今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 呉屋 真人1) 中部徳洲会病院 泌尿器科

著者: 斎藤誠一2) 琉球大学医学部医学科腎泌尿器外科学講座

監修: 中川昌之 公益財団法人 慈愛会 今村総合病院 泌尿器科顧問

著者校正/監修レビュー済:2024/09/18
参考ガイドライン:
  1. 日本泌尿器科学会編:腎癌診療ガイドライン2017年版.(2019年5月小改訂).メディカルビュー社、2019
  1. 日本泌尿器科学会編:腎癌診療ガイドライン2017年版.(2020年6月小改訂).メディカルビュー社、2020
  1. 日本泌尿器科学会編:腎癌診療ガイドライン2017年版.(2022年4月小改訂).メディカルビュー社、2022
 
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 進行性腎細胞癌に対する薬物療法に関しては、腎癌診療ガイドライン2017年版(2022年4月小改訂)に沿った内容とした。
  1. 進行性淡明細胞型腎細胞癌の各リスク群の1次治療として、ニボルマブ+カボザンチニブ併用、ペムプロリズマブ+レンバチニブ併用を追加した。
  1. 再発リスクの高い以下の症例に対する、ペンブロリズマブによる術後補助療法を追加した。
  1. pT2でGrade 4、または肉腫様変化を伴うN0かつM0
  1. pT3/4でGradeを問わず、N0かつM0
  1. pTを問わず、Gradeを問わず、N1かつM0
  1. M1NED(no evidence of disease)
  1. 原発巣および遠隔転移巣ともに腎摘除術時点、または腎摘除後1年以内のいずれかの時点で完全切除であったもの
 

概要・推奨   

  1. 腎癌の発症について肥満・職業・生活習慣・環境・遺伝因子に注意を喚起することが推奨される。
  1. 腎癌の早期発見には腹部超音波検査が有用で、確定診断としてCT検査を施行する(推奨度1)
  1. 透析患者における腎癌スクリーニングは、その発生率の高さから早期発見、治療により予後の改善が期待できるため、推奨される(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 腎細胞癌は腎に発生する悪性腫瘍の85~90%を占めており、罹患率および死亡率ともに年々増加傾向にある。
  1. わが国における2006年の腎癌死亡数は、3,767人(男性2,498人、女性1,269人)であり、全癌死亡の1.1%を占めていた。
  1. 腎癌研究会の2002年の集計では、年齢調整罹患率は、人口10万人あたり、男性8.2、女性3.7であり、男女比は2.7:1であった。好発年齢は70歳代であった。
  1. 2020年には、2000年に比べ、年齢訂正罹患率と年齢訂正死亡率は、男性では1.91倍と1.4倍、女性では1.37倍と1.29倍に増加することが予想されている。
  1. 腎癌発症の危険因子として、肥満、喫煙、高血圧といった日常の生活習慣に関連したものや、長期透析、職業、遺伝因子が挙げられる。
  1. 主に尿細管上皮より発生し、腎細胞癌の細胞型は80%が淡明細胞癌で、10%が乳頭状細胞癌で、約5%が嫌色素性癌で、比較的まれな細胞型としてベリニ管癌がある。
  1. 腎癌の予後規定因子は、異型度、局所進展度、所属リンパ節転移の有無および転移巣の有無であり、主な転移部位は肺、骨、脳、肝臓および副腎である。
 
