更することを発表した。“alcoholic”および“fatty”は不適切用語と見なされることが名称変更の理由である。
  1. 脂肪性肝疾患をsteatotic liver disease(SLD)と総称し、従来のNAFLD、NASHはメタボリック症候群の基準の一部を満たす場合に限定して、metabolic dysfunction associated steatotic liver disease(MASLD)、metabolic dysfunction associated steatohepatitis(MASH)と診断することになり新たな分類が確立された。
  1. 日本消化器病学会および日本肝臓学会もこの病名変更と分類に賛同しており、日本語訳は両学会で検討し、ガイドラインも新たな病名と分類に従って改訂していく予定としている。本項ではガイドラインの発刊を待って内容を更新する。

概要・推奨   

※2023年6月24日に欧州肝臓学会(EASL)は米国肝臓病学会(AASLD)、ラテンアメリカ肝疾患研究協会(ALEH)と合同で、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などの脂肪性肝疾患の病名を変更することを発表した。本項では日本消化器病学会および日本肝臓学会によるガイドラインの発刊を待って内容を更新する予定である。
 
  1. ALTが持続高値を示す原因として最も頻度が高いのは非ウイルス性非アルコール性肝疾患である。内臓脂肪型肥満を伴うことが多く、腹部CTや超音波検査で脂肪肝を伴うのが特徴。NASHの確定診断ができれば、すぐに治療を始める必要がある。
  1. 肥満を伴うNASHの患者には体重の減量が有効である。適度の有酸素運動とともにカロリーコントロールの指導を行うことが強く推奨される(推奨度1)
  1. インスリン抵抗性を合併するNASHを中心とした検討ではピオグリタゾンは比較的短期間の投与で肝機能および組織像を改善する(推奨度2)
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
伊藤義人 : 未申告[2024年]
瀬古裕也 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:持田智 : 講演料(ギリアド・サイエンシズ(株),アッヴィ合同会社,あすか製薬(株),東レ(株),大塚製薬(株),エーザイ(株))[2024年]

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