今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 家田健史 順天堂大学医学部附属順天堂医院 泌尿器科

監修: 堀江重郎 順天堂大学大学院医学研究科 泌尿器外科学

著者校正/監修レビュー済:2025/02/26
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)

概要・推奨   

  1. 多数の中高年男性が下部尿路症状(LUTS)を有している。わが国の40歳以上の男性では、その頻度は夜間頻尿、昼間頻尿が特に高く、尿勢低下、残尿感、尿意切迫感、切迫性尿失禁がそれらに続いている。
  1. 前立腺肥大症は中高年男性にみられる進行性の疾患である。有病率は症状・所見の定義によるが、IPSS>7、前立腺体積>20 mL、最大尿流量<10 mL/秒のすべてを満たすことを条件とすると、60歳代で6%、70歳代で12%とされる。
  1. 臨床的進行の危険因子としては、加齢、前立腺腫大、PSA高値、下部尿路症状(LUTS)、QOL障害、尿流量低下などがある。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 多数の中高年男性が下部尿路症状(LUTS)を有している。わが国の40歳以上の男性では、その頻度は夜間頻尿、昼間頻尿が特に高く、尿勢低下、残尿感、尿意切迫感、切迫性尿失禁がそれらに続いている。
  1. 前立腺肥大症の定義は、「前立腺の良性過形成による下部尿路機能障害を呈する疾患で、通常は前立腺腫大と下部尿路閉塞を示唆する下部尿路症状を伴う」である。
  1. 前立腺肥大症は中高年男性にみられる進行性の疾患である。有病率は症状・所見の定義によるが、IPSS>7、前立腺体積>20 mL、最大尿流量<10 mL/秒のすべてを満たすことを条件とすると、60歳代で6%、70歳代で12%とされる。
  1. 前立腺の良性過形成(benign hyperplasia)は、尿道周囲から始まり、平滑筋と結合織から成る間質と、腺上皮とその内腔から構成される。間質と腺上皮とは増殖因子を介して相互作用があり、性ホルモン、炎症、アドレナリン作動性神経の刺激で増殖が促進される。
  1. 臨床的な前立腺肥大症は前立腺腫大(benign prostatic enlargement:BPE)、下部尿路症状(LUTS)、前立腺性下部尿路閉塞(膀胱出口部閉塞:BOO)の3つの要素により構成されている。
  1. 臨床的進行の危険因子としては、加齢、前立腺腫大、PSA高値、下部尿路症状(LUTS)、QOL障害、尿流量低下などがある。
  1. 前立腺肥大症の合併症としては尿閉、肉眼的血尿、膀胱結石、反復性尿路感染症、腎後性腎不全が挙げられる。
  1. 前立腺癌との関係は、炎症が共通の病因となっている可能性はあるものの、結論は一致しない。
  1. 前立腺肥大症を想定した場合に必ず行うべき評価としては、病歴聴取、症状・QOL評価(CLSS<図表>、IPSS<図表>、OABSS<図表>)、身体所見、尿検査、尿流測定、残尿測定、血清PSA測定、前立腺超音波検査がある。症例を選択して行う評価としては、排尿記録、尿流動態検査、血清クレアチニン測定、上部尿路超音波検査などがある。
  1. 過活動膀胱症状スコア(Overactive Bladder Symptom Score:OABSS)は過活動膀胱と診断された患者についてその症状の評価が可能である。
 
  1. 前立腺肥大症の明らかな危険因子は加齢である。剖検での検討によると、前立腺重量は性的成熟後40~50歳ごろまでは20 mL前後とほぼ一定しているが、その後は加齢に従って増加する。
  1. 前立腺肥大症の明らかな危険因子は加齢である。剖検での検討によると、前立腺重量は性的成熟後40~50歳ごろまでは20 mL前後とほぼ一定しているが、その後は加齢にしたがって増加する[1]。組織学的な前立腺肥大症(BPH)は30歳代より認められ、その頻度は加齢に従って増加し、80歳代では約90%になる。この傾向は人種や地域を問わず普遍的に認められることからBPHは生理的な加齢現象であろう[2]
  1. 一般住民を対象に各国で施行されたいずれの横断的研究においても、経直腸的超音波断層法により推定した前立腺体積は、集団全体としては加齢に従って増大する[3][4][5][6]。加齢による前立腺体積の増大は縦断的研究においても確認されており、米国オルムステッド郡での5年間にわたる研究によれば、前立腺体積は年間1.6%の増大を示した[7]。一方、一部の人では加齢に従って前立腺が縮小する。オランダの一般住民を対象にした検討によると観察開始時と比較して10 mL以上、あるいは26%以上の前立腺体積の減少を有意な変化と定義した場合、それぞれ、1.4%、1.1%の症例が4.2年後に前立腺体積の減少を示した[8]。剖検による検討によると過形成のない正常前立腺は加齢に従って委縮するのに対し、過形成を有する前立腺は加齢とともに増大していた。このことから、前立腺には萎縮と増大の2通りの自然史があり、いずれをたどるかは40歳代半ばが分岐点と推測されている[9]
 
