腎血管筋脂肪腫 :トップ    
監修: 中川昌之 鹿児島大学
井川掌 久留米大学医学部 泌尿器科

概要

疾患のポイント:
  1. 腎血管筋脂肪腫(AML)とは、腎に発生する血管、平滑筋、脂肪組織からなる、多くは良性の充実性腫瘍であり、腎腫瘍の約0.3%を占める。自覚症状は、腫瘍の大きさと関連することが多く、腹痛、血尿、腫瘤触知を認めることがある。
  1. 結節性硬化症に合併する場合と、そうでない散発例が存在する。腎血管筋脂肪腫(AML)でTSを伴うものは約20~30%とされている。
 
診断:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. 診断は腹部CT(できれば造影)で比較的容易であるが、ときに腎細胞癌や脂肪肉腫など、その他の腎・後腹膜腫瘍との鑑別が必要な場合がある。
  1. 鑑別診断には腎細胞癌、脂肪肉腫、平滑筋腫、多発性嚢胞腎などがある。
  1. AMLの典型的画像(CT):<図表>
  1. AMLの典型的画像(超音波):<図表>
  1. CT所見および摘出標本:<図表>
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 総腎機能は保たれることが多い。
  1. 自然破裂のリスクを増加させる因子としては、以下のものがある。自然破裂をした場合、腹痛、貧血、ショックなどを起こす。 症例  症例 
  1. 腫瘍径が4cm以上
  1. TS合併例
  1. 妊娠合併例
 
治療:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. 一般に、無症状で腫瘍径4cm以下のものは画像での経過観察が選択されることが多い。無症状で腫瘍径4cmを超えるもので、出血、症状発現、破裂のリスクが高いと想定される場合には、予防的に選択的動脈塞栓術(TAE)または手術が考慮される。ただし、必ずしも明確な基準はなく、症例に応じて経過観察、手術治療、選択的動脈塞栓術、薬物療法が選択される。
  1. 薬物療法に関しては、近年海外を中心に行われていた臨床試験により分子標的薬の効果が確認され、このうちエベロリムスはTSに伴うAMLに対してわが国でも臨床使用が可能になった。 解説 
 
専門医相談のタイミング: >詳細情報 
  1. 積極的な治療介入の判断が必要と考えられる場合は、泌尿器科専門医を受診する。
 
臨床のポイント:
  1. 腎臓に脂肪成分を含む腫瘤を認める場合は本疾患を疑う。
  1. 結節性硬化症の患者に合併しやすい。
  1. 治療適応は腫瘍径、症状の有無、年齢などを考慮し決定する。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時・フォローアップ時の検査例
  1. 通常は腹部CT(造影・単純)で診断とフォローアップを行う。特に初回診断時は悪性を含めた他の腎腫瘍との鑑別のため、造影CTを行うことが望ましい。必要に応じて腹部MRIも行う場合がある。
  1. 無治療での経過観察、治療介入後のフォローアップ時には、症例に応じて半年~1年に1回の画像診断を行う。
○ 腎血管筋脂肪腫が疑われる場合は1)~3)を行い、必要に応じて4)を追加する。
1)
腹部単純CT  症例  症例  症例  症例 
2)
腹部造影CT  症例  症例  症例  症例 
3)
腹部超音波検査
4)
腹部MRI  エビデンス 

症状治療例
  1. 自覚症状の有無は腫瘍の大きさと関連してくることが多いが、主なものは腹痛、血尿、腫瘤触知である。
○ 血尿に対して1)、2)を、腹痛に対して3)を考慮する。
1)
アドナ錠[10mg] 3錠 分3 毎食後 程度に応じて [腎血管筋脂肪腫は適用外/他適用用量内/㊜出血](編集部注:想定する適用病名「腎血管筋脂肪腫」/2017年4月)
薬剤情報を見る
薬理情報 凝固・抗血栓薬 >止血薬
同効薬一覧
要注意情報
腎可 肝可 不明 不明 児量無
2)
トランサミンカプセル[250mg] 3錠 分3 毎食後 程度に応じて [腎血管筋脂肪腫は適用外/他適用用量内/㊜出血]
薬剤情報を見る
薬理情報 凝固・抗血栓薬 >抗プラスミン薬
同効薬一覧
要注意情報
腎注 肝可 不明 乳注 児量[有]
3)
ロキソニン錠[60mg] 1~2錠を頓用 または3錠 分3 痛みの程度に応じて [腎血管筋脂肪腫は適用外/他適用用量内/㊜変形性関節症]
薬剤情報を見る
薬理情報 鎮痛・解熱薬 >NSAIDs(プロピオン酸系)
同効薬一覧
要注意情報

追加情報ページへのリンク

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

AML診断アルゴリズム
AML治療アルゴリズム
AMLの典型的画像(CT) 
AMLの典型的画像(超音波) 
典型的なCT画像
著者校正/監修レビュー済
2018/02/28


  • 腫瘍 の他のコンテンツを見る
  • 泌尿器 の他のコンテンツを見る
詳細ナビ