褥瘡 :トップ    
監修: 戸倉 新樹 浜松医科大学医学部附属病院 皮膚科
立花隆夫 大阪赤十字病院 皮膚科

概要

疾患のポイント:
  1. 褥瘡とは、多くの場合は寝たきり状態が原因となって生じる皮膚局所の阻血性壊死である。一定の場所に、一定時間以上の圧迫とともに、摩擦・ずれ、湿潤などの外的要因が加わることで生じる。
 
診断: >詳細情報 
  1. 褥瘡の多くは詳細な問診、視診、触診によって診断可能である。
  1. 手術室発症を除くと多くは寝たきり状態の患者(特に老人)の仙骨部など荷重部に発症する。
  1. 反応性充血、接触皮膚炎などはI度褥瘡、便や尿の刺激による皮膚炎、皮膚カンジダ症などはⅡ度褥瘡、また糖尿病などによる末梢動脈疾患などはⅢ度以上の褥瘡と鑑別を要することもある。
  1. 手術室発症では、電気メスによる電撃傷や消毒薬による化学熱傷を除外する。
  1. 消毒薬の化学熱傷:<図表>
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 褥瘡の重症度は深さに相関する。
  1. 日本褥瘡学会は創評価のアセスメントスケールとしてDESIGN®(あるいはDESIGN-R®)を提唱している。(深さ[Depth]、滲出液[Exudate]、大きさ[Size]、炎症・感染[Inflammation/Infection]、肉芽組織[Granulation]、壊死組織[Necrotic tissue]、ポケット[Pocket])
  1. 国際的には米国褥瘡諮問委員会(National Pressure Ulcer Advisory Panel、NPUAP)のステージ分類、欧州褥瘡諮問委員会(European Pressure Ulcer Advisory Panel、EPUAP)のグレード分類を用いることが多い。
  1. DESIGN-R®(DESIGN®の2008年改訂版)の深さ項目とNPUAPステージ分類(2007年改訂版)の比較:<図表>

治療: >詳細情報 
  1. ポイント:
  1. 局所治療の基本はwound bed preparation(創面環境調整)とmoist wound healing(湿潤環境下療法)であり、褥瘡を急性期とそれ以降の慢性期に分けて対処する。
  1. 急性期:

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断時の評価
  1. 手術室など特殊な環境での発症を除くと、診断は視診だけで可能である。電気メスによる電撃傷や消毒薬による化学熱傷は術直後から鮮明に認められるが、褥瘡では術直後または遅発性に生じる境界不明瞭な紅斑である。その後、進展すると境界明瞭となるため、術直後に皮膚を注意深く観察することでそれらとの鑑別も可能である。
  1. 重症度判定はDESIGN®(またはDESIGN-R®:日本褥瘡学会)の「深さ」で判定する。
  1. DESIGN-R®(DESIGN®の2008年改訂版)の深さ項目とNPUAPステージ分類(2007年改訂版)の比較:<図表>
  1. 深部損傷褥瘡(DTI)や感染を疑ったときは検査を行う。
  1. DTIと感染褥瘡:<図表>
  1. 深さ(depth):創内の一番深い部分で評価する。改善に伴い創底が浅くなった場合、これと相応の深さとして評価する。
  1. d0:皮膚損傷・発赤なし、d1:持続する発赤、d2 :真皮までの損傷、D3: 皮下組織までの損傷、D4: 皮下組織を越える損傷、D5: 関節腔、体腔に至る損傷、DU:深さ――が判定不能の場合
○ 創の中で一番深いところが、d0、d1、d2、D3、D4、D5あるいはDUかを判定する。

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薬剤監修について:
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著者校正/監修レビュー済
2017/12/25

編集部編集コンテンツ:
 
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