腎細胞癌の発生増殖の分子機構と分子標的療法

腎細胞癌の8割を占める淡明細胞癌の多くにVHL遺伝子の異常を認める。がん抑制遺伝子の1つであるVHL遺伝子は、HIF-1αと結合し、その機能を調整する。VHL遺伝子の変異によって、HIF-1αが細胞内に蓄積されると、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)といったHIF-1α標的遺伝子の過剰発現が起こり、腫瘍細胞の増殖を刺激するとともに血管内皮細胞を刺激し、血管新生が促進される。また、腎細胞癌においてはラパマイシンの標的蛋白であるmTORの機能亢進が報告されている。mTORはHIF-1αの上流に位置し、血管新生にも関与している。その他、乳頭細胞癌ではc-met(HGF受容体)の遺伝子異常、嫌色素細胞癌ではBirt-Hogg-Dube(BHD)遺伝子異常が多い。腎細胞癌では、これらの遺伝子背景に基づいて、VEGFR、PDGFR、そしてmTORを標的とした分子標的療法が実施されている。さらに、2020年3月には、RET、MET、およびVEGFR2等を阻害するマルチキナーゼ阻害薬であるカボザンチニブが保険承認され、使用可能である。

出典

Rini BI, Campbell SC, Escudier B.
Renal cell carcinoma.
Lancet. 2009 Mar 28;373(9669):1119-32. doi: 10.1016/S0140-6736(09)60229-4. Epub 2009 Mar 5.
Abstract/Text Considerable progress has been made in the treatment of patients with renal cell carcinoma, with innovative surgical and systemic strategies revolutionising the management of this disease. In localised disease, partial nephrectomy for small tumours and radical nephrectomy for large tumours continue to be the gold-standard treatments, with emphasis on approaches that have reduced invasiveness and preserve renal function. Additionally, cytoreductive nephrectomy is often indicated before the start of systemic treatment in patients with metastatic disease as part of integrated management strategy. The effectiveness of immunotherapy, although previously widely used for treatment of metastatic renal cell carcinoma, is still controversial, and is mainly reserved for patients with good prognostic factors. Development of treatments that have specific targets in relevant biological pathways has been the main advance in treatment. Targeted drugs, including inhibitors of the vascular endothelial growth factor and mammalian target of rapamycin pathways, have shown robust effectiveness and offer new therapeutic options for the patients with metastatic disease.

PMID 19269025
 
  1. 腎癌の発症について肥満・職業・生活習慣・環境・遺伝因子に注意を喚起することが推奨される。(参考文献:[1][2][3][4][5][6][7]
  1. 腎癌発症の危険因子として、肥満、高血圧、喫煙などが挙げられる。肥満はBMI>30 Kg/m2ではその危険度は4倍であり、高血圧では2倍に増える。
  1. 生活習慣としては喫煙が重要であり、喫煙本数が発症リスクに相関する。
  1. 職業、環境として、有機溶媒やカドミウム、アスベストへの暴露が発症リスクを挙げる。遺伝因子として、von Hippel-Lindau病(VHL)(淡明細胞癌の発症と関連)やBirt-Hogg-Dube(BHD)症候群(嫌色素性癌の発症と関連)などの常染色体優性遺伝性の腎癌好発疾患患者とその血縁者であることは、腎癌の発症に関して非常に危険率が高くなる。
 
  1. 透析患者における腎癌スクリーニングは、その発生率の高さから早期発見、治療により予後の改善が期待できるため、推奨される(推奨度1)。(参考文献:[8][9][10]
  1. 透析患者において腎癌は健常人に比較し、高率に発生することが知られている。特に透析歴が長い患者では、後天性嚢胞性腎疾患(acquired cystic disease of kidney:ACDK)関連腎癌の比率が増加することが報告されている。その予後は一般に良好であるといわれているが、透析歴が長いほど、悪性度の高い癌が発症する頻度が増加するといわれている。また、有症状例や転移例では通常の腎癌同様に予後不良であるため、スクリーニングの必要性が指摘されている。スクリーニングは透析導入の3年後から開始し、少なくとも年1回のCTまたは腹部超音波検査が推奨され、特に若年者で有益であるという報告がある。
問診・診察のポイント  
  1. 他の腫瘍同様、進行するまでは無症候性で、触知もされない。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
呉屋 真人 : 特に申告事項無し[2024年]
斎藤誠一 : 未申告[2024年]
監修:中川昌之 : 特に申告事項無し[2024年]

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