甲状腺クリーゼ :トップ    
監修: 平田結喜緒 公益財団法人 兵庫県予防医学協会 健康ライフプラザ
赤水尚史 公立大学 法人和歌山県立医科大学

概要

疾患のポイント:
  1. 甲状腺クリーゼとは、甲状腺機能亢進症が重症化した状態のことで、心不全、不整脈、高体温などを伴い致死的なこともある状態である。
  1. 甲状腺中毒症に高熱、循環不全、意識障害、下痢・黄疸などの多臓器不全を合併しているときや、生体の非代償性状態で放置すれば生命を脅かすような状態が疑われるときに強く疑う。
 
診断: >詳細情報 
  1. ポイント:
  1. 診断は、多臓器不全と生体の恒常性破綻を呈する臨床症状に基づいて診断される。
  1. 診断基準:
  1. 甲状腺中毒症に追加して、下記の5つの症状のうち、中枢神経症状+他の症状項目1つ以上、または中枢神経症状以外の症状項目3つ以上を有する場合は診断となる。
  1. 1:中枢神経症状(不穏、せん妄、精神異常、傾眠、けいれん、昏睡)
  1. 2:発熱(38℃以上)
  1. 3:頻脈(130回/分以上)
  1. 4:心不全症状
  1. 5:消化器症状
  1. 日本甲状腺学会の甲状腺クリーゼ診断基準:<図表>
  1. 検査:
  1. 甲状腺ホルモンレベルを把握するために、free T3、free T4、TSHを測定する。
  1. 甲状腺疾患の合併が不明な場合、甲状腺エコーや甲状腺シンチグラフィが有用なときがある。
 
合併症の評価:
  1. ポイント:
  1. 甲状腺クリーゼは甲状腺の基礎疾患を持つ患者が、感染症などにより誘発され、多臓器障害等の臓器障害を合併する状態である。
  1. 甲状腺の基礎疾患:
  1. バセドウ病、破壊性甲状腺中毒症(無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎など)、プランマー病(機能性甲状腺腫瘍)、TSH産生腫瘍などの甲状腺疾患を背景とする。
  1. 誘因疾患:
  1. 感染症、甲状腺以外の臓器手術、外傷、妊娠・分娩などの甲状腺疾患に直接関係しない誘因と、抗甲状腺薬の服用不規則や中断、甲状腺手術、甲状腺アイソトープ治療、過度の甲状腺触診や細胞診、甲状腺ホルモン剤の大量服用などの甲状腺に直接関係する誘因がある。これらの誘因を評価し治療を行う。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時評価例
  1. 甲状腺ホルモンレベルを把握するために、free T3、free T4、TSHを測定する。
  1. 甲状腺疾患の合併が不明な場合、甲状腺エコーや甲状腺シンチグラフィが有用なときがある。
  1. 全身状態の把握のため、一般的な血液・生化学検査、胸部X線、心電図は必須である。
  1. 循環不全、中枢神経障害、肝機能異常などの臓器不全については、各々専門的検査(心エコーや脳波など)を行う。
○ 甲状腺レベルの評価に8)9)を測定する。甲状腺疾患の評価のために、10)13)15)を評価する。全身状態の評価のため1)-7)11)12)14)16)17)を評価する。特に意識障害を認める患者では16)または17)を評価する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

著者校正済:2018/04/05
現在監修レビュー中

改訂のポイント
  1. 甲状腺クリーゼ診療ガイドライン2017
に基づき、治療内容を改訂。