  1. 前立腺肥大症は中高年男性にみられる進行性の疾患である。有病率は症状・所見の定義によるが、IPSS>7、 前立腺体積>20 mL、最大尿流量<10 mL/秒のすべてを満たすことを条件とすると、60歳代で6%、70歳代で12%とされる。
  1. 前立腺肥大症の有病率は症状・所見の設定条件により変動する。わが国におけるcommunity-based study[10][11]の結果をもとにIPSSの重症度・前立腺体積・最大尿流量の3者に基づき前立腺肥大症の有病率を計算したところ、IPSS>7, 前立腺体積>20 mL、最大尿流量<10 mL/秒のすべてを満たすことを条件とすると、40歳代2%、50歳代2%、60歳代で6%、70歳代で12%と加齢に従って増加した[12]
  1. 前立腺肥大症患者に対してプラセボを投与して経過観察した2つの報告では、2年間の観察で8.9%(初診時の平均前立腺体積39.3 mL)[13]、4年間で14%(初診時の平均前立腺体積55 mL)[14]の前立腺体積の増大を認めた。前述の一般住民の結果に比較して、前立腺肥大症患者の観察開始時の前立腺体積は大きく、その増大率も急速である。Medical Therapy of Prostatic Symptoms(MTOPS)試験において、4,5年後の前立腺の増大率は初診時の前立腺体積と血清PSA値に規定された[15]。前立腺体積が大きいか血清PSA値が高い症例では、経過中に前立腺体積が増大する危険性が高いと推測される。
 
  1. 前立腺の良性過形成(benign hyperplasia)は尿道周囲から始まり、平滑筋と結合織から成る間質と、腺上皮とその内腔から構成される。間質と腺上皮とは増殖因子を介して相互作用があり、性ホルモン、炎症、アドレナリン作動性神経の刺激で増殖が促進される。
  1. 前立腺は辺縁領域(peripheral zone; PZ)、中心領域(central zone; CZ)、移行領域(transition zone; TZ)および前部線維筋性間質(anterior fibromuscular stroma)から成る。(1)前立腺肥大結節(腺腫)は組織学的に細胞数の増加で肥大(hypertrophy)より過形成あるいは増殖(hyperplasia)が適切な表現である[16]。前立腺腺腫の発生部位は移行領域と尿道周囲組織であり、初期の結節成分は間質のみで構成されている[17]
  1. 前立腺の炎症も過形成に重要な役割を果たしている[18]。5α還元酵素阻害薬の臨床研究では、前立腺の生検標本で炎症所見のある患者は前立腺体積が大きく、症状スコアが高く[19]、また、前立腺切除組織による検討では炎症症例に尿閉のリスクも高かった[18]
  1. アドレナリン作動性神経系は前立腺の平滑筋の緊張も調節している。その受容体は主にα1であり、遺伝子レベルではα1A, α1B, α1Dの3つのサブタイプに分類される。ヒト前立腺ではmRNAの量でα1a 63%、α1b 31%、α1d 6%とα1aが多く、肥大した前立腺ではα1a 85%、α1b14%、α1d 1%とさらにα1aの割合が多くなる[20]
  1. 腺上皮細胞は男性ホルモン支配を受けており、また女性ホルモンの協調作用も肥大結節の発生に重要な役割を果たしている。男性ホルモンを低下させると上皮細胞数は減少するが、α1受容体を介する前立腺収縮力も低下する可能性が示唆されている[21]
 
  1. 臨床的な前立腺肥大症は前立腺腫大(benign prostatic enlargement:BPE)、下部尿路症状、前立腺性下部尿路閉塞の3つの要素により構成されている。
  1. 下部尿路閉塞を伴う前立腺肥大症において、排尿症状は尿流が抵抗を受けた結果で生じるとして理解しやすい。しかし、手術などにより閉塞を解除しても3/1では排尿症状が持続する[22]。特に70歳以上の排尿症状は膀胱収縮障害に起因することが多く(48%)、尿閉の既往を有する症例ではさらに多いとされている[23]
  1. 下部尿路閉塞に対して膀胱平滑筋は肥大し内圧を高めて尿流を維持するようになる[24]。正常に比べ肥大した平滑筋は虚血に対して抵抗性を獲得し、ミオシンのような収縮蛋白の発現に変化が生じて収縮能を維持する一方で刺激に対し過敏となる[25]。閉塞が長時間継続した場合は膀胱平滑筋の収縮障害と加齢変化が重なり、尿道閉塞の解除だけでは症状が改善しないことになる。
  1. 下部尿路閉塞があると二次的に膀胱機能の変化が誘発され、それに伴い蓄尿症状も生じると想定されている。前立腺肥大症では蓄尿・排尿のサイクルごとに膀胱進展・高圧・虚血・再灌流が繰り返され、徐々に上皮・神経・平滑筋にさまざまな変化がもたらされる。前立腺肥大症で経尿道的前立腺切除術(Transurethral resection of prostate:TURP)を施行した後も排尿筋過活動が持続する症例では、下部尿路の血流障害が継続しており、血流障害と蓄尿障害との関連が示唆されている[26]。膀胱壁内神経は虚血に対し特に脆弱で、部分助神経の状態となる。助神経に伴って膀胱平滑筋はアセチルコリンに対し過大な反応を起こすようになる[27]
病歴・診察のポイント  
  1. 前立腺肥大症は、下部尿路症状(LUTS)を主訴に来院する患者が殆どであり、その原因はそれに限られない。そのため、排尿障害の病歴・QOL・排尿状態を評価するとともに、他疾患の鑑別も行う。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
家田健史 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:堀江重郎 : 特に申告事項無し[2025年]

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前立腺肥大症